たかはし 秀行 ブログ
SAF(持続可能な航空燃料)で脱炭素推進へ
2026/9/8
経産省が導入促進案示す
2026/09/08 公明新聞より
2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現へ、航空分野においても温室効果ガス削減の機運が高まっている。その切り札とされるのがSAF(持続可能な航空燃料)だ。7月23日に開かれた経済産業省や国土交通省、石油元売り会社、航空事業者などで構成されるSAF導入促進に向けた官民協議会では、ジェット燃料の供給事業者に対し、SAFの供給を義務付ける案が示された。その内容を解説する。
■30年度から供給義務化/コスト増踏まえ段階的に拡大
SAFの利点は既存の航空機エンジンや給油インフラに、そのまま使用できることだ。
廃食油やサトウキビなどから製造されるSAF【イラスト参照】は、原油から製造される従来のジェット燃料と比べ、二酸化炭素(CO2)を最大約80%削減できるとされる。航空機にも自動車のように電動化の流れはあるものの、時間がかかるため、燃料の脱炭素化が効率的であるとされている。
ただ、SAFは従来のジェット燃料よりも約3~4倍のコストがかかる。「本格導入に向けて供給側と需要側で価格交渉を進めているがうまく進んでいない」(経産省の担当者)のが現状だ。
そこで官民協議会で経産省が示した案は、ジェット燃料の供給事業者に対し、一定量のSAFの供給を義務付け、段階的に供給量を増やしていくというものだ。具体的には30年度に燃料全体の供給量の1%以上、31年度に3%以上、32~34年度に5%以上をSAFに置き換える。航空事業者側の過大な負担を避けることが狙いだ。
国際線給油量の上位7空港(成田、羽田、関西、中部、新千歳、福岡、那覇)向けが対象で、この空港において、年間3000キロリットル以上のジェット燃料を供給する事業者に対して義務を課す。
また、安定供給の観点から、供給量のうち50%は、国産SAFまたは海外連結子会社産SAFとした。SAFの製造施設に関する民間の投資判断を後押しして普及を促し、脱炭素社会の実現につなげる。政府は法改正を視野に、今後さらに詳細な制度設計を行う。
■国内生産拠点の整備急務/エネルギー安全保障にも重要
SAFを安定的に確保する動きは各国に広がっている。
国連の専門組織である国際民間航空機関(ICAO)では、22年の総会で50年までに国際航空分野のCO2排出量を実質ゼロにする長期目標が採択された。
25年の総会では、30年のSAF使用目標が設定されるなど、脱炭素の動きは一段と加速している。
欧州連合(EU)や英国などでは、既にSAFの供給義務をジェット燃料の供給事業者に課している【表参照】。従来のジェット燃料が長期的に減少方向である一方、SAFは航空ネットワーク維持・拡大の要とされている。
世界でSAFの需要が高まる中、国内での生産基盤の構築が欠かせない。
現在、国内の製造拠点は1カ所で年約3万キロリットルのSAFの生産能力を持つ。
そのほか5カ所で計画が進むが、いずれも基本設計段階であり、ジェット燃料の供給事業者が最終投資決定を公表していない。
ジェット燃料の供給事業者にとっては、需要側である航空会社との売買契約に見通しが立たなければ、生産拠点への投資を決められない現状がある。国際競争力のある価格で生産できる体制の整備が急がれる。
SAFの生産・供給を進める取り組みについて、公明党は政府への提言や国会質問などを通して後押ししてきた。また廃食油の回収促進についても、堺市で公明党の推進により、官民連携で回収する仕組みが構築され、先進事例として注目されている。
経産省の担当者は「国産SAFの導入は脱炭素だけでなく、ジェット燃料の安定供給に大きな役割を果たし、エネルギー安全保障の観点からも重要な位置付けになる」と話す。
八千代市議会議員 たかはし秀行