2026/8/17
令和8年度大田区議会・地域産業委員会において宮城県仙台市のスタートアップスタジオ「YUINOS(ユイノス)」を訪れ、仙台市経済局スタートアップ支援課による仙台市のグローバルスタートアップ施策について視察した。
視察の目的は、震災復興と人口減少対策を機に先進的な起業支援を展開し「グローバルスタートアップ都市」を目指す仙台市の取り組みを調査し、産業振興およびエコシステム形成の先行事例、イノベーション創出施策を本区の参考とすることである。
仙台市は、東日本大震災での経験を踏まえ、仙台・東北復興を目的とした産学官金の連携によるエコシステムの形成で多様な人材の流入、起業が増加した。東北は国内の人口減少、高齢化、事業継承、防災・減災など課題先進地域である。2013年に掲げた「日本一起業しやすいまち」宣言を皮切りに2020年度には第1期エコシステム拠点都市選定を受け、2025年度にはグローバル拠点都市として第2期エコシステム拠点都市に選定された。
東北大学と連携した豊富な研究データを活かしたディープテック・スタートアップや宇宙関連事業などのインパクト・スタートアップの創出に注力している。更なるスタートアップ支援環境の充実に向けて「ロールモデルとなるスタートアップの輩出」「ロールモデル予備軍の発掘・育成」「学生・若者のアントレプレナーシップの醸成」を方向性として位置づけ、大学発のディープテック・スタートアップの伴走支援や海外展開支援を行っている。海外のスタートアップイベントへの出展や海外のアクセラレーターによる個別指導は当初からマーケットを海外に向けることで注目度や資金調達面でアドバンテージを持つ可能性を高めている。
視察で訪れた「YUINOS」の3階の次世代放射光施設「Nano Terasu」と連携した利用者専用ルームでは24時間遠隔での分析ができる。仮眠室が併設されており、研究者の長時間の測定をサポートできるのが特徴である。同施設4階のNTT東日本が運営する地域共創拠点「スマートイノベーションラボ仙台」ではICTを活用した新たなビジネス創出、多様なプレイヤーと共に地域課題に挑戦する拠点となっている。
資金調達面では、首都圏VC(ベンチャーキャピタル)とのマッチングなどを手厚く推進している。一方で、グローバルな成功事例の不足、経営層などのビジネス人材不足、研究施設不足による企業流出、地元企業との連携不足などが課題となっている。これらの課題に対し、首都圏のCXO人材を副業・リモート活用する「ハイブリッドCXOモデル」の導入や、宇宙テック企業と地場製造業を繋ぐ協業モデルの構築、ウェットラボ先導的モデル整備事業の加速、重点産業スタートアップ誘致・実証支援環境の提供、市民参加型イベントによる認知度向上など、官民一体となったエコシステム構築が進められている。
高度な「ものづくり技術」を集積する本区において、先進スタートアップと区内中小企業との連携促進手法は大いに参考にすべきと考える。「羽田旭小学校跡地開発事業」は、国内外の試作開発受注の受け皿となるPoc開発拠点であり今秋開設予定である。仙台市の「当初から海外を視野に入れた戦略」は非常に参考になった。また、区内小中学校で行われている「おおたの未来づくり」授業の中でも将来を見据えた人材育成につなげるような理系人材教育、ものづくり教育をアップデートしていく必要がある。経営人材のマッチングやイノベーション拠点の活用策は、区内産業の持続的発展と高付加価値な雇用創出に向け、今後の区政提言に積極的に活かしていきたい。
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