2026/5/4

1人1台端末の「破損」は多いのか?―倉敷市の現状と今後の対策を考える
GIGAスクール構想により、小中学生に1人1台のパソコン・タブレットが整備されて数年が経過しました。学びの形を大きく変えたこの取り組みですが、その裏側で見過ごせない課題の一つが「端末の破損」です。
今回、倉敷市教育委員会に確認したところ、実態が見えてきました。
2024年度の破損件数は1,710件、2025年度は1,230件。やや減少しているとはいえ、依然として年間1,000件を超える規模です。倉敷市では約4万台の端末が配備されているため、2025年度の破損率は約3.1%という計算になります。
全国と比べて多いのか?
文部科学省の詳細な統一統計は限られていますが、自治体や報道ベースでは、端末の年間破損率は概ね2~5%程度とされるケースが多く見られます。
この水準と比較すると、倉敷市の約3.1%は「特別高いわけではないが、決して低くもない平均的な水準」と考えられます。
ただし、注目すべきは件数の多さそのものです。1,230件という数字は、ほぼ毎日どこかの学校で3~4件の破損が起きている計算になります。教育現場の負担という観点では、決して軽視できるものではありません。
修理費用の現実
2025年度の内訳を見ると、
修理件数:445件
修理費:約2,000万円
保護者負担:11件
となっています。
単純計算すると、1件あたりの修理費は約4万5千円。これは端末1台分に近い金額であり、「修理するか買い替えるか」の判断が難しい水準です。
さらに、破損した端末はすぐに修理されるわけではなく、予備機の貸し出しで対応しているとのこと。現時点では「使えない」という事態は避けられているものの、
学校側の管理負担
予備機確保のコスト
修理・配送の事務負担
といった“見えないコスト”は確実に存在しています。
破損の主な原因は「落下」
現場の声として多いのが、「机からの落下による破損」です。
タブレットは軽量化されている一方で、衝撃には弱く、
机の端に置く
ノートと一緒に滑る
立ち上がる際に引っ掛ける
といった日常的な動作の中で落下が起きています。
つまり、これは「使い方の問題」だけでなく、教室環境の構造的な問題とも言えます。
天板拡張は有効なのか?
そこで注目されるのが「天板拡張くん」のような机の拡張器具です。
価格は1台あたり約4,500円(税別)。仮に倉敷市で4万台分を整備すると、
👉 約1億8,800万円規模の投資になります。
一見すると高額ですが、ここで考えるべきは「何年で回収できるか」です。
現在の修理費は年間約2,000万円。仮に天板拡張によって破損が30%減少した場合、
👉 年間約600万円の削減効果
となります。
この場合、単純計算で回収には約30年かかるため、「修理費削減だけ」で考えると、費用対効果は高いとは言えません。
しかし本当に比較すべきはそこか?
ここで重要なのは、「修理費」だけで判断してよいのかという点です。
天板拡張によって期待できる効果は、
落下事故の減少
授業中の安心感向上
教員の注意負担軽減
端末寿命の延伸
児童生徒の集中力向上
など、教育環境そのものの質の改善です。
また、破損が減れば、
修理手続き
代替機管理
トラブル対応
といった“人的コスト”も減少します。これらは金額に換算されにくいものの、現場にとっては非常に大きな負担です。
現実的な選択肢は「段階導入」
全校一斉導入ではなく、
低学年から優先導入
破損率の高い学校に重点配置
モデル校で効果検証
といった段階的な導入であれば、初期投資を抑えつつ効果を見極めることができます。
特に低学年ほど落下リスクが高いと考えられるため、優先度は高いでしょう。
まとめ
倉敷市の端末破損率は全国と比較して極端に高いわけではありません。しかし、年間1,000件を超える破損は、教育現場にとって無視できない課題です。
天板拡張の導入は、単純な「修理費削減」だけでは費用対効果が見えにくいものの、
👉 教育環境の質の向上
👉 現場負担の軽減
という観点では検討に値する施策です。
GIGAスクール構想は「端末を配ること」が目的ではなく、「学びを変えること」が本質です。
そのためにも、端末を安全に、安心して使える環境づくりをどう進めるのか。今後の倉敷市の取り組みが問われています。
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