2026/6/4
5月14日に開かれた閉会中の文教児童委員会で、板橋第六小学校の改築における基本設計が報告されました。
板六小は、昨今大きく姿を変えた「大山クロスポイント」のすぐ近くにあります。
タワマン2棟が建ち、子育て世帯が一気に増え、限られた敷地の中で校舎を建て替えていく——板橋区の学校改築の中でも、特にチャレンジングなプロジェクトです。
今日はこの基本設計の中身を、目玉の「可動床プール」を中心に、私が委員会で何を質したかもあわせてご紹介します。
板六小の話に入る前に、背景となる大山クロスポイントを、軽くだけ整理します。
大山駅のすぐ南には、ハッピーロード大山商店街——昭和の頃から続くアーケード商店街——があります。
この商店街の真ん中あたりを切るかたちで、都道補助第26号線(幅員20メートル、延長約95メートル)を通す計画が都市計画審議会で承認されました。
これに伴ってその部分のアーケードは撤去され、跡地にシティタワーズ板橋大山 サウスタワー(地上26階)とノースタワー(地上25階)を中心とする再開発街区、いわゆる「大山クロスポイント」が完成しました。全体の竣工は2024年12月。低層階は商業施設として整備され、エリアの風景が一変しました。
長年続いたハッピーロード大山の姿を変えるこの整備は、長年にわたって、本当に多くの議論を積み重ねてきたものです。
強い反対のお声もありましたし、いまも、いろいろなご意見があります。
ただ、大山をはじめとする東上線沿線の再開発の背景には、東武東上線の立体化という大きな計画があります。
線路を高架化することで踏切をなくし、東西の行き来をスムーズにし、安全で住みよい街にしていく。
その実現のためには、駅前の再開発も避けて通れません。
地域の持続的な発展のため、地域住民が主体となって、少しずつ前進しているところです。
これが、これからお話しする板六小改築の、いわば「街の側」の背景です。
クロスポイントでタワマン2棟が建つということは、この地域に子育て世帯が大きく増えた、ということです。
そのクロスポイントに最も近い小学校が、板橋第六小学校です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 板橋区大山町13番1号 |
| 敷地面積 | 6,138.31㎡ |
| 用途地域 | 商業地域、第2種住居地域 |
| 周辺主要道路 | 国道254号(川越街道)/区道1900号線ほか |
決して広くはない、むしろ大山駅から徒歩圏という都心立地の中では、かなり制約のある敷地です。
そこに、児童数増加に対応してキャパシティを増やさなければならない、という現実があります。
教育委員会の答弁によれば、令和20年頃に児童数のピーク、24クラスを予測しているとのことです。
板橋区教育委員会は、今回の改築の機会を捉えて、単にキャパシティを増やすだけでなく、新しい学びと地域連携の試みをいくつも盛り込んだ基本設計を作ってきました。本記事ではそれをご紹介します。
基本設計のコンセプトは、6つの柱で整理されています(出典:【資料3-1】【資料3-参考】)。
普通教室の壁の四面すべてに大小の黒板・ホワイトボードを設置し、教室の「前」と「後ろ」が固定されない方向性のない教室にする。
グループ討議でも、円になっての発表でも、自由に使える。
理科室など特別教室の準備室空間も見直し、共用部とも一体で使えるしつらえにするとのこと。
共用部のあちこちに、自由に集まれる場所、本を読める場所、発表できる場所、リラックスできる場所を設けます。
一人になれたり、みんなでおしゃべりしたりできる「デン」と呼ばれる小空間や、畳スペースもあります。
子どもたちへのワークショップで「ゆっくりしたい」「本が読みたい」という声が多かったことを、そのまま設計に反映したものです。
板六小改築の、もうひとつの大きな特徴です。
学校を地域に開いていく、という強い意志が設計に表れています。
基本設計書では「大山駅周辺地区として地域に開かれ、にぎわいを活性化する地域コミュニティ拠点」と明示されています。
屋上スペース——子どもたちがほっと一息つける、緑豊かな場所——と、可動床の屋内プール。
後者は今回の大きな目玉なので、次の章で詳述します。
校務センターはフリーアドレスに対応した造り。
働き方に合わせてレイアウト変更が容易です。職員ラウンジも設けます。
今回の板六小改築の最大のポイントです。
5階に設置される、屋内プール。しかも床が動く「可動床式」。
普通のプールは、夏場以外は授業に使えません。
屋外プールだと授業の時期は短いし、メンテナンスも大変です。
板六小のプールは、5階に屋内で設置されます。理由は2つ。
そして、プールの床が、ボタン操作で上がってくる——これが「可動床式」です。
1年間まるごと、5階の大空間を稼働させられるわけです。
屋内プール空間にはエアコンも設置予定で、真夏でも快適に授業ができます。
可動床はただの板ではありません。すのこ状になっていて、床を上げるときに水を抜く必要がありません。水を張ったまま、その上に床ができる——これは、災害時を意識した設計です。
課長:一応、多目的運動場になったときにもプールの水は抜かないので、そのまま利用が可能なしつらえにしたいと思っています。
課長:床がすのこ状になっていますので、そのまま水ごと上げるんじゃなくて、すのこで落としながら上げていって床をつくっていくので、(中略)そのまま災害時にも使えると。
避難所機能のうち、特に生活用水の確保は重要な論点です。
可動床式にしたことで、オフシーズンでも常時プールの水が確保され、災害時にすぐ使える。
よく考えられた設計だと感じます。
もうひとつ重要なのが、板六小プールの「拠点校化」構想です。
昨年度の「プールの在り方報告」で整理されたもので、拠点校1校+グループ校2校体制でプール授業を共同利用すると、財政効果として年間約54万円の試算が出ています。板六小は、その拠点校の一つとなることが見据えられている、ということです。
通学距離は原則10分以内を目安として整理されているとのことで、グループ校の組み方は今後具体化されていきます。
ライフサイクルコストの議論も委員会でありました。
課長:1年間でトータルでかかる、そういうメンテナンスコストとして、約、平均すると170万ぐらいという話は今の段階で聞いているところでございます。先ほどありましたように、夏、夏季から、プールを使っているときから使わないときにしっかり床を上げて固定してという作業も含めてその程度のコストがかかるというところでございます。
つまり、可動床にしたことによる追加コストが年間およそ170万円。
普通プールの稼働期間は3〜4ヶ月。
それを追加170万円で1年フル稼働、しかも拠点校化で他校の授業も引き受け、災害時には水利用、と用途が三段重ねになります。
多面的に見れば、合理性のある選択だと、私は受け止めています。
私がこの委員会で何を質問したかをご紹介します。
私は議事の最後にこう申し上げました。
中妻:全体としては本当に大変大きなチャレンジではないかと。今後、人口増が予想される地域で敷地面積的には大変厳しい中、代替地確保せずに敷地の中で建て替えていくという、しかもその中には、プールの話多いですが、新しい挑戦が満載という、大変チャレンジブルな建て替え、もちろんこれは心配は尽きないんですけども、何とかうまくいってほしいというふうには思っております。
一番心配していることだけ1点お伺いしたいと思うんですが、やっぱり今言ったキャパシティーの問題です。近くに大山クロスポイントがあり、2つのタワマン、シティタワーズ板橋ができまして、多分、入居はまだ続くんじゃないかというふうに見られる。これで終わりとも限らないという中で、板六小、果たしてキャパシティー的に対応できるのかどうかというのが、私は最大心配事なんですが、この点の見通しだけお伺いしたいと思います。
これに対する課長答弁は、こうでした。
課長:児童推計でいくと、令和20年頃が最大値になると予測をして、24クラスを予測しています。なので、今回の計画でも24クラスを確保するといった部分がメインになってきます。ただ、今、委員おっしゃられたとおり、それを超える児童数増も考えられるので、例えば資料の4ページ目で3階、4階のオープンスペースが上のほうにあると思うんですが、そちらのオープンスペース、教室と全く同じスペースになっていますので、こちらのほうを教室に転用するなりというのはしやすいのかなと考えておりますので、予想を超える児童増があったとしても、ある程度は対応できると、そういうふうに考えております。
普通教室と同等のサイズのオープンスペースを各階に確保しておくことで、いざというときに教室に転用できる柔軟性を持たせている。
フリーアドレス、方向性のない教室といった「仕切りを最小化する」設計思想は、まさにこの柔軟性を支えるためでもあるわけです。
そのうえで、私はもう一歩踏み込みました。
中妻:(中略)先ほどの子ども家庭部の報告事項でもありましたとおり、出生率はこの7年ぐらいずっと下がり続けているにもかかわらず子どもの数は増えていると、社会増だということが分かるわけですけれども、そこを考えると、果たして頭打ちというのがくるのかどうかも分からないですね。これまでずっと、子どもの人口推計は頭打ちは何年だ、何年にピークだピークだと言っておいて、全然当たっていないので、これは心配を言っても始まらないっちゃ始まらないんですが、教育としては、どうやって子どもたちのための学びの場を確保するのかというのは継続的に議論していかなきゃいけないところだと思っていますので、これは全体的な話になりますけれども、積極的な土地の確保から含めて、やっぱり考えていかなきゃいけない局面は出てくるんじゃないかなということを心配していますので、また議論をさせてください。
これは、先に書いた保育の話とまったく同じ構造です。
板橋区は出生率は下がっているのに、社会増で子どもが増え続けている——保育園で待機児童が再び生じたように、小学校もキャパシティの限界がいつ来るか分かりません。
いまの段階から、土地確保を含めた中長期の議論が必要だ、ということです。
私以外の委員からも、興味深い質疑がいくつかありました。代表的なものをご紹介します。
設計の前段階で、アンケートとワークショップを実施。「屋内でプール授業がしたい」「本が読みたい・ゆっくりしたい」「屋上は緑豊かに、動的でなく静的に」といった子どもたちの希望が、設計に反映されています。
板橋区内では板橋第十小学校で先行事例があり、現場の声として「大きなマイナスの意見は特になかった」とのこと。
板六小は児童数増で先生も増える見込みなので、レイアウト変更しやすいフリーアドレスの利点が効きます。
下足箱をなくして広いエントランスホールを確保する代わりに、清掃や用務員さんの負担はどうなるか、という質疑がありました。
具体の運用は今後詰めるとのこと。
一足制は、池袋第一小学校への視察を踏まえた設計だと答弁されています。
体育館は2階アリーナ。停電中はエレベーターは動かない前提で設計されており、避難所運営において要配慮者の受け入れは、1階ホールを一時受け入れに使うなどの柔軟運用が検討されています。
屋内プール(5階)も、プール利用期間外は避難所として転用可能な計画です。
| 年度 | 工事 |
|---|---|
| R9〜R11 | I期工事(校舎棟) |
| R12〜 | 既存校舎解体 → II期工事(アリーナ棟) |
| R14末 | II期工事完了、外構工事 |
| R15 | 新校舎全面使用開始 |
完成までの間、校庭は利用制限あり、プール授業は休止。
長期戦になります。
Ⅰ期工事完了後は、新校舎の可動床プールを軽運動スペースとして暫定利用する計画も組まれています。
板橋第六小学校改築の基本設計。コンセプト6本柱、目玉の可動床プール、令和20年ピークを見据えた24クラス+オープンスペース転用での柔軟対応。
大山クロスポイントによる社会増を受け止め、限られた敷地の中で「新しい学校」をつくる、大変チャレンジングな計画です。
可動床プールひとつとっても、
と、複数の目的を一台のハードに重ねた、合理的な設計になっています。
私は委員会で「キャパシティの問題は、いまの計画で対応しきれない可能性がある」「積極的な土地確保まで含めた継続議論が必要」と申し上げました。
出生率が下がる中で社会増で子どもが増え続ける板橋区——保育の世界で起きていることが、初等教育の世界でも遠からず起きうる。
子どもたちの学びの場をハードとソフトの両面でしっかり確保することこそ、いま板橋区が真剣に取り組まなければならない仕事の一つだと考えています。
これからも、現場の声、子どもたちの声、地域の声を区政に届けてまいります。
The post 板橋第六小学校 改築基本設計—大山クロスポイントの真隣、目玉は『可動床プール』 first appeared on 中妻じょうた 板橋区議会議員.
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>中妻 じょうた (ナカツマ ジョウタ)>板橋第六小学校 改築基本設計—大山クロスポイントの真隣、目玉は『可動床プール』