2026/4/28
大分市議会 子ども育成・若者活躍推進委員会では、「若者が活躍できる環境づくり」をテーマに調査・研究を進めています。今回、その一環として、今年4月にオープンしたばかりの「だんのはるオーガニックケアガーデン」を視察させていただきました。

▲大分市議会子ども育成・若者活躍推進委員会のメンバーと視察。
この施設を運営するのは、NPO法人「おおいた子ども支援ネット」。
「こどもたちの最善の利益」と「権利擁護」を理念に、自立援助ホームや子どもシェルター、放課後等デイサービスなど、切れ目のない支援を展開している団体です。
今回のプロジェクトは、元修道院と隣接する民家を改修し、単なる福祉施設ではなく「育ち合う場」として再設計した点に大きな特徴があります。
敷地全体が“オーガニックケアガーデン”として整備され、子どもたちや保護者だけでなく、地域住民や近隣の大分大学の学生が、庭仕事や食事、読書といった日常の営みを通して自然に関わり合う空間となっています。
「人と植物とまちが育ち合うオープンな庭」――
そのコンセプトの通り、この場所には“支援する側・される側”という一方向の関係はありません。多様な人が関わり合いながら、それぞれの役割を持ち、関係性を紡いでいく。まさにこれからの福祉のあり方を体現する場だと感じました。

▲近隣住民、大分大学の学生とも関わりながら様々なプロジェクトを進めていく予定。
視察に先立ち、矢野茂生理事長との意見交換の機会もいただきました。
その中で特に印象的だったのは、「若者支援の在り方」に対する考え方です。
まず一つ目は、「窓口中心の支援の限界」。
行政には多くの支援制度や相談窓口がありますが、困難を抱える若者にとっては「そこに行くこと自体がハードル」であるという現実があります。つまり、制度はあっても届いていない。だからこそ、待ちの支援ではなく、日常の中で自然に関われる場が必要だという指摘でした。
二つ目は、「地域との関わりが人格形成に与える影響」。
幼少期から地域の中で人と関わる経験が、青年期以降の社会性や自己肯定感に大きく影響する。これは教育や福祉を分断して考えるのではなく、地域全体で“育てる環境”をどうつくるかという視点の重要性を示しています。
そして三つ目が、「関係性資本(ソーシャルキャピタル)」の重要性です。
若者が活躍するために最も必要なのは、個人の能力以上に「支え合える関係性」であるという考え方。誰かとつながっているという実感が、挑戦する力を生み出します。
こうした考えを具体的に形にしたのが、このオーガニックケアガーデンです。
例えば、大学と連携した「地域連携拠点」の取り組みでは、学生たちが主体となり地域課題に向き合うプロジェクトを展開しています。一人暮らしの高齢者への買い物支援や、途絶えていた地域の盆踊りの復活など、“誰かのために動く経験”が若者の成長にもつながります。
また、畑での農作業や花壇づくり、コミュニティライブラリーの運営、さらには民家を活用した「持ち寄り居酒屋」など、地域住民も巻き込んだ多様な活動が進められています。これらは単なるイベントではなく、「関わり続ける仕組み」として設計されている点に大きな価値があります。
特に印象に残った言葉が、「ひとりぼっちにならない」ではなく「ひとりぼっちになれない社会をつくる」という考え方でした。
支援とは、孤立した人を後から救い上げることではなく、そもそも孤立が生まれにくい環境をつくること。そのためには、福祉を“閉じた制度”から“開かれた地域の営み”へと転換していく必要があります。
今回の視察を通じて、「若者が活躍できる環境」とは、単に機会を提供することではなく、「安心して関われる関係性」と「自然に役割が生まれる場」をどうデザインするかにあると実感しました。
これまでの委員会での調査研究でも、若者が主体的に挑戦できる機会の提供や、社会的自立につながる支援の重要性が見えてきています。しかし、その前提として必要なのは、「関わり続けられる場」の存在です。
だんのはるオーガニックケアガーデンは、その具体的なモデルの一つと言えるのではないでしょうか。
今後の大分市においても、こうした実践から学びながら、制度だけでなく「場」や「関係性」に着目した施策のあり方を検討していきたいと思います。
◆だんのはるオーガニックケアガーデン◆
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