2024/7/20
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
今日はくすりの時間です。新型コロナ治療薬「ラゲブリオ®」についてお話しします。
刮目せよ!これが新型コロナ治療薬の効果だ!!
■ ラゲブリオ
化学成分名はモルヌピラビル。北欧神話の“トールハンマー:ミョルニル”に由来すると言われます。男の子心をくすぐりますね。
化学成分名には大まかな命名ルールがあり、~ビル(-vir)は抗ウイルス(virus)薬を意味します。
例:ヘルペスにはバラシクロビル(バルトレックス®)、インフルエンザにはオセルタミビル(タミフル®)など。

■ 「勘違い」させて殺す
構造式を見ると、ウイルスに“勘違い”させて増殖を止める機序だと推測できます。
ウイルスのRNAに似た構造をもつため、自己複製時に誤って取り込ませ、増殖エラーを誘発して自滅させる戦略です。
この薬は新型コロナの流行後にゼロから作られたのではなく、それ以前からインフルエンザやエボラなどをターゲットに探索され、コロナ出現時に転用されたと考えられます。
■ 有意差がなくなった臨床試験
早期承認の根拠となった試験では、中間解析でプラセボに比べ「入院または死亡」リスクが約48%減とされ、p=0.0012で統計学的有意(p<0.05)でした。
しかし最終解析では、なんと効果が約30%に低下し、統計学的に有意差は示されませんでした。

■ 日本はおかしい
有意差を示せなかった薬が、そのまま承認され続ける例は極めて稀(ほぼない)です。認知症や精神科領域など有意差が出にくいような薬では、通常は症例数の追加した再試験が求められますし、再解析で有効性が否定された医薬品は保険適応が削除となります。
通常であれば削除される治療結果にもかかわらず、未だにラゲブリオ®は最終解析後も保険医療で使用されています。
■お値段は
1回治療あたり94,312円(2024年7月1日から86,596円に値下げ)。
コロナが5類になるまでは全額公費でした。
2021年12月24日~2022年6月23日に約20万人へ投与。
販売会社はMSD(米国)です(単純計算で約180億円規模)。
■ 医療経済性
ラゲブリオの費用対効果は明らかに低いです。
米国の非営利評価機関であるICERでの評価はC+。
なお、抗うつ薬であるフルボキサミンも、機序は不明ですが新型コロナで一定の効果が示唆されており、抗ウイルス薬と同等レベルの評価。
フルボキサミンは1錠10~20円程度と激安ですけどね。


■ フランスは早々に
フランスはラゲブリオの最終結果を踏まえ「効果なし」と判断し、承認取消。
➡当たり前
日本でも、100歩…いや10000歩譲って重症化リスクが極めて高い層に限定するなどの見直しが必要だと思います。現状、処方制限はあるものの実態は緩いのが正直なところです。
参照:フランスがメルクのコロナ飲み薬発注取り消し、期待外れの試験効果で
■ 安全性
妊婦は禁忌(胎児への影響懸念)。市販後調査で死亡例の報告もありますが、全体として副作用が突出して多い印象ではありません。
薬剤師としてお薬手帳をみると、結構服用されている方もいましたが、なんともなかったという方がほとんどでした。
参照:ラゲブリオ®市販直後調査の最終報告
医師から薬を処方されますと患者は断りにくいのが現実です。
基礎疾患がない、外来受診ができる程度の軽症であれば、ラゲブリオなどまず不要でしょう。
嘆かわしいことに、現状を知らない人達が「コロナ治療薬の自己負担を減らせ!」と主張することがあります。
この現実をこそ刮目せよ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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