2026/7/25

先日、「文化の木」で開催された研修に参加しました。講師は前大阪府福祉部高齢期介護室 介護支援課長だった方です。
高齢者向け住まいが増加する中、埼玉県は全国平均を上回る勢いで伸びています。「住み慣れた地域で安心して暮らしたい」という願いの裏で、現場や制度には様々な課題も存在します。

高齢者の住まいは大きく3つに分けられます。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
見守り付きの「賃貸アパート」です。義務付けられているのは安否確認と生活相談のみ。自立して生活ができる方向けで、自分のペースで自由に過ごせる魅力があります。
住宅型 有料老人ホーム
「お世話付きの住居」です。食事の準備や部屋の掃除、安否確認などがセットになっており、レクリエーションも盛りだくさんです。
介護付き 有料老人ホーム
「24時間おまかせの介護施設」です。食事や入浴の介助などをスタッフが直接提供してくれます。要介護度が重くなってもずっと住み続けやすいのが大きな安心につながります。
研修の中で特に考えさせられたのが、行政側が抱えるもどかしさです。
サ高住が「登録制」であるのに対し、有料老人ホームは「届出制」です。つまり届出さえ出せば開業できるため、万が一質の低いサービスを提供するような事業者が現れても、行政が開業を止めたり強い処分を行ったりすることが構造的に難しかったのです。
「これで本当に利用者の安全が守れるのか?」という懸念から、ついに制度が動きます。令和9年(2027年)4月施行の改正法により、中重度の要介護者を受け入れる有料老人ホームに「登録制度」が導入され、行政の目が届く形へと変わっていきます。これは大きな一歩だと感じます。
課題がある一方で、民間の有料老人ホームやサ高住が果たす役割の大きさも忘れてはなりません。
今、自治体が新しい特養を建てようとしても、まとまった市有地を見つけるのは困難です。その点、民間事業者は土地の借上げやデベロッパーとの連携により、スピーディーに施設を開設してくれます。
また基準が柔軟なため、多様な料金設定やサービス展開が可能です。最近ではがん末期の方や難病の方を受け入れるホスピス型も増えており、医療的ケアが必要な方々にとって大切な選択肢となっています。
そして、研修で最も衝撃を受けたのが「紹介事業者」をめぐる問題でした。
施設を探す際、間に入ってくれる紹介事業者は頼もしい存在ですが、彼らは施設側から「紹介料」を受け取ります。相場は1件20万円ほどですが、事業者同士の顧客獲得競争により価格が吊り上がり、なんと1件150万円もの高額な紹介料が支払われるケースもあるというのです。(大阪府の事例)
これに対し、大阪府枚方市では地域包括支援センター、高齢者住まい事業者、紹介事業者の3者が集まり「ひらかた介護向上委員会」を結成。顔の見える関係をつくり、健全な環境を守ろうと立ち上がっています。
「顔の見える関係」づくりと適切な情報提供
人生の大きな決断である住まい選びで、悪質な紹介事業者に振り回されない仕組みが必要です。桶川市の地域包括支援センターやケアマネジャーが中心となり、地元の信頼できる事業者と「顔の見える関係」を築くこと。枚方市のような取り組みは、桶川市にとっても非常に参考になります。
「どこで、誰と、どんな風に最期まで暮らしていくか」。 これは他人事ではなく、私や家族、そして桶川で暮らす全ての人にとって避けては通れないテーマです。
施設が増えること自体は選択肢が広がる良い面もありますが、その裏にある制度の課題やお金の流れにも目を向けなければいけません。埼玉県の伸び率の高さ、そして令和9年の制度改定という節目の年を意識しながら、桶川の高齢者の皆さんが自分らしく安心して暮らせるよう、私自身も関心を持ち続けて発信していきたいと思います。


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