2026/4/27
市川市長選挙で、田中甲市長が掲げた重要政策の一つに、市立高校の設置があります。
田中甲市長は、市川市公式広報の中で、市川市には市立高校がないことに触れ、市川市立中学校で学んだ生徒が、県立高校という選択肢のほかに、魅力ある市立高校を目標にできる新しい流れを作りたいと述べています。
さらに、その市立高校では、国際社会に通用するインターナショナルバカロレア校を目指したいとも表明しています。

参考:市川市公式広報
https://www.city.ichikawa.lg.jp/site/kohoichikawa/54843.html
これは単に「高校を新しく作る」という話ではありません。
市川市の子どもたちの進路を、市川市自身がどう設計するのか。
県と市の縦割りの中で、十分に活かされていない教育資源を、地域の未来のためにどう使い直すのか。
ここが、この政策の核心です。
まず確認しておきたいのは、市立高校構想は、県立高校を否定する政策ではないということです。
現在、市川市内には複数の県立高校があります。千葉県の県立高校名簿でも、市川工業、国府台、国分、行徳、市川東、市川昴、市川南などの県立高校があります。
参考:千葉県 県立高校名簿
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/seisaku/miryoku/k-meibo-50on.html
もちろん、すべての県立高校に問題があるという話ではありません。
国府台高校や国分高校のように、進学実績や学校としての評価を持つ高校もあります。
市川工業高校のように、工業教育や技術人材育成で地域社会に役割を果たしている学校もあります。
しかし、市川市として見たときに、大きな課題があります。
それは、これらの高校が、市川市の教育戦略の中で動いている学校ではないということです。
県立高校は、千葉県全体の高校配置、定員、人事、財政、再編方針の中で運営されています。
県は県全体を見なければならないため、市川市内の一校だけに特別な予算や人材を集中し、市川市の未来戦略に合わせて大胆に作り替えることは簡単ではありません。
つまり、市立高校構想とは、県立高校を否定する話ではありません。
県立高校のままでは十分に活かしきれない一校を、市川市の教育戦略の中で再生する政策です。
千葉県は令和8年度の公立高校募集で、県立高校全日制全体の募集学級数を21学級減らす方針を示しています。
その中で、市川市内の行徳高校も、普通科が4学級から3学級へ減らされることが示されています。
参考:千葉県 令和8年度県立高校募集定員
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/press/2025/r8teiin.html
また、市川市内の県立高校を見ても、倍率が1倍前後の学校があります。
これは、県立高校がすでに安定した選択肢として十分に機能しているというより、少子化や学校選択の変化の中で、学校ごとの特色化が強く問われていることを示しています。
県の対応は、どうしても定員調整、学級減、統合、再編という方向になりやすい。
一方で、市川市が一校を市立化するという発想は違います。
弱っている教育資源を単に縮小するのではなく、地域の未来を担う学校として再生する。
県の広域行政の中で埋もれている一校を、市川市の教育政策の中心に置き直す。
これが、市立高校設置の本質です。
「県立高校だから市は関係ない」
この考え方では、地域の教育資源を十分に活かすことはできません。
市川市内にある学校で、市川市の子どもたちが学んでいる。
それなら、市川市の政治が無関心でよいはずがありません。
これは、児童相談所の問題とも同じ構造です。
県の市川児童相談所の運用に課題があるなら、市川市が自前の児童相談所を持ち、市の責任で改善する。
県は千葉県全体を見なければならないため、市川市だけに人材や予算を集中させることは難しい。
だからこそ、市川市が地域の実情に合わせて責任を持つ意味があります。
高校も同じです。
県立高校が市川市内にある。
しかし、県の枠組みでは、市川市の教育戦略として十分に作り替えられない。
それなら、市川市が一校を引き受け、市川市の子どもたちのための特色ある高校に変える。
これは、県と市の対立ではありません。
県の広域行政では手が届きにくい部分を、市が地域行政として引き受ける。
その役割分担を見直すということです。
住民は、国にも、県にも、市にも税金を納めています。
だからこそ、行政の管轄がどこかという役所側の都合だけで、教育資源が十分に活かされないまま放置されることは、納税者にとって大きな損失です。
県が千葉県全体のバランスを見て運営すること自体は必要です。
しかし、その反面、特定の地域の一校に思い切って人材や予算を集中し、地域の未来戦略として作り替えることは難しくなります。
そこで、市川市が一校を引き受け、市川市の子どもたちのために特色ある高校として再生する。
これは、市が県の仕事を奪うという話ではありません。
県の広域行政では十分に手が届かない部分を、市が地域行政として引き受けるということです。
国民、市民、県民として税を負担している住民から見れば、重要なのは「県の管轄か、市の管轄か」ではありません。
その税金が、本当に子どもたちのために効果的に使われているかです。
市立高校化は、教員にとっての働き方の選択肢にもなります。
県立高校の教員は、県全体の人事ローテーションの中で異動します。
そのため、次にどの地域へ異動するか分かりにくく、家を買う、子育てをする、地域に根を張るといった生活設計が難しくなる場合があります。
しかし、市川市に一校だけの市立高校であれば、教員は市川市を拠点にしながら、腰を据えて学校づくりに関わりやすくなります。
これは、単に先生が楽になるという話ではありません。
熱意ある優秀な教員にとって、県全体の人事ローテーションに流されるのではなく、一つの学校で自分の教育理念を長期的に形にできることは、大きな魅力になります。
IBや探究型教育のような特色校では、教員の継続性が非常に重要です。
学校の質は、建物だけでは決まりません。
どんな先生が集まり、どれだけ長く学校文化を育てられるかで決まります。
市立高校化は、市川市の子どもたちのためだけでなく、熱意ある教員を市川に呼び込む政策でもあります。
さらに、市川市には大きな強みがあります。
それが、高木秀人教育長の存在です。
市川市公式情報によれば、高木教育長は旧文部省に入省後、文部科学省やこども家庭庁で要職を歴任した文科省キャリア出身の教育長です。
参考:市川市 高木秀人教育長プロフィール
https://www.city.ichikawa.lg.jp/site/kohoichikawa/6001.html
国の補助金や交付金は、待っていれば自動的にもらえるものではありません。
制度を読み、国の政策目的に合う事業計画を作り、県との調整も含めて、申請する側が動かなければ活用できません。
この点で、文科省キャリア出身の教育長がいることは大きい。
国が何を重視しているのか。
どの政策文脈に乗せれば採択されやすいのか。
県との調整をどう組み立てるべきか。
事業計画をどの言葉で書けば制度趣旨に合うのか。
こうした実務感覚は、政策実現に直結します。
市立高校化については、「市の負担が増えるのではないか」という懸念があります。
もちろん、この論点は重要です。
しかし、現在は国も公立高校改革を後押しする流れにあります。
文部科学省は、令和7年度補正予算で高等学校教育改革促進基金を創設し、予算額2,955億円を示しています。都道府県に基金を設置し、高校教育改革を先導する拠点を作る仕組みで、人件費、旅費、謝金、設備・施設整備費なども対象経費とされています。
参考:文部科学省 高等学校教育改革促進基金
https://www.mext.go.jp/content/20260220-mxt_koukou02-000047408_19.pdf
さらに、令和8年度の高等学校DX加速化推進事業、いわゆるDXハイスクールでは、公立・私立高校を対象に、新規校1,000万円、継続2年目500万円、継続3年目300万円の定額補助が示されています。
参考:文部科学省 高等学校DX加速化推進事業
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/shinko/mext_00024.html
つまり、市川市が県立高校を引き受け、IB、探究型教育、DX、グローバル人材育成、地域課題解決型学習を組み合わせた特色ある市立高校に再生するなら、国の高校改革支援と接続できる可能性があります。
市がすべてを丸抱えする話ではありません。
県が手放せば、県としてはその高校にかかる将来負担を軽くできる可能性があります。
市は、国の補助や地方財政措置を活用しながら、市川市の子どもたちのための特色校を作ることができます。
市立高校化には、住民、生徒、教員、県、市のそれぞれにメリットがあります。
住民にとっては、国・県・市に納めている税金が、縦割りの中で眠るのではなく、市川市で学ぶ子どもたちのために効果的に使われることになります。
生徒にとっては、市川市立中学校の先に、市川市が責任を持つ魅力ある高校という新しい選択肢が生まれます。
教員にとっては、県内広域の異動に振り回されにくく、市川市に腰を据えて学校づくりに関わる働き方の選択肢になります。
県にとっても、特色化しきれていない高校を市が引き受けて再生するなら、高校再編の一つの建設的な出口になります。
市にとっては、市川市の教育政策を中学校までで終わらせず、高校段階までつなげることができます。
もちろん、市川市の財政負担が増えるのではないかという論点はあります。
しかし、それは「無駄な負担」なのか、それとも「市川市の子どもたちと地域の未来への投資」なのかを冷静に見る必要があります。
県立高校のまま十分に特色化されず、倍率低下や学級減の流れに任せるより、市川市が一校を引き受け、IBや探究型教育などの明確な特色を持つ高校として再生する。
その方が、住民にとっても、教員にとっても、県にとっても、市にとっても、建設的な選択ではないでしょうか。
市川市から日本を変えるとは、こういうことだと思います。
国や県の管轄だから、地域は黙る。
この考え方を変える。
地域の子どもたちの問題なら、市川市が声を上げる。
県が手を回しきれないなら、市が責任を持って引き受ける。
縦割りの中で眠っている資源を、市民のために使い直す。
市立高校設置は、市川市だけの教育政策ではありません。
県と市の役割分担を見直し、地域が主体的に未来を作るための政策です。
市川市に必要なのは、県立高校の現状をただ眺めることではありません。
市川市の子どもたちのために、今ある教育資源をどう活かすのかを考えることです。
市立高校構想は、箱物を増やす政策ではありません。
市川市の中にある教育資源を、市川市の未来のために再設計する政策です。
田中甲市長の市立高校構想は、その大きな一歩になる可能性があります。
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