長田 たくや ブログ

【くすり】 マイコプラズマ感染症が流行っているの?

2024/8/21

こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
「マイコプラズマ肺炎が流行しているゾ」という報道がありました。あんまり心配しなくていいですよというお話と、それに関するマクロライド系抗菌薬についてお話します。


■ まだ煽るか…
NHKの感染症データ速報では、一見“緊急事態”のように見えますが、国立感染症研究所の通年データをみると周期的な増減の範囲に収まっており、過度に心配する必要はありません。

「コロナ禍の制限解除のため流行…」といった極めてくだらない意見も見かけますが、マイコプラズマ肺炎はもともと周期性を示す感染症であり、流行は新型コロナと無関係に繰り返されてきました(後述)。

■ オリンピック肺炎
マイコプラズマ肺炎は、概ね4年前後の周期で流行し、過去には「オリンピック肺炎」と呼ばれていました。近年はその周期が乱れているそうです。原因はマイコプラズマという細菌です。

名前が仰々しいですが、かつてはカビと誤認されており、ギリシア語で「キノコ」を意味する (mykes:ミュケース)と「物」を意味する (plasma:プラスマ)を足して「mycoplasma:マイコプラズマ」となりました。

■ 細菌の特徴
マイコプラズマは細菌の仲間ですが、多くの細菌が持つ「細胞壁」を持ちません。これが薬剤選択にも影響します。

みなさんもご存じのペニシリンという抗生物質(抗菌薬)は、細胞壁に穴をあけて細菌を殺します。マイコプラズマは細胞壁をもたないので、ペニシリン系の抗生剤は無効です。そこで、リボソーム(タンパクを作る)もしくはDNAがターゲットになります。

太田東こども&おとな診療所 と 松本大策のサイト より引用

■ マクロライド系抗菌薬
「リボソーム50Sサブユニット」に結合して、タンパク合成を阻害します。メジャーな薬で、中耳炎とか、副鼻腔炎などの耳鼻科領域でお世話になる薬剤です。

松本大策のサイト より引用

【日本で使われる代表薬】
・エリスロシン®
・クラリス®
・ルリッド®
・ジスロマック®

【特徴的な構造】
大きな(マクロ)環状構造を持つためマクロライド系と呼ぶのです。その大きな輪っかの角っこを数えると、14個、15個ありますよね。以前は、ジョサマイシンという16個もある薬がありました(すでに販売中止)。

大きな環状構造が、リボソームに結合し薬効を示します。特にアジスロマイシンは薬物相互作用が比較的少ないのが特徴です。

■ 新型も開発中
マクロライド系はしばらく新薬もなく、最新で1992年に発売されたジスロマックです。

ところが現在、ソリスロマイシンという新型マクロライド系が開発されています。2024年8月現在で、富山化学が治験を実施。フェイズ3という治験最終段階まで進めています。
参照:富山化学 新規マクロライド系抗菌薬ソリスロマイシンの国内P2開始

【実はケトライド系】
マクロライド系の環状構造にある”-OH”が”=O”に変化したものをケトライドと呼びます。胃酸への抵抗が増して、代謝酵素を誘導しにくい(相互作用を起こしにくい)のが特徴です。これまでケトライド系の開発は、肝毒性などを理由に成功しませんでした。

ソリスロマイシンの構造をみますとF(フッ素)が入っており、構造の安定に寄与しているものと思われます(たぶん1日1回の薬だろう)

■ 必要性はあると思う
日本では、マクロライド耐性のマイコプラズマが増加しています。

そのため、同じ系統でも少し異なるケトライド系のニーズはあるのです。普通の風邪には必要ないですが、耐性菌に感染した場合の武器は持っておくべきだと思います。耐性菌の発生は、効果のない通常の風邪にも漫然と抗生剤の使い過ぎたことが原因です。

■ 子どもは風邪の子
最近は「風邪をひくこと自体がリスク」とか「無駄な時間」といったドンデモ世論誘導ポンコツCMを目にすることがあります。
しかし、風邪をひくことは本来、免疫の学習や体の成長の一部なのです。

ゼロウイルス・無細菌状態が自然でかつ健全であるはずがありません。日常的に感染を経験してこそ、免疫は鍛えられ、多種多様な細菌やウイルスに対抗できるのです。
もちろん中耳炎などが長期化し、後遺症となるのは避けるのは言うまでもありません。痛みや熱などへの適切な対処療法は大切です。
参照:太田東こども&おとな診療所


地震のときもそうですが、意図的に偏ったテレビ情報には過度に振り回されない方がいいと思います。
マイコプラズマ肺炎も昔から知られている病気で、特別新しいものではありません。多少患者数が増えても、4年ごとに周期的に流行してきた歴史があり、その時もみなさんノーガードでしたよ。

ただし、一部で抗菌薬が不足している現状は気になる点です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
党派・会派 参政党

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