2026/8/5
【日本に原潜は造れるのか】
先日、韓国で、原潜の取得や運用など包括的に定める特別法案の内容が明らかになりました。
北朝鮮の潜水艦戦力への対抗、造船・原子力産業の発展、防衛力の自律などが目的で、2030年代半ばの進水を目指しています。
日本でも、自民・日本維新の会の連立合意に「次世代の動力を活用したVLS(垂直発射システム)搭載潜水艦の保有」が盛り込まれています。
さらに日本維新の会は提言「『危機の30年』時代の国家安全保障戦略」で、「早急に原子力潜水艦を導入すべき」としました。
日本が原潜を検討するうえで、重要な論点は三つ。
①政治的意思
日本では長く、原潜保有が本格的な政策課題として扱われてきませんでした。原子力船「むつ」で起きた、中性子を中心とする放射線漏れ事故の記憶も、社会的警戒を強めました。
まずは、日本が原潜で遂行すべき任務は何か、通常動力型潜水艦では困難かどうか。長期にわたり潜航できる原潜の任務特性と、我が国の防衛のあり方をいま一度、整理する必要があります。
②法整備
原潜は核兵器ではないため、原子力推進というだけで非核三原則に反するわけではありません。
一方、原子力の軍事利用は、現在の政府解釈では原子力基本法の「平和目的」に反します。導入するなら、原子力基本法をはじめ、軍用原子炉の安全規制や事故対応などの法制度を見直す必要があります。
政治的意思、法整備に続き、もうひとつの論点。これが最も重要であり、かつハードルが高い。
③技術・産業基盤
潜水艦用原子炉を国内で開発できるのか。原潜を建造し、数十年にわたって安全に運用・整備できるのか。
日本には、高度な通常動力型潜水艦の建造技術、原子力技術、そして原子力船「むつ」の経験があります。
しかし、日本企業や海上自衛隊には、原潜を建造・運用・維持した実績がありません。
予算も大きな課題になりますが、予算がつけば技術・人材・設備が直ちに整うわけでもありません。
そこで問われるのが、そもそも
「日本に原潜を保有し、維持する能力はあるのか」
という点です。
『世界の艦船』(海人社)8月号には、海上自衛隊で潜水艦隊司令官(海将)を務めた小林正男氏による「日本は原潜を取得できるか?」が掲載されています。
まさに潜水艦の専門家が、日本の原潜取得の可能性を、技術、運用、コスト、人材など、さまざまな角度から検証しています。
そして、結論は、ずばり、
「政治的に決断すれば取得は可能」
というものです。
なぜ、この結論にたどり着いたのか。
8月号の「原子力潜水艦―その拡散と進化」特集をぜひ読んでみてください。
年内の安保3文書の改定では原潜に関する方向性が出るかもしれません。この夏に読んでおきたい一冊です。
「世界の艦船」のサイトはこちら↓
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