2025/7/25
はじめに
令和7年7月23日に鎌倉市議会の議会全員協議会が開催されました。松尾市長から議会に開催要請があり、議員全員を招集し、市長が鎌倉市役所の新庁舎整備についての新しい方針を示したのです。当然、わたし上野がくも出席し、質問もしてきました。この記事ではその内容を整理しています。
1 方針変更の概要
これまで:鎌倉市役所は深沢地域に移転する。
今回の提案:議会、市長、政策決定部門は鎌倉地域の現在地に残し、本庁舎のままとする。市役所のその他の部門は深沢地域に移転する。
2 方針の変更理由
・市役所の移転に必要となる市役所位置条例の改正(深沢地域に移転)が可決される(議員の2/3の賛成が必要)見込みがない
・災害時の業務継続のため、深沢での庁舎整備が必要
3 深沢庁舎は分庁舎とする
・地方自治法上の整理をする必要があるが、分庁舎としての整備となる見込み。
・災害対策本部は深沢庁舎に設置する。
・新庁舎の基本設計を実施している最中だが、令和7年7月8日から業務を一時停止している。今後、計画を変更して基本設計を再開する予定である。計画変更に伴い設計業務委託契約の変更契約を締結する予定で、増額する金額によっては12月議会で議決を経る必要がある。
・今の計画規模を大きく削ることは考えていない。移転する職員数が減少するが、鎌倉市の職員1人当たりの床面積は他の自治体と比べて狭い計画となっていたので、その点も考慮して整備する。
4 鎌倉地域の市庁舎は本庁舎として維持
・大規模改修又は建替えを実施する予定。
・議会、市長、政策決定部門に加えて、公共施設再編の計画であった生涯学習センター、中央図書館の機能を収容することが可能である。
・ただし、民間に貸し出すスペースを5,700㎡で整備する計画であったが、現在の本庁舎の議会と政策決定部門がある2階フロアの床面積が3,700㎡で、これを入れるために、貸出スペースが2000㎡に減る。これによる減収が発生することになる。減収の額は算出していない。
5 市役所位置条例は改正しない
・市役所は移転しない。市長、政策決定部門、議会を現在地に残すため、本庁舎の移転とはならない。したがって、市役所位置条例を改正する必要はない。総務省に出向き確認済みである。今後、文書での確認も行いたい。
・今後は市役所位置条例の改正を提案しない予定。
(参考)大阪地裁判決(平成29年12月7日)
「大阪府は、平成22年4月から平成23年5月までの間に、(本庁舎である)大手前庁舎からAビルへ相当数の部局が移転し、約2,000名の職員が咲洲(さきしま)庁舎において勤務することとなったことが認められるものの、大手前庁舎には、上記移転後もなお、大阪府知事(知事室)が常駐し、大阪府議会が存在するほか、政策企画部、総務部、財務部等の多数の部局が存在し、咲洲庁舎を上回る約3,000名の職員が勤務している。このような事実関係に照らせば、Aビルへの部局の移転は、大阪府の主たる事務所を移転するものとはいえない。」
「主たる事務所か否かの判断においては、その執行機関(知事)及び議決機関(議会)の所在の有無が第一次的な判断要素になるというべきであり、部局や来庁者の数は判断要素の一つになるとしても、これにより主たる事務所の所在が決まるとは解し難い。」
以上抜粋、一部名称補足。
6 機能の移転規模
| 鎌倉本庁舎 | 深沢分庁舎 | |
| 機能 | 市長、総務部、共生共創部、議会 | 市民防災部、こどもみらい部、健康福祉部、環境部、まちづくり計画部、都市景観部、都市整備部、会計管理者、教育委員会など |
| 正規職員数(850人) | 2割程度 | 8割程度 |
※深沢分庁舎については、総務部と共生共創部以外の部署を書いてあります。
7 整備費用は変わらない
・整備費用は市役所移転案と同等。基本設計の中で詳細な金額を積算していく。
・ただし、現在地で民間に貸し出しする計画だった面積が減るため、減収(金額不明)が発生する見込み。
| 深沢分庁舎整備・移転 | 170億円 | |
|
鎌倉本庁舎 どちらか |
建替えた場合 | 136億円 |
| 大規模改修した場合 | 164億円 | |
8 財政余力は十分にある
・財源は財政調整基金、地方債、一般財源からとなる。
・今の積算額で試算すると余裕があるが、建築コストの高騰や市の扶助費の増も見込まれる。これらの増を見込んでも、実質公債費比率(財政規模に対する借金の元本と利息の返済額の割合%)は1ケタ台の前半に留まる見通し。健全性は十分。(起債に要許可18%、早期健全化基準は25%、財政再建基準は35%)
9 8月に市民への説明の機会
・8月に説明会を予定。オンライン2回、対面2回。
・HPや広報かまくら8月号に説明会の案内を掲載する。
おわりに
今回の市長提案の背景には、令和7年4月に実施された鎌倉市議会議員選挙を経て、新しい市議会議員の構成で6月定例会が終了した段階で、市役所の移転に必要な位置条例を改正するために必要となる2/3の議員の賛成を見込めないとの判断が大きかったものと思われます。限られた条件の中で、より良い(悪くない)選択をしていくしかないのが政治というものでしょう。一方で、議会が過半数は移転に賛成していると見られる中で、反対している議員との妥協点を見いだせていない現状は大変残念であり、自分自身も力不足を感じています。
この記事をシェアする
ウエノ ガク/47歳/男
ホーム>政党・政治家>上野 がく (ウエノ ガク)>【鎌倉市庁舎】新庁舎の整備の方針転換について議会全員協議会で分かったこと