2026/6/20

現在、高知県が主導して検討が進められている消防組織の広域化(いわゆる県一化)は、消防力の強化や広域的な出動体制の効率化を目指すものとして、その方向性は理解します。
しかしながら、消防・救急活動は市民の生命、身体及び財産に直結する最も身近な自治体サービスであり、その基盤は各市町村が地域の地理的特性や人口動態、歴史的背景に応じて長年培ってきた固有のシステムの上に成り立っています。
その前提に立てば、今般の組織統合の推進においては、以下に示す懸念や課題が十分に払拭されているとは言えません。
①地域特性への配慮と現場力の維持>山間部や沿岸部、離島など多種多様な地形を持つ本県において、現場到着時間の延伸や地域独自の災害リスクに対する即応能力の低下が懸念される。各地域の実情に即した人員配置と機動力の確保が担保されなければならない。
②財政負担の公平性と不透明さ>統合に伴う初期投資や人件費をはじめとする運営コストの分担、市町村ごとの財政力格差がもたらす影響について、明確なシミュレーションと公平な負担割合の提示が必要である。市民の税負担や他施策への影響を最小限に抑えるスキームが不可欠である。
③消防団をはじめとする地域防災力の低下懸念>常備消防の広域化が、地域防災の要である消防団の士気や連携体制に与える影響を無視することはできない。地域コミュニティと結びついた草の根の防災力が衰退しないよう、十分な検証が求められる。
④住民及び市町村議会への説明責任>市町村行政の根幹に関わる重大な組織改編でありながら、住民や現場の消防職員、そして法定協議会や広域連合の設置議決が求められる各市町村議会に対する丁寧な説明と合意形成のプロセスが十分であるとは言えない。
⑤高知県事務の統合>消防防災ヘリ&消防学校も統合する案になっているが、その妥当性には甚だ疑問がある。
以上の疑問や課題への一定の答えが無い中で、しかも2027年4月には県議会や高知市議会などが統一地方議会選挙を迎える中で、その前後の2・3月もしくは6月定例会で法定協議会および広域連合の設置議案に答えを出せという拙速なスケジュール案になっていることも甚だ疑問です。
少なくとも我が高知市議会では、現在、断続的に開催されている実務者協議での議論の内容を、都度、タイムリーに共有するための受け皿(特別委員会)を早急に立ち上げる必要があるのではないかと考えます。
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