2024/6/13
兵庫県川西市議会議員 #長田たくや です。
先日、長野県岡谷市に行きました。岡谷市といえば「ゴジラ-1.0」や「君の名は」の聖地として有名ですが、どちらも私の琴線に触れなかったので…フラっと岡谷蚕糸博物館「シルクファクトおかや」に立ち寄ったのです。

そこで(私にとって)衝撃的な事実を知りました!そのお話をします。
小さいころ、私はゴジラが大好きでした。初めて映画で観たのは多分『ゴジラvsビオランテ』。過去の昭和ゴジラもビデオで網羅したくらいハマりました。
ゴジラには「モスラ」というデッカイ蛾の怪獣が出てきます。つぶらな瞳の幼虫が糸を吐いてゴジラを拘束するシーンの印象が強くて、そのイメージから「蚕は繭を作るときに糸を噴射し続けている」とずっと思い込んでいたのです。

■ 糸を噴射していなかった!
繭づくりには2日ほどかかるため、私は「48時間もずっと糸を噴射し続けるってめっちゃ根性あるやん」と思っていたのです。
でも実際は、口とは別にある「吐糸口」から粘着性の糸を出してそれを壁に固定し、頭の方を八の字に動かしながら引き延ばしていたのでした。例えるならば、トイレットペーパーの先をセロテープで壁に貼り付けて、芯の両側から指をつっこみ、壁と反対側にだぁーっと走っていく感じ。
博物館にて「30年も勘違いしてたゾ!」と一人衝撃を受けていました。完全にモスラが悪い(笑)。
■ 煮ることでまっすぐに
養蚕では、カイコガの幼虫である蚕を「おかいこさま」と呼びます。命と引き換えに生業を支えてくれる存在として感謝と敬意が込められているのでしょう。なんとも日本人らしくて良いです。
八の字にまとめられた糸は、テンションをゆるめると天パのようにチヂれています。それをさらに煮ることでストパーをあてるように真っすぐになります。
絹は中国から伝わり、ユーラシアを中心に人々を魅了してきました。日本でも品質の目まぐるしい向上とアメリカの需要拡大で養蚕が隆盛になりました。
しかし、1939年にデュポン社(米)がナイロンを発売。さらに戦争や海外安価品の輸入解禁が重なり、国内の養蚕業は急速に衰退していきました。

■ 人がつむぐ工場
岡谷蚕糸博物館には、宮坂製糸所が併設され、なんと人の手で糸をつむぐ現場を見学できます。
また、 「日本で唯一、手作業でも糸繰りをしている製糸工場」としても知られています。

見学専用ではなく、本物の職場を見学しながら通り抜けできるスタイルで驚きました(ガラス越しではありません)。黙々と仕事をしておられるので、なんか…ごめんなさいね…って感じで気を使いました^^;
日曜日でしたがシフト制で稼働しており、独特の香りは、虫由来のたんぱくの匂いでしょうか。貴重な体験でした。
かつて1871社あった製糸工場は、今では7か所にまで減少……時代の大きなうねりを感じます。

『古事記』や『日本書紀』には蚕にまつわる記述があり、『魏志倭人伝』には卑弥呼が絹織物を献上した記録もあります。はるか昔から養蚕が営まれてきたことがわかります。『日本書紀』には「雄略天皇が后妃に自ら桑を摘ませ、養蚕を勧めた」と記載されています。
■ 引き継がれる重み
皇室での養蚕は明治以降、現在の上皇后美智子さまから皇后雅子さまへと継承されています。
美智子さまの代には、カイコの純日本種である「小石丸」を続けるかの議論がありました。小石丸は手間がかかり繭も小さく非効率。しかし美智子さまは「古いものを残しましょう」と継続を選択。
小石丸の繊細な糸は正倉院宝物の復元にも使われました。効率だけを追えば“なんちゃって復元”になっていたかもしれません。さすがのご決断です。

■ 小石丸
小石丸って名前もちょっと可愛くないですか?
ちなみに、美知子さまはこのような歌もつくられたそうです。
時折に 糸吐かずをり 薄き繭の 中なる蚕 疲れしならむ
糸を吐かない蚕を気遣う、よく観察されている美智子さまのとても優しいお気持ちを感じますね。実際に、繭が未完成であっても吐糸が止まることがあり、途中で糸が途切れている繭もあるそうです。
➡繭は基本的に一本の長い糸でできています。これも驚きですよね…。
■ 繊維のダイヤモンド:天蚕
一般的な家蚕は人の手がないと生きられません。これに対し天蚕(てんさん)は野生のヤママユガの幼虫、野蚕です。
家蚕は桑の葉を食べますが、天蚕は桑ではなく、クヌギ、コナラ、カシワ、シラカシなどを食べ、エメラルド色の美しい繭を作ります。ただ、糸として使える部分が少なく大量生産が難しいため、『繊維のダイヤモンド』と呼ばれるほど高価なのです。

■ 天蚕の着物
見つけてしまいました、天蚕の着物。お値段なんと2200万円! テンサン…

■ フォト&見どころ
以下は、岡谷蚕糸博物館|シルクファクトおかやの写真です。
お蚕さまのぬいぐるみ:
すごくかわいいけど、つぶらな瞳に見える部分は実は“模様”。実際の蚕の目は、口に当たる部分に単眼が片側6個もあります。怖いのでこっちでいいです。

栄枯盛衰を表す大きなレリーフ:
青いグラフが微妙に“ちょろっと上になる”部分までもが立体で表現されていて、ここにグッときます。

糸紡ぎ体験コーナー:
実際に繭から糸を引き出す瞬間を見られます。

小さな繭の中に、人類の長い歴史と知恵が詰まっている。

■ 糸口の語源?
繭玉は一本の糸でできています。
湯に繭を入れ、ハケで“こしょこしょ”とすると糸が引っかかり、そこから一本の糸を取り出せる――この作業を「糸口を探す」と言うそうです。
そこで私はピンと来ました。「問題解決の“糸口”の語源ってここからきてるんちゃうか!?」
館長さんらしき人に聞いてみると「そうかもですねぇ」とのこと。軽く調べると、その由来説は見かけましたが、学術的な裏付けははっきり見つけられませんでした。
【博物館に提案】
展示を拝見しながら、スタッフさんに生意気ながらひとつ提案しました。
絹は“撚り”や“織り”によって肌触りが変わり、ゴワッとしたものからサラサラしたものまであります。博物館には触り比べのコーナーがあるのですが、そこにナイロン繊維も並べて比較できると、より絹の良さが実感できるはずと提案。
多くの人は相対評価で違いを理解しやすいので、化学合成繊維との比較展示は効果的だと思います。
お土産コーナーで、絹の扇子と絹のパフ(妻に)など、色々買い物も楽しめました。
ぜひ遊びにいってみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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