2025/1/28

1月21日(火)、私が支援者として参加をしている「里親家庭のあすを考える会」と、「児相と親子の架け橋千葉の会」で、こども家庭庁へのヒアリングと意見書提出を行いました。
【意見書の趣旨】
現在こども家庭庁が進めている児童虐待防止法の改正案の一つ、「虐待の疑いの段階でも、行政処分として面会通信等制限をかけることができるよう明文化する」ことに反対する。
というものです。
【この話の大前提】
「虐待を受けていないにも関わらず、誤った通告によって児童相談所に一時保護され、『虐待は無い。親に会いたい。』と訴えても聞き入れられず、親から長期間引き離されている子ども」が全国各地にいるということ。
児童虐待の問題において、本来児童相談所に期待されている役割は、子どもたちの命を守り、その成長を保障するという極めて重要なものであります。
であるが故に、児童相談所に与えられた権限は、法改正を経るごとに強大になってきました。
この権限が諸刃の剣であり、現在、全国各地で誤認保護や「子どもの最善の利益」を逆手に取った行き過ぎた保護が発生しているのです。
さらに、迅速かつ公正な調査が行われ、誤った一時保護が早急に解除されるのであればまだしも、ずさんな調査により、数カ月、ときには数年という長期間に渡って多くの親子が引き離され、お互いが会いたいと訴えているのに、会うことはもちろん、電話で話すことすらも許されないという状況にあるのです。
心を病み、一時保護所内で自死を選ぶ子どもも少なくありません。
過剰な一時保護によってこのような人権侵害が起きているにも関わらず、虐待死の人数は過去20年間、あまり変化が見られません。(年間50人前後)
一体全体、誰のための児童福祉行政なのでしょうか。
国の令和7年度予算案によれば、児童虐待防止や社会的養護に4033億円もの血税が投入される見込みですが、それが本当に子どもの利益に繋がるのか、私には甚だ疑問です。
【今回のヒアリングを受けて理解したこと】
こども家庭庁は、
①「児童相談所職員は児童相談所運営指針や一時保護ガイドラインに沿って業務を遂行するだろう」という性善説に立っている。
②地方行政の現場で何が起きているかを高い解像度で把握しようとしていない若しくは把握するマンパワーを有していない。
【私見】
厚労省やこども家庭庁が大事に作成した一時保護ガイドラインも児童相談所運営指針も、児童相談所内では守られていないという意見をよく耳にします。これらは当然国民の利益を守るために存在するのですから、作成した国は、正しく運用されているかチェックしようとする姿勢や能力を持ち、不適切な運用がなされていたらすぐに改善するよう是正の要求をするべきなのです。
国が現場の実態から目を背け続ける限り、国が目標とする「こどもまんなか社会」に近付くことはおろか、遠ざかっていくばかりだと言わざるを得ません。
◯仕事や子育てに追われる親を支え、子どもの成長を保障する。
◯必要な場合には、「適切な調査・判断の下、」保護し、家族支援に力を入れ、早期の家庭再統合を目指す。
これらの当たり前のことが当たり前に行なわれる社会を実現しなければ、国民一人ひとりの幸せは実現されません。
【基礎知識】
子どもの権利条約・・・1994年に批准。条約であり、☆法律に優先☆する。
第9条
「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。」
つまり、
子どもには親子分離をされない権利がある。子どもの最善の利益に反する場合は分離されることもある。(虐待等)
ということです。
行政指導・・・法的拘束力は無く、従うかどうかは任意だが、従わないと行政処分に移行することあり。
行政処分・・・法的拘束力があり、従わないと刑事罰が科されることあり。
【意見書提出の背景】
虐待疑い又は虐待認定のケースで子どもが一時保護された場合、ほぼ全てのケースにおいて「行政指導」の形で親子間の面会通信等(面会や電話・手紙でのやり取り)の制限(禁止や回数制限)がされます。
「任意なんだから従わないで面会要求すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、「面会させてください。」と何度も要求すると、非協力的とみなされて行政処分に移行することがあるため、親は同意していなくても従わざるを得ない、つまり行政指導であっても実質的には強制力があるわけです。
このことについては、行政指導であるにも関わらず、親の同意を得ずに面会通信制限をしていること自体が違法と裁判において判断されています。(裁判例:https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=91191)
虐待を疑われた場合、誤認保護や行き過ぎた保護であっても、実質的に強制力のある面会通信制限が課され、子どもが泣いて訴えても一時保護解除どころか面会すら認められないケースが起きている現状で、さらに権限を強化しようとする今回の法改正は、現場の実態を無視し、子どもの権利条約にも反したものなのです。
【余談】
今回の件は面会通信制限についてでしたが、それ以前の話として、一時保護に関しても公平性を欠く立法がなされております。
それは、今年6月に施行となる、「一時保護開始時の司法審査導入」です。
ねらいは、「一時保護の適正性の確保や手続の透明性の確保のため」ということで、児童相談所だけで決定するのではなく、司法の判断を仰ごうというわけです。
社会保障審議会の報告書でも、「独立性・中立性・公平性を有する司法機関」と形容されています。
司法による二重チェック、素晴らしいことです。
さて、ここで、「一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル(案)」の中を見てみますと、以下のように書いてありました。
「一時保護の必要性については、児童の福祉に関する専門的な判断の必要性から、その知見等を有する児童相談所長等の合理的な裁量に委ねられており、一時保護時の司法審査を行う裁判官は、当該一時保護の目的の達成に必要な限りにおいて、児童相談所長等の判断を尊重すべきものとし、明らかに一時保護の必要がないと認めるときを除き、一時保護状を発付することとされている。」
明らかに一時保護の必要性がないと認めるとき以外は一時保護状を出す、ということです。
そもそも、明らかに一時保護の必要性がないと認められるようなケースは、児童福祉の専門的知見を有している児童相談所長ならば同様の判断を下すことができるはずです。
ということは、本来そのようなケースは保護されるはずがなく、司法審査を受けるべくもないので、司法審査される場合には、ほぼ全ての事案で、「(保護すると判断した)児童相談所長等の判断を尊重すべき」という観点から、一時保護状が出されることになると私は考えております。
これでは、「独立性・中立性・公平性」が担保されているとは言えません。
刑事裁判において、法律に関しての専門的知見を有しているからという理由で検察官の判断を尊重していたら、被告人はみな有罪になってしまいます。
それでも、刑事裁判では被告人の意見陳述の機会があり、さらには国選弁護人に弁護をお願いすることもできるのでまだ良い方なのです。
一時保護の司法審査では、親は裁判官に口頭で意見を伝えることができず、児童相談所が親の意見を聴き取ってまとめた書面を裁判官に提供することが基本で、希望すれば自分で意見書面を作成することができるだけです。あくまで書面なのです。
(実際に苛烈な虐待をした親は分離されて然るべきですが、)誤認保護や行き過ぎた保護をされた親にとって、児童相談所という組織を相手に、自分の無実・正当性を勝ち取ることは困難を極めることでしょう。
なぜ、裁判では当たり前に認められている権利が、一時保護の司法審査では認められないのでしょうか。
問題が山積みの児童福祉行政。
地方の現場から、国民の窮状を訴えていきます。

この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>立川 しゅんいち (タチカワ シュンイチ)>【児童虐待防止法の改正案について】こども家庭庁へのヒアリングと意見書提出