2026/4/22
大田区など東京23区は、ごみの焼却処理を共同で行っています。
共同で行うために設立した「東京二十三区清掃一部事務組合」が、今後15年間の処理計画案をつくり、意見募集していたので、意見を申し述べました。
ippaikeikaku6genan一般廃棄物処理基本計画6次
1500字と言う制限があったので、出した意見は短くしていますが、
清掃事業をあまりよくご存じない方のために、出した意見について少し説明を加えてご報告します。
末尾に、23区のごみの焼却処理を共同で行っている歴史的な経緯について
書いておきますので、こちらもよろしければ、お読みください。
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一般廃棄物処理は、各区固有の仕事(自治事務)ですが、
各区は、組合規約3条1基づき、可燃ごみの焼却施設(以下工場)の整備及び管理運営を共同で行うため、東京二十三区清掃一部事務組合(以下一組)を設立しました。
ごみ量推計の問題
工場に搬入される可燃ごみは、
各区が、各区の方針や基準等に従い、収集・運搬したごみを
搬入しています。
ですから、ごみ量は、各区の施策に基づいて予測すべきですが、
一部事務組合の計画案では、
「国の策定指針に基づき、人口動態や社会・経済情勢、関連法令などの趣旨を踏まえた上で行います。」として、一組独自に行っています。
これは、一組の共同処理の事務の範囲を超えているため違法です。
一方で、23区の区長会は、今回の計画案策定に際して、
「清掃工場整備計画に関する検証委員会」を立ち上げてそこに諮問し、
それを根拠に、一組推計、及び4つの23区推計の合わせて5つのごみ量の推計を
「妥当」と評価しています。
5つの方法でのごみ量推計を、どれも「妥当」と評価するのもおかしいですし、
そもそも、区長会は任意団体ですから、区長会のまとめを根拠に、各区の推計ではない一組の推計を正当化することはできません。
一組は、各区の収集運搬や各区の施策に基づいて、ごみ量推計すべきで、適法なごみ量推計になっていません。
これは、一組設立の規約の範囲を超えていて、
一組の暴走と呼ぶべき企画案で、
だから、過去から常に、各区のごみ量推計と一組の推計に、乖離が生じてきたのです。
(各区のごみ量推計の積み上げの方が少なかった)
区長会のまとめを利用した一組の計画案の策定は、
区移管以前に、23区が、東京都が各区の清掃事務を行っていた、都の内部団体だったころに戻っており、
自治権の後退で、現在のしくみによる策定をしていませんから、違法です。
焼却余力の問題
*焼却余力(ごみ量の季節変動に対応できるよう焼却能力に余力を見込んでいる)
ごみを貯めるピットを最大限に活用することで、焼却能力を減らすことができますが、
焼却余力の策定方法は、最大月変動係数から、機械的に割り出しているため、
過剰な焼却能力につながっています。
各区のごみ施策と乖離した推計方法に問題があるうえ、
さらに余力の計算方法にも問題があることで、
一組推計は、更に過剰になっています。
一組は、排出されたごみの処理の責任を負っているから、(多めの焼却能力を設定せざるを得ない)と言いますが、
排出されたごみを処理処分するのが一組の責任で、推計に責任を持つのは、各区側です。
この勘違いが、一組のごみ量推計と、各区のごみ量推計のつみあげとの乖離になり、
一組のごみ量推計と一組の実績との乖離となっています。
各区が、責任あるごみ量推計を行い、
その推計の積み上げにより、一組のごみ量推計を行うべきです。
計画策定における発生量、処理量見込みの法的位置づけ
環境省は、ごみ処理基本計画は、廃棄物処理法第6条第2項に基づき、
ごみの発生量及び処理量の見込みについて、ごみの性状等を勘案した区分ごとに定めることを求めています。
各区バラバラで、統一されていないごみ組成の出し方
ところが、清掃事務が都から区に移管され、共同処理から4半世紀が経つにも関わらず、未だに、各区のごみ組成内訳の出し方や、区分が統一されていません。
これは、一組も各区も、より精緻なごみ量推計をしようと努力をしていないことの表れで、これもまた、ごみ量乖離の一因となっています。
ピット内のごみ組成調査をしていない一組
仮に、一組独自の計画策定が許されるなら、持ち込まれたごみを一時保管するピット内のごみ組成調査は必須ですが、一組はそれさえ行っていません。
いずれにしても、この計画案は、法令に従って適正に行われていませんから、無効です。
区分を曖昧にした、推計と実績が、精緻なごみ量予測を阻む
家庭、小規模事業者、大規模事業者で分けるべき
工場に入るごみは、
1.家庭ごみ、
2.小規模事業者が、料金を払って購入したシールを貼って出す事業系一般廃棄物、
3.大規模事業者が委託するなどして直接清掃工場に持ち込む事業系ごみ、
の三つに分けられます。
ところが、一組は、
ごみ量推計は「1.家庭ごみ」と「2.3.事業系ごみ」に分けていて、
実績は「1.2.区収集ごみ」と「3.持込ごみ」で把握しています。
区長会の検証委員会で、検証委員からの質問に、
23区の代表は、
「事業系一般廃棄物と家庭ごみの割合を区分することが出来ない」と答えましたが、
小規模事業者が出す、事業系一般廃棄物は、ごみ処理シールの販売実績で、およその量を見込めますから、1.2.3.で、推計も、実績も、出すべきです。
一組のごみ量推計では、小規模・大規模事業者合わせた事業系ごみが増えていると予測していますが、
例えば、
大田区は、【区民と事業者の努力で、区民一人当たりごみ量が減っている】と言う調査結果です。
23区全体が大田区の傾向なら、
大規模事業者のごみが増え、小規模事業者のごみと家庭ごみは、今後減る見込みになると思います。
一組は、事業系ごみが増えると予測していますが、
小規模事業者が出しているごみが、増えると予測しているのか、減るとしているのかも、
今の実績と予測の出し方では、わかりません。
23区のごみ組成調査も統一的な基準がありませんから、
家庭ごみと事業系一般廃棄物を分け、量と内容を正確に把握したうえで、ごみ量予測すべきです。
特に、区長会は、
・家庭ごみ有料化と、
・小規模事業者の廃棄物処理手数料の増額、
の実現に向け検討、と言っていますが、。
個人の力ではどうすることもできない家庭ごみの処理費用は、税で負担すべきですし、
売値に転嫁することが難しい小規模事業者の廃棄物手数料の増額も、慎重にすべきです。
陳腐化した平成17年の推計手法で推計
今回、
区長会の検証委員会は、有料化等によるごみ量削減をした場合など、
4つのごみ量推計を出していますが、いずれも一組には採用されず、
平成17年に区長会で各区と一組が行うとした「長期的なごみ量推計の手法」に基づき推計しています。
平成17年と今とでは、
・不燃ごみだったプラスチックを可燃ごみにし、
・その後の容リ法や、プラ新法に基づくリサイクルが始まり、
・コロナによる小規模事業者の廃業等もあり、
・グローバル化も進んで、輸入依存はさらに大きくなり、
・単身世帯化も進んで、
・外食からコンビニやお弁当など買って食べる中食も増えるなど、
社会・経済構造も大きく変わっていますから、
GDP増に伴い事業系ごみが増えると言った、単純な推計はできなくなっています。
平成17年に区長会で各区と一組が行うとした「長期的なごみ量推計の手法」による
推計そのものが陳腐化し、実態を反映しません。(と言っても、どういう推計方法か公表されていない、、、)
ごみ削減のための家庭ごみ有料化は、
多め多めのごみ量予測で清掃工場建設後?
幾重にも多めに出る予測を元に、この計画案に基づき施設を整備し、
その後、仮に、区長会のいうようにごみ削減のため家庭ごみ等を有料化すると、
過剰な規模の施設整備費を税で負担させられ、有料化や負担増で負担させられ、
二重の負担になり、ごみ減量の効果が見えません。
景気が良くなって増えるごみは、
良くなった景気で増えた税収で
計画案では、
今後、人口が増え、景気が良くなって、事業系ごみが増える、
のですから、
景気が良くなって増える税収で、ごみの処理費は、負担すべきです。
大丈夫だと言って始めたプラ焼却で、
稼働時処理率低下を一組が認める
23区は、2008年からプラスチックを可燃ごみとして焼却し始めましたが、その時の議論で、高温になる、クリンカー、温室効果ガスほか、指摘されましたが、
助燃材になる、有害物質は(対策されており)問題ない、リサイクルした方がコストがかかる、など影響は無いと導入したにもかかわらず、
「稼働時処理率」の低下は、焼却時の発熱量が高いプラの混入率が大きく影響していると検証委員に説明しています。
焼却したい時には大丈夫と説明し、
稼働時処理率が下がれば、プラスチック焼却の責任にするなど、ご都合主義の説明です。
当時、日経新聞2007年11月4日(日)の記事に、匿名の焼却炉メーカー関係者の「せっかく焼却炉を作ったのに”ごみ不足”で連続稼動が困難なケースもあるようです。それなら廃プラも燃やした方がいいと考えたのかも知れません」という発言が掲載されましたが、
その通りと言わざるを得ません。
一組は、職員減から、新会社を設立し、民間企業の退職社員を雇用して、清掃工場の管理にあたらせるなど、してきましたが、直営のノウハウが失われ、管理運営の質が低下しているのは、稼働日数や休止の増から明らかです。
都の内部団体に逆戻りする23区長
特に注目すべきは、今回の策定において、区長会が検証させた委員会が、東京都の意見を聴く場面を設けていることです。
小池都知事も、家庭ごみ有料化に言及しています。
23区は、本来、区の固有の財源である固定資産税や、法人住民税をいったん、都が徴税した後、そのうち56%を都から分配されています。
そのうえ、市町村の財源である都市計画税は、100%都が徴収して、区に配分されています。
この財政調整制度は、配分構造に不透明な部分があり、
そのため、ややもすると、都に主導権を握られがちです。
日本の経済の中心東京に集まる固定資産税も、法人住民税も、日本で一番多く集まります。23区の交付金総額は、1兆3604億円(令和8年度)。
かつては、都の事務だった清掃事業は、2000年の区移管以降、23区の自治事務です。
それでも、そういう都知事のごみ有料化への発言は、23区長にとっては、財政調整の交付や、都市計画交付金の配分を盾にした、従うべき天の声の様に聞こえるかもしれません。
知事のごみ有料化への発言は、
区移管から4半世紀を経て、都の内部団体化どころか、戦前の東京市に逆戻りした感が否めません。都、一組、区長会に抗議するものです。
家庭ごみ有料化でごみ削減と言いながら、
廃棄物削減の取り組みがほとんどない計画
計画案は、最終処分量削減に向けた取り組みほか、全体に、最終処分量やプラスチックの削減についての言及はあっても、廃棄物そのものの削減について、「ごみの性状から見たごみ減量の可能性」でしか触れられていません。
区長会の検証委員会で、ごみ削減のため家庭ごみ有料化の検討を進めるとしながら、この計画案では、廃棄物そのものの減量にふれていません。
大量生産、大量消費、大量廃棄のしくみそのものを改善できるのは、政治ですから、経済構造から、ごみ削減に努めるべきです。
最終処分場延命を言うなら、プラスチック焼却で延命できると一組が言った効果の検証を
2007年にプラスチック焼却を始めた時に、埋め立て処分場があと30年から、あと50年に延命されるとプラスチック焼却の効果を説明していました。
今回の計画案では、最終処分場の延命を理由にごみ削減を言っていますが、
プラスチックを可燃ごみとしたことでの、最終処分場延命の効果の検証が、まず必要です。
焼却率低下は、経年劣化より、不十分な整備では?
一組は、経年劣化が、焼却能力や焼却率に影響すると説明しているが、耐用年数内で、適正な整備を行っているなら、故障等による休止が増えることはあり得ないのではないでしょうか。
それに対し、一組は、財源や期間には限りがあり、必ずしも十分な整備が実施できているわけではない、他の自治体の多くは人口減少に伴い処理量が減少しているため、施設規模や稼働日数に余裕がある、と答えています。
不十分な整備が、焼却能力や稼働率に影響しているなら、財源のために十分な整備をしえいないことこそが、問題で、逆に過剰な清掃工場の建設費負担増を招くことになります。
23区域にわたるスケールメリットが生かされていない
国は、清掃工場の広域化を言ってきています。そもそも、23区域の「他に類を見ない広域化によるスケールメリット」が、この計画案だけでなく、これまでの清掃工場の整備や維持管理に生かされていませんし、見えません。
計画案には、全ての工場が、概ね維持できていると記されていますから、それらを急いで建て替えることなく、適正に管理して使用すべきです。
廃止すべき多摩川清掃工場、予備に残すべき大田工場
また、多摩川清掃工場は、現在の処理能力は、150トン×2炉の300トンですが、300トン×2炉の600トンと倍の処理能力の工場に建て替える計画になっています。
多摩川工場周辺は、住宅地になっており、住環境への配慮から、時期が来て廃止すべきは多摩川工場で、廃止するとしている臨海部の大田工場を残すべきです。
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東京23区のごみの焼却処理などの特殊な歴史的経緯
東京23区は、清掃工場の維持管理を、共同で行っています。
戦前、東京23区は、東京市の内部団体だったので、その名残です。
その後、紆余曲折あり、
2000年に、地方分権の流れで、基礎的自治体として位置付けられました。
当初、ごみは、各区で処理していこうと、
2000年(平成12年)度に17だった清掃工場は、21にまで増やしました。
ところが、その後、
工場のある区も、ない区も、相互に協調連携して中間処理体制(ごみの焼却処理のこと)を確保することを確認し、
2003年(平成15年)11月に、
当分の間、共同処理が望ましいと方針転換されました。
23区は、
収集運搬は、各区、
焼却処理等は、23区共同、
埋め立ては、東京都、
で行っています。
共同処理のため、23区で
という地方公共団体をつくって
可燃ごみの焼却施設の整備及び管理運営など
を共同で行っています。
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