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【現役記者が解説】スマホ前提の家計支援でよいのか|成田市デジタルポイントに高齢者から不安の声

2026/7/12

物価高騰が市民の暮らしを圧迫するなか、成田市が実施している「物価高騰対応家計応援デジタルポイント給付事業」に対し、高齢者から使いにくさを訴える声が上がっている。

物価高騰対応家計応援デジタルポイント給付事業の事業内容

同事業は、全市民を対象に1人当たり4,000円相当のデジタルポイントを給付するもの。市は2026年5月8日から対象者に案内通知を発送し、スマートフォンなどで二次元コードを読み取り、専用サイトで手続きを行う仕組みを採用している。ポイントは電子マネーやデジタルギフトなどに交換できる。成田市は、スマートフォンでの受け取りが難しい人には、コールセンターなどへの連絡により、Visaの対象店舗で使えるプリペイド式ギフトカードを郵送するとしている。

高齢者にとってハードルの高いポイント利用

しかし、高齢者からは「ログインできない」「登録はできたが使い方がわからない」といった声を頻繁に聞く。制度の説明を読んでも、スマートフォンの操作に慣れていない人にとっては、受け取りまでの手順が複雑に感じられる。市の支援策であるにもかかわらず、実際には家族や知人に手続きを頼まなければ使えない人もいる。

問題は、単に「スマートフォンを持っているかどうか」ではない。スマートフォンを所有していても、行政手続きや電子マネーの交換、残高確認、店舗での利用に不安を抱える高齢者は少なくない。内閣府の高齢社会白書でも、高齢者がスマートフォン操作を習得するには反復練習が必要であり、スマートフォンを使う機会の少なさが習熟を妨げる問題として指摘されている。

成田市は、スマートフォンでの受け取りが難しい人にはギフトカードを郵送するとしている。だが、これも利用者が自らコールセンターなどに連絡する必要がある。さらに、Visaプリペイド式ギフトカードは、商品券のようにそのまま分かりやすく使えるとは限らない。市の説明では、店舗で「Visaのカード、1回払いで払います。ICチップがついていないカードです」と伝える必要がある。残高確認も電話や二次元コードを使う方法が案内されており、残高を使い切る際には現金との併用や端数処理にも注意が必要だ。

これでは、高齢者にとって本当に使いやすい制度とは言いがたい。物価高騰対策は、生活に困っている市民へ確実に支援を届けることが目的である。受け取りや利用の段階でつまずく人が出る制度であれば、支援策としての効果は弱まる。とりわけ高齢者にとって、日々の買い物で直ちに使えるかどうかは重要だ。

求められているのは、誰もが使いやすい制度の導入

成田市が導入すべきなのは、高齢者にも分かりやすい紙の商品券や地域クーポンである。商品券であれば、スマートフォン操作やポイント交換を必要とせず、スーパー、ドラッグストア、商店などでそのまま利用できる。家計支援としての分かりやすさも高く、市内の事業者支援にもつながる。周辺自治体では、紙の商品券やクーポンを配布する例もあり、成田市でも実施は十分に検討できるはずだ。

もちろん、デジタルポイントを否定する必要はない。スマートフォンを使い慣れている人にとっては便利な面もある。問題は、デジタル方式を原則とし、使いにくい人にだけ別手続きを求める制度設計である。高齢者や障害のある人、デジタル機器に不慣れな人にとって、申請や問い合わせそのものが負担になる。

市民生活を支える制度であるなら、最初から複数の選択肢を用意すべきだ。例えば、65歳以上の市民には原則として紙の商品券を配布する、あるいは全市民がデジタルポイントと商品券を選べるようにする方法が考えられる。少なくとも、スマートフォンで手続きできない人が自分から申し出なければ別方式を利用できない仕組みは改めるべきである。

物価高騰は、年金生活者にも重くのしかかっている。食料品、光熱費、日用品の値上がりは、日々の買い物のたびに生活を圧迫している。だからこそ、家計支援は「制度として用意した」だけでは不十分だ。必要な人が、迷わず、遠慮なく、確実に使える制度でなければならない。

成田市は、デジタル化の利便性だけを強調するのではなく、高齢者の実際の暮らしに目を向けるべきだ。市民の声を踏まえ、高齢者向けの商品券配布を導入し、誰一人取り残さない物価高騰対策へ制度を見直すことが求められている。

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著者

清水 ひろき

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肩書 映像記者、子ども食堂「からべえ」副代表
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