2026/6/26
2024年4月から、すべての民間事業者に「合理的配慮の提供」が義務化されました。
飲食店も、小売店も、中小企業も、例外はありません。
でも、板橋区内の事業者にこの変化はどれだけ届いているでしょうか。
「障がいと共に生きる板橋へ——中妻じょうたの障がい者政策ノート」第3回です。
第1回(なぜ私は障がい者政策に取り組むのか)・第2回(板橋区の障がい者数の実態データ)もあわせてお読みください。
「合理的配慮」という言葉、聞いたことはあっても、具体的に何をすることなのか、イメージしにくいかもしれません。
一言で言えば、「障がいのある方から、困っていること・バリアを取り除いてほしいという申し出があったとき、過重な負担にならない範囲で対応すること」です。
たとえば、こんな場面が当てはまります。
どれも、大きなコストをかけずにできる「ちょっとした工夫」です。
大切なのは「まず断らない。一緒に方法を考える」という姿勢です。
障害者差別解消法は2016年に施行されましたが、当初、民間事業者への合理的配慮は「努力義務」にとどまっていました。
やるべきだけれど、やらなくても罰則はない——という状態です。
それが2021年の法改正を経て、2024年4月1日から民間事業者にも「法的義務」に格上げされました。
(出典:内閣府 改正障害者差別解消法の施行)
ただし、罰則(刑事罰・過料)は現行法には設けられていません。
対応を繰り返し怠り、自主的な改善が見込めない場合には、国の行政機関から報告徴収・助言・指導・勧告を受ける可能性があります。
また、SNSでの拡散による風評リスクも現実のものとなっています。
よく聞かれる疑問があります。
「どこまでやれば義務を果たしたことになるのか」「断っていいケースはあるのか」という問いです。
法律では、「過重な負担にならない範囲で」と定められています。
「過重な負担」かどうかは、事業規模・財務状況・実施体制・配慮の内容などを総合的に見て、個別に判断します。
たとえば、大手チェーンが断るのと、従業員2人の個人店が断るのとでは、「過重かどうか」の評価が変わりえます。
一律の答えはなく、「建設的な対話」——つまり、双方で話し合って解決策を探ること——が法の求める姿勢です。
この「基準の曖昧さ」は、特に中小規模の事業者にとって対応のしにくさにつながっています。
板橋区は、区の組織・職員の対応について、以下のものをすでに整備しています。
また、学校・幼稚園教職員向けには、合理的配慮の事例を含むハンドブックも整備されています。
(出典:板橋区 障害者差別解消法 公式ページ)
区みずからが範を示している点は評価できます。
しかし、義務の主体は区職員だけではありません。
板橋区内に数多くある民間事業者——商店、飲食店、クリニック、塾、不動産屋、工場——がどれだけ対応できているかが、これからの課題です。
この法改正が施行されてから2年以上が経ちますが、実際のところ、区内の中小事業者への周知は十分とは言えないと感じています。
「合理的配慮の義務化」を知っている事業主がどれくらいいるか。
知っていても、「どう対応すればよいか」まで把握できている方がどれほどいるか。
私はこの問題を議会でも問い続けてきました。
区の広報・研修・相談窓口の充実と、実効ある啓発——特に中小企業・個人事業主への丁寧な支援——が必要だと考えています。
この法律は、障がいのある方にとって「申し出る権利」を後押しするものでもあります。
サービスを受ける場面で困ったとき、「申し訳ないから遠慮する」ではなく、「こうしてもらえると助かります」と伝えてよいのです。
また、周囲にいる私たちも、「何か困っていることはありますか」と一声かける習慣を持てると、まちの雰囲気が変わっていきます。
相談窓口として、2025年4月から国の「つなぐ窓口」(内閣府)が本格運用されています。
板橋区内でも、区の障がい者相談窓口(板橋区保健所・福祉事務所)を利用できます。
第4回では「働く・稼ぐ——障がい者雇用の現実と板橋の挑戦」をお届けします。
全国に67万人以上の障がい者雇用者がいる一方、法定雇用率を達成できている企業は半数以下。
就労継続支援B型の平均工賃は月約2.3万円——この現実から、板橋の「チャレンジ就労」を考えます。
「障がいと共に生きる板橋へ」連載一覧
「障がいと共に生きる板橋へ——中妻じょうたの障がい者政策ノート」は全5回連載です。
ご意見・ご感想はぜひ中妻じょうた事務所までお寄せください。
The post 「合理的配慮」が義務になった——あなたの職場・お店は対応できていますか?|第3回 first appeared on 中妻じょうた 板橋区議会議員.
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