2026/5/5
先日、全国の市町村長・議員・職員向けのセミナーに参加した。
北海道から鹿児島まで現地約180名、オンライン約80名の規模で、
4名の講師からそれぞれの現場と思想を聞く時間だった。
「午、駆ける。」のときも感じた。外に出ると、自分の立ち位置がわかる。
自分の町が、どこにあって、何が足りていて、何を持っているかが、少しだけはっきり見える。
正直に言うと、「刺激を受けた」という感覚より「背筋が伸びた」に近い。
講師の誰もが、曖昧な言葉ではなく事実と数字を積み上げて話していた。
議員である自分が、同じことをできているかを問い直す一日だった。
人口約4万5千人の日置市で、永山市長は就任前の10年間を「民間人として場をつくる」ことに費やした。移住者を指名する「移住ドラフト会議」、火山灰の被害をエンタメ化した「スポーツ灰とり」。どれも行政ではなく民間ベースで課題を解決しようとした試みだ。
首長になってからは全職員と30分ずつ個別面談し、全自治会を回るのに2年かけた。「想いだけでわかってくれるのか。データを示して初めて納得してもらえる」という言葉が残った。ハローワークのデータから事務系職種を求める人が地元を離れている実態を掴み、工場誘致から本社機能・事務系雇用の誘致へと方針転換した。保育園の南北格差も需要予測を数字で示したことで、事業者が自ら動いた。
武豊町でも、自分が議会で提案するとき、「なんとなく必要だ」という感覚止まりになっていないか。データを揃えて初めて、議論が始まる。そのことをあらためて認識した。
「言い出してから10年続ければ夢は大体叶う」。溝畑氏が立命館のアジア校誘致を実現したのは、100校以上への交渉と失敗を重ねた末だという。地域の強みをどうブランドにするかが地方都市の生き残り戦略であり、「お金を出すより場をつくる。民間と民間をつなぐのが行政の役割」という視点が印象に残った。
武豊町にも、衣浦港の歴史、1886年に東海道本線より早く開業したJR武豊線、知多半島の食文化といった「発掘されていない武器」がある。財政的優遇策は使えなくても、ストーリーとメッセージで戦えるはずだ。それは私が取り組んでいる「まちしるべ」の方向性とも重なる。
哲学者がAIについて語るという異色のセッション。「良いAIとは、人間の長期的な一貫性と自己決定(実存的価値)を支えるもの。短期的な刺激で人を揺さぶり、閉じた世界に引き込むAIは悪だ」という整理が刺さった。
議会の広報や住民参加のデジタル化を進めるとき、ツールそのものの設計思想を問えているか。便利さの裏に何があるかを議員が問わなければ、誰が問うのかという話でもある。
2026年総選挙の投票率は56.26%、18歳51.45%、19歳34.64%。西田氏が丁寧に解いたのは「SNSをやれば若者が動く」という通説への疑問だ。投票行動の因果関係を特定するのは極めて難しく、出口調査のデータを丁寧に見ると「石丸躍進=SNS・若者支持が原因」という説は単純には成立しない。
そして数の上で選挙を動かすのは依然として40〜60代であること、主権者教育は「現実の政治を扱える政治教育」が必要だが実際には萎縮が起きていること──この二点は地方議員として受け止めるべきことだと思った。武豊町議会として学校に出向く機会をつくることは、広報委員会が目指す「中学生にも伝わる広報」という目標とも一直線につながる。
セミナーを通じて感じたのは、首長も研究者も、根拠のある言葉で話しているということだ。感情や印象ではなく、データと事実を積み上げてから「だから動こう」と言っている。
私が武豊町でやりたいことも、そのかたちでなければならないと思う。シビックプライドの醸成も、複合施設の提案も、住民提案型予算の導入も、根拠と対話を重ねて初めて動き出す。焦らず、しかし止まらずに。
※西田氏の画像使用許可を得ています。
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ホーム>政党・政治家>谷川 健一郎 (タニガワ ケンイチロウ)>データで語り、対話で動かす──全国のまちが向き合っていること