中村 ひとし ブログ
「自然を守れ」の幻想|洪水・地滑りと治水技術
2026/7/20
武田邦彦氏による講義「『自然を守れ』の幻想|洪水・地滑りと治水技術」の要点を、ご提示いただいた内容に基づき厳密に箇条書きでまとめました。
1. 台風・梅雨がもたらす「恵み」の側面
- 日本を潤す自然のシステム: 日本は海に囲まれ、温帯から亜熱帯に位置するため台風や大雨が多いが、これらは水田を潤し米を実らせる「恵みの雨」でもある。
- 消費者の身勝手な態度: 農業をしていない都市部の住民などが「雨が降ると嫌だ」と文句をつけながら米を食べるような、自分本位の風潮を危惧している。
2. 気象学・地形から見た「線状降水帯」の必然性
- 西風による雲の伸長: 地球の自転によって吹く西風(偏西風など)に流され、海上で蒸発した水分が筋状(線状)に伸びるため、線状降水帯が発生するのは自然の原理である。
- 地形による降雨の激化: 筋状になった雲が日本列島の山脈にぶつかって上昇することで激しい大雨(豪雨)となり、九州や中国地方(山口・広島)、東海地方などに昔から定常的に大雨をもたらしてきた。この仕組みは武田信玄の時代から変わっていない。
3. 「自然は変化し、暴力的である」という現実
- 地形の変遷(名古屋の例): 平安時代の海岸線は岐阜の南あたりであり、かつて島だった場所(津島など)が木曽川の上流から流出する激しい土砂によって埋まり、現在の平野が形成された。
- 「自然を守れ」という幻想の批判: 左翼的な自然派が唱える「自然を大切に、ありのまま共存する」という主張は無知によるものである。自然をそのまま放置すれば地形が変わり、人の家は埋まってなくなってしまう。
- 天井川の発生: 自然の変化により川底に土砂がたまり、地面より川の方が高くなる「天井川」が発生する(岡崎周辺などでは川の底の下にバスの通るトンネルがあるほどである)。そのため、人間が住み続けるには浚渫(しゅんせつ)などの土木工事が絶対に不可欠である。
4. 現代の土木技術による洪水の完全な抑止
- 技術力による解決: 過去に東海豪雨を経験した名古屋市は、時間雨量の対応基準を引き上げる対策を施した結果、ほとんど浸水しなくなった。現代の土木技術は武田信玄の「信玄堤」や薩摩藩士の「宝暦治水」の時代とは桁違いに進歩している。
- 自然の固定と人間の知恵: 世界には自然の変化に合わせて家を壊し移動する文化もあるが、日本のようにがっちりとした都市を作った場合は、堤防等で「自然の方を固定する」アプローチを取る。生活を変化させないために自然の変化をどうコントロールするかが人間の知恵と技術である。
5. メディア(NHK)の過剰報道に対する提言
- 不安を煽る報道の不要化: 東日本大震災後に東北地方に建設された巨大堤防の「10分の1」程度でも治水・台風対策に投資すれば、NHKが1時間ごとに「危ない」と連呼する台風報道は完全に不要になる。
- 報道が向かうべき方向: 「命の危険を守ってください」と視聴者を脅すバカな放送ではなく、「現代の土木技術によって安全に台風や自然と共存していける」という、前向きな「自然共存」の情報を伝えるべきである。