2026/8/3
板橋区議会議員の中妻じょうたです。
2026年7月28日に発生した熊本地震で、お亡くなりになった皆様に、心よりお悔やみを申し上げます。
被災された皆様に、お見舞いを申し上げます。
被害の全容は、まだ見えておりません。
私としても事態を注視しており、状況に合わせて、できることをやってまいります。
本日から、板橋区の災害対策を総点検するコンテンツを、動画とブログの両方で集中的にお届けします。
本日公開のロング動画「板橋区の災害対策 総まくり」では、地震・水害・崖・避難所・制度・家庭の備えまでを一気にご紹介しました。
ブログでは、その一つひとつを、出典を明記しながらより詳しく掘り下げていきます。
第1回の今日は、「地震」です。
結論から言うと、これは半分正しく、半分は誤解を招きます。
東京都は「首都直下地震等による東京の被害想定」(令和4年5月公表)で、複数の地震シナリオごとに区市町村別の被害を算出しています。
代表シナリオである「都心南部直下地震」(マグニチュード7.3・冬・夕方18時・風速8メートル)では、東京都全体で死者6,148人という想定です。
このシナリオでの板橋区の想定は、死者94人。
23区の中では、少ないほうから8番目です。
足立区795人、大田区726人、世田谷区645人、江戸川区582人といった数字と比べると、板橋区の被害は相対的に小さく想定されています。
理由は大きく2つです。
1つは、揺れやすい軟弱地盤の低地が、区の一部(荒川沿い)に限られること。
もう1つは、火災に弱い木造密集地域の不燃化・再開発が進んできたことです。
「板橋は地震に強い」。
これ自体は、数字の上では本当です。
ここからが、今日いちばんお伝えしたいことです。
東京都の被害想定には、都心南部直下地震のほかにも、複数のシナリオがあります。
そのうちの一つ、「多摩東部直下地震」(同じくマグニチュード7.3・冬・夕方・風速8メートル)で、板橋区の想定を見ると、様相が変わります。
つまり、「東京都にとっての最悪」は都心南部直下地震ですが、「板橋区にとっての最悪」は、あまり報道でも取り上げられない多摩東部直下地震なのです。
ほとんどの区民の方が、このシナリオの存在自体をご存じないのではないでしょうか。
さらに見過ごせないのが、都の被害想定に記された、次の一文です。
被害は都心部・沿岸部に集中するため、板橋区への応援は遅れる、または限定されるおそれがある。
首都直下地震が起きたとき、被害の大きい都心・沿岸部に人員・物資が優先的に投入されるのは、ある意味で当然です。
しかしそれは裏を返せば、板橋区のような周辺区は「後回しになりうる」ということでもあります。
だからこそ、区独自の備蓄・自助・共助が重要になります(この点は、避難所・備蓄をテーマにする回で詳しく扱います)。
被害想定は区全体の数字ですが、実際のリスクは町丁目ごとに大きく異なります。
東京都は、おおむね5年ごとに「地域危険度測定調査」を行い、都内すべての町丁目を、建物倒壊・火災の危険度に基づいてランク1(低い)からランク5(高い)まで評価しています。
最新の第9回調査(令和4年9月公表)によると、板橋区内の134町丁目のうち、最も危険な ランク5は、ゼロ 。
その次に危険な ランク4は、2つだけ です。
その2つとは、泉町と宮本町。
志村坂上から本蓮沼にかけての、旧中山道の西側にあたる地域です。
木造密集地域にあたり、また道路が狭く緊急車両が入りにくいことがリスクを高めています。
「板橋区で危ない町」というと、木造住宅密集地域として知られてきた大山エリアを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、大山町・大山金井町・大山西町・大山東町の4町は、いずれもランク2まで改善しています。
再開発と不燃化が進んだ成果が、数字にはっきり表れています。
もう一つ興味深いのが、高島平です。
高島平の団地エリアは、地盤そのものは軟らかい部類(沖積低地・揺れの増幅率が高い)にもかかわらず、危険度は区内で最も低いランク1にとどまっています。
頑丈な鉄筋コンクリートの建物と、広い空き地があれば、地盤の弱さを補って危険度を下げられる——ということです。
防災は、地盤そのものよりも、「まちづくり」次第で変えられる部分が大きいのです。
なお、この地域危険度は5年ごとの相対評価のため、「ランクが上がった=急に危なくなった」とは限りません。
他の町の改善スピードが速ければ、自分の町のランクが相対的に上がることもあります。
ご自宅・職場の町丁目のランクは、東京都都市整備局のサイトで確認できます。
板橋区の住宅の耐震化率は、令和6年度時点でおよそ89.9%まで進みました(木造80.8%、非木造92.9%)。
それでも、耐震性のない住宅は、区内にまだ 約3万3千戸 残っています。
板橋区の耐震化助成は、実はかなり手厚い制度です。
診断・設計は実質無料、改修も費用の大部分をカバーする水準です。
特に注目していただきたいのが、新耐震基準の住宅への対象拡大です。
2016年の熊本地震では、2000年(平成12年)基準の建物の倒壊被害が少なかったことが確認されました。
これを踏まえ、板橋区は令和6年4月から、「新耐震基準ではあるが2000年基準より前」の木造住宅にも、助成の対象を広げています。
「昭和56年(1981年)以降に建てたから安心」とは、必ずしも言い切れないということです。
地震対策として、耐震化と並んで重要なのが「感震ブレーカー」です。
板橋区は「全世帯への100%設置」を目標に掲げていますが、令和7年度の区民意識意向調査では、設置率はまだ10.6%にとどまっています。
私自身、区の「防災+カタログ」で届いた簡易型のブレーカーが、自宅では取り付けられなかった経験があります。
この話は、明日のブログで詳しくお伝えします。
まずは、ご自宅の耐震性と、お住まいの町のハザードマップ・地域危険度をご確認いただくことから始めていただければと思います。
The post 板橋区の「最悪シナリオ」は意外な地震だった——熊本地震で総点検する、板橋の地震リスク first appeared on 中妻じょうた 板橋区議会議員.
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