2024/7/3
このブログでは、鎌倉市のごみ処理の課題について、鎌倉市の計画に触れ、自分の考えを述べさせていただきます。このブログには、私見が含まれますので、予めご理解ください。
1 鎌倉市のごみは、7割が家庭から出されている。
2022年度の鎌倉市のごみ排出量の内訳は、家庭系ごみ7割、事業系ごみ3割です。
鎌倉市のリサイクル率は、2022年度に56.3%で全国1位となっています。リサイクル率は、(資源化量÷総排出量)で算出します。資源物の割合が上がると、リサイクル率が高くなるわけです。
しかし、家庭系ごみの半分は焼却しています。一方、事業系ごみで焼却するのは1割程度です。事業系ごみ単体のリサイクル率は概算で8割を超えています。
また、資源物3.2万トンのうち植木剪定材で1.2万トンになります。この分でリサイクル率が約20%分上積みされていることがわかります。
2022年度ごみ排出量
| 区分 | 燃やすごみ | 資源物 | その他 | 計 |
| 家庭系ごみ | 19,340トン | 19,235トン※ | 2,633トン | 41,208トン |
| 事業系ごみ | 1,807トン | 13,401トン※ | 363トン | 15,571トン |
| 計 | 21,147トン | 32,636トン | 2,996トン | 56,779トン |
※家庭系資源物のうち4,923トン、事業系資源物うち7,403トンは植木剪定材。
2 鎌倉市のごみ処理は家庭系ごみが基本である。
法律の枠組みを整理します。なぜ鎌倉市がごみ処理をしているのかということを確認します。廃棄物処理法では、処理しなければならないのは誰なのか、次のように定めています。
処理しなければならないのは誰か。<廃棄物処理法>
| 区分 | 一般廃棄物 | 産業廃棄物 |
| 家庭系ごみ | 市町村 | - |
| 事業系ごみ | 事業者※ | 事業者 |
※一般廃棄物処理計画で市町村が処理を計画している場合は、市町村が処理することができる。
法律上、鎌倉市は家庭系ごみだけを処理すれば良いということです。
家庭系ごみの半数は焼却しているのでした。そこで、焼却施設がキモになります。
3 名越クリーンセンター停止後は、燃やすごみの減量+逗子市内焼却施設での処理。<第3次鎌倉市一般廃棄物処理基本計画(2016年度~2025年度)(2021年6月改定)>
鎌倉市は、現在、名越クリーンセンターでごみ焼却処理を行っていますが、2024年度で稼働停止すると決めました。
2025年度以降は、焼却ごみを減らすため、これまでの燃やすごみを細分化します。また、事業系ごみの燃やすごみは、市が処理をしないで、各事業者の責任で処理してもらいます。
(1)2025年度の細分化と分別徹底による燃やすごみの減量化
| 旧区分 | 新区分 | |||
| 燃やすごみ(旧) | 18,971トン | ①燃やすごみ(新) | 15,522トン | |
| ②紙おむつ | 1,512トン | |||
| ③家庭系生ごみ | 988トン | |||
| ④紙類等の分別徹底 | 949トン | |||
(2) ごみの処理
| 区分 | 処理 |
| ①燃やすごみ(新区分) | 逗子市内焼却施設で焼却処理する。 |
| ②紙おむつ | 市内に新施設を整備するか民間事業者に処理委託する。 |
| ③家庭系生ごみ | 市内に好気性微生物活用施設を新たに整備して処理。 |
4 ごみ焼却施設の規模は、1日300トン以上が効率的である。
循環型資源基本法では、廃棄物対策の優先順位を決めています。①発生抑制(Reduce)、②再使用(Reuse)、③再生利用(Recycle)、④熱回収(Thermal Recycle)、⑤適正処分(Dispose)という順番です。ごみ焼却施設では、燃やしたときに出る熱を使って、タービンを回して発電したり、余った熱でお湯を沸かしたりして、エコなエネルギーを作ることができます。④の熱回収ですので、最後のひと絞りというイメージで、重要です。
ごみ処理施設性能指針(1998年策定)
| ごみ処理施設は、原則として連続運転式とすること、ごみ処理の効率性、発電の効率性、経済性から考えて300トン/日以上が望ましい。 |
国の定める基準は1日300トン以上です。鎌倉市の名越クリーンセンターは、1日150トン規模ですので、非効率といえます。
5 鎌倉市だけでは燃やすごみの量が足りないため、ごみ焼却の広域連携は必要である。
鎌倉市のごみ焼却量だけでは、施設を大型化することができないため、他市町村との広域的な枠組みが必要になるわけです。鎌倉市は、2025年度から逗子市、葉山町と連携して、ごみを逗子市の逗子環境クリーンセンターで焼却します。なるほど、これで効率化できるなと思ったのですが・・・
逗子環境クリーンセンターは1日140トン規模で、名越クリーンセンターよりも規模が小さいです。また、逗子環境クリーンセンターは、使われはじめたのが名越クリーンセンターとまったく同じ1981年度で、古いのも一緒です。非効率であることには変わりないのです。
では、ごみの量がどのくらいあれば、効率的な焼却炉を持てるのでしょうか。実稼働率を一般的な0.7で置くと、必要な年間の焼却量は、1日300トン×365日×稼働率0.7=76,650トン/年
2025年度計画焼却量
| 鎌倉市 | 逗子市 | 葉山町 | 合計 |
| 15,522トン | 7,402トン | 3,771トン※ | 26,695トン |
※2026年度計画値
年間7万トン以上が必要なのですが、3市町の合計では3万トンに満たず、焼却量が少なすぎるのです。連携自治体をさらに増やす必要があると僕は考えています。
規模の目安としては、藤沢市が103,453トン(2025年度計画)、横須賀市が94,042トン(2023年度実績(三浦市受け入れ分含む))となっています。
ちなみに、一般的なごみ収集車の積載量は、2トンで、ごみ袋1,000袋分です。1日300トンだと、収集車150台分になります。
6 逗子市内焼却施設は2034年度で停止するため、新たな対応が必要となる。
2025年度から2034年度までは逗子市内焼却施設で処理してもらいます。しかし、逗子市は、2034年度末に逗子市の焼却施設を停止するとしているため、その後の手当が必要です。市の基本計画では、2市1町の連携枠組みに限定せず、県内市町村との連携を神奈川県と協議するとしています。簡単にいうと、決まっていないということです。
また、意外と知られていないことですが、2市1町(鎌倉市、逗子市、葉山町)の連携協定では、2035年度以降は、2市1町の燃えるごみ(新区分)を名越の中継施設で受け入れ、そこから新たな処理施設に運搬することが決まっています。
7 大型焼却施設を鎌倉市に作るか、他の市に作ってもらうか。
鎌倉市のごみは、逗子市で2034年度まで処理してもらえるが、その後の処理施設はどこにするのか、適地が明らかではないことが大きな課題だと思います。したがって、2035年度以降の広域連携を目指すなかで、鎌倉市内に焼却施設を建設するのか、他の市町村に建設してもらうのか、検討していく必要があります。あと10年しかないため、検討をすぐに始める必要があるのではないでしょうか。
2019年に鎌倉市が出した「将来のごみ処理体制についての方針」で、焼却施設を建設しないことが妥当とした費用負担比較があります。次の4つの案を比較したものです。
| 案 | 30年間の総費用 |
| ①焼却炉1日124トン規模を新設 | 292億円 |
|
②焼却炉1日100トン規模を新設 +生ごみ処理施設1日24トン規模を新設 |
281億円 |
| ③広域連携 | 221億円 |
| ④域外処理 | 222億円 |
①と②の焼却施設建設の案は費用面で不利とされました。確かに30年間で60億円以上高いです。
しかし、この案が、そもそも非経済的な小規模施設を新設するという前提に立っていることに注意してください。広域連携のケースとして、1日300トン規模の新設による他の自治体からの受け入れ処理委託料収入ありのケースを検討すべきではなかったかと思います。
このケースでは、焼却施設で5,000kw~10,000kwの高効率発電ができるため、公共施設での自家消費や市場への売電、災害時の活用が可能であり、利点も大きいです。10,000kwは1,000世帯分の電力に相当します。迷惑施設に留まらない夢のある話です。施設規模は小さいですが、東京都の武蔵野市役所に隣接した焼却施設の例があります。
候補地については予断を持っていませんが、建設に2万㎡程度(小・中学校くらい)の敷地が必要となることや、同等の建替え用地を確保することが合理的であること、送電ロスを減らすため公共施設に隣接していることが望ましいことを指摘したいと思います。
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ウエノ ガク/47歳/男
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