2026/9/13
デジタル庁は9月11日、政府共通の業務基盤「ガバメントソリューションサービス(GSS)」への不正アクセスにより、約24万6,000件の個人情報が外部に漏えいした可能性があると発表しました。
対象となったのは、政府機関の職員や、その業務に携わった事業者などの氏名、メールアドレス、電話番号、住所などです。一般の方の個人情報やマイナンバー、金融機関の口座情報、年金番号などは含まれておらず、現時点では二次被害も確認されていないとのことです。
それでも、「約24.6万件」という数字を見ると、かなり大きな事案だと感じます。元システムエンジニアとして今回のニュースを見ると、単に「情報が漏れた」ということ以上に、いくつか気になる点があります。
■気になったのは「VPNの脆弱性」
デジタル庁の発表によると、第三者がネットワーク接続機器(VPN)の脆弱性を利用してシステムに侵入したとされています。そして、保守運用担当者のアカウントを使って、大量のファイルにアクセスしていました。
実は、システムの世界では、「脆弱性が存在する」ということ自体は、残念ながら珍しいことではありません。
OSにも、ネットワーク機器にも、ソフトウェアにも、運用開始後に新たな脆弱性が発見されることがあります。
大切なのは、脆弱性が見つかったときにどう対応するかです。対象となる機器を把握し、必要な修正プログラム、いわゆる「パッチ」を適切なタイミングで適用する。すぐに適用できない場合には、別の方法でリスクを下げるといった対応も必要になります。
また、不審なアクセスが発生していないかを継続的に監視することも欠かせません。
システムのセキュリティは、導入時に対策をして終わりではありません。運用を続ける中で、新しい脆弱性に対応し続けていく必要があります。
■もう一つ気になる「保守運用アカウント」
もう一つ目に留まったのが、「保守運用担当者のアカウントを利用して大量のファイルへのアクセスが行われた」という部分です。
システムを管理するためのアカウントは、一般利用者よりも強い権限を持っている場合があります。だからこそ、誰がそのアカウントを利用できるのか、どこから接続できるのか、どのような操作が行われたのかを把握し、通常とは異なる動きがあった場合に早く気付けるようにしておくことが重要です。
今回、デジタル庁は6月25日に大量のファイルへのアクセスを検知して調査を開始し、7月9日にVPNの脆弱性を利用した侵入が判明。対象アカウントの停止や、侵害された機器と外部との通信遮断を行ったとしています。
ここから分かるのは、「侵入させない対策」だけでは十分ではないということです。
どれだけ対策をしても、サイバー攻撃のリスクを完全にゼロにすることは難しい。だからこそ、「侵入された場合に、いかに早く異常に気付くか」という視点も非常に重要になります。
■DX=新しいシステムを入れること、ではない
これは行政DXにも通じる話だと思います。
自治体でも現在、さまざまなシステムのデジタル化が進んでいます。人口減少が進み、行政を担う職員の確保も難しくなっていく中で、デジタル技術を活用して業務を効率化することは、避けて通れません。
私自身、DXを進めることには賛成です。ただし、
新しいシステムを導入すること=DX
ではありません。
これは、SE時代からずっと感じていたことでもあります。
紙でやっていた仕事を、そのままパソコンの画面に置き換えただけでは、本当の意味での業務改善にはなりません。システムを入れる前に、そもそもの仕事の流れを見直し、不要な作業や重複している入力をなくす。そして、新しいシステムが動き始めた後も、本当に職員の負担が減ったのか、本当に仕事が効率化されたのかを検証する。
そこまでやって、初めてDXだと思っています。
■DXを進めるからこそ、「運用」を大切に
今回のデジタル庁の事案を見て、「やっぱりデジタル化は危険だ」と結論付けるのは違うと思います。
デジタル化を止めれば解決する問題でもありません。
むしろ、これから行政DXを進めていくからこそ、導入することだけではなく、安全に使い続けられること、問題を早く発見できること、職員が無理なく使えること、そして実際の業務改善につながっていることまで考えていく必要があります。
デジタル庁も今回の事案を受け、脆弱性管理方法の見直しや、外部からの接続方法の改善などに取り組むとしています。
松山市でも、内部事務システムの再構築が進められています。松山市のDXが単なる「システムの入れ替え」で終わることなく、職員の働き方や市民サービスの向上につながっているのか。元システムエンジニアの市議会議員として、一般質問でも、しっかり確認していきたいと思います。
👇デジタル庁の発表より
https://www.digital.go.jp/news/2026-0911-01?utm_source=chatgpt.com

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