2026/4/15
2027年3月31日までに400冊読む修行🏋️♀️
現在 315/400冊
題名 『政治における合理主義』
所感 「本書は技術知と実践知という2種類の知の区別を軸に議論を展開します。料理のレシピに書けるノウハウと、経験と師弟関係の中でしか伝わらない判断力は別物であり、合理主義とは後者を無視する思考のあり方だという指摘は、政治の議論に新しい視点をもたらすものだと感じました。」
📘本の概要📘
政治は本(文字)から学べるのか、という根本的な問いに、著者は400年以上にわたるヨーロッパ政治の歴史を使って答えようとします。本書が「合理主義」と呼ぶのは、特定の政党や思想ではありません。左右を問わず、あらゆる政治信念に染み込んでいる「思考のあり方」のことです。その核心は、人間の理性さえ正しく働かせれば、社会のあらゆる問題に完全な解が見つかるはずだ、という確信です。
著者はここで重要な区別を導入します。人間の知識には2種類あります。1つ目は「技術知」です。これは料理のレシピや道路交通法のように、ルールとして書き残せる知識です。2つ目は「実践知」です。優れた料理人が持つ感覚や、経験豊かな政治家の判断力のように、直接の経験と師弟関係の中でしか伝わらない知識です。合理主義の大きな誤りは、この実践知を無視し、技術知だけが真の知識だと思い込むことにあります。
この誤りがなぜ生まれたのか。著者はフランシス・ベーコンとルネ・デカルトに遡ります。17世紀初頭、2人は確実な知識を手に入れるための「方法」を打ち立てようとしました。ベーコンは「堅実な知を得るには、理性の仕事全体を新たに始めなければならない」と書き、デカルトは先入見を捨て「まるで1人で暗黒の闇を歩む人のように」考えることを求めました。過去の蓄積を全て疑ってゼロから始めるという発想が、ここで生まれます。
この合理主義的な発想が政治に広がったのは、政治的経験を持たない人々が次々と権力の座についたためだと著者は言います。16世紀にマキアヴェリが書いた著作も、そもそも政治的な素養を持たない新しい支配者のための「カンニングペーパー」だったと著者は指摘します。そしてロック、ベンサム、マルクスとエンゲルスへと続く流れも、伝統や経験の代わりに使える「本に書かれた原理」を必要とした人々に応えるものでした。
合理主義の政治には、完全性の政治と画一性の政治という2つの特徴が伴います。どんな問題にも唯一の正解があると考え、その正解を全ての人に一律に適用しようとします。ゴドウィンの言葉として本書が引く「全ての知識人が賛同せずにはおれない唯一最善の政府形態がある」という発想がその典型です。人権宣言、連邦主義、計画社会、さらにはベバリッジ報告や1944年の教育法に至るまで、著者はこれらを合理主義の所産として並べます。
著者が提示したいのは、政治には書き留められない知恵が不可欠だという点です。その知恵は、少なくとも2代か3代の時間をかけて受け継がれるものです。ゼロから設計された制度が想定外の問題をはらむ理由はここにあります。政治を「問題を解決する技術」として捉える現代の発想に改めて問いを立てたい人にとって、本書は確かな出発点となります。
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【ルール】
①本の読み返しOK(カウントは2回まで)
②挫折禁止の為、宣言と公開
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