2026/3/28
兵庫県川西市議会議員(参政党) #長田たくや です。
同じ原子なのに構造が変わるだけで薬効が変わる?そんな不思議な現象が光学異性体です。

OTC類似薬にも、少し関わるかもしれない。そんなお話です。
■ オメプラール
胃酸を強力に抑える薬として最古参の薬(世界初のPPI)です。
こちらもOTC薬となり、ドラッグストアに並ぶようになりました。
オメプラール®錠(先発品)1991年販売
20mg:33.6円/錠
10mg:21.7円/錠
現在でも処方薬として存在しています(ほぼ処方されないけど)。
そして、このような薬も出ています。
ネキシウム®カプセル(先発品)2011年販売
20mg:59.3円/カプセル
10mg:34.7円/カプセル
ネキシウムは多く処方されています。
実はどちらも構造式は以下のとおり。全く同じなのです。

注目は「S原子」。3方向に手が伸びていますが(結合)、実は見えない電子の手がもう1対あります(孤立電子対)。
4方向に配置されていますが、ここでSを中心に立体構造が生まれます。

例えばこちらの構造を、真ん中のCを中心に結合しているものが4つ異なりますね。ちょうどテトラポットのような立体構造です。
イメージでH原子を指でつまみ、ぐるぐる回転させてみてください。
そう、重ね合わせても一致しないのです。つまり構造式が同じでも、立体構造が異なる。それを「光学異性体(エナンチオマー)」と呼びます。
ややこしいのが、薬効や物性が異なってくるということです。
オメプラールに戻りますと、S原子を中心に以下のように立体構造が2つに分けられます。

本来、この2種類が混ざり合っているのが、オメプラール錠となります。
オメプラールの一般名は、オメプラゾール。「立体構造」が異なる2種類(R体・S体)が1:1で混ざっています。
その中からS体だけを選んだのがエソメプラゾール。これがネキシウム®カプセルになります。
「なんでそんなことするん?」って思いますよね。
■ 薬効は同じ!でも…
オメプラゾールのR体でもS体でも薬効は同じです。しかし、分解され方が違うのです。
R体はCYP2C19という肝臓の酵素にめっちゃ分解されやすい!3倍分解されやすい(シャアやん)。
参照:ACS CatalysisVol 15/Issue 4

しかも、CYP2C19という代謝酵素は、遺伝によって差が大きいことがわかっており、R体が非常に速く分解される人と、そうでない人がいるのです。
つまり薬効が不安定になるということ。
一方、S体は影響を受けにくいため、「S体だけにしたらええやん!」となって生まれたのがエソメプラゾール(ネキシウム®)です。
このような医薬品開発の手法により、みなさんが一度は服用したことがあるようなメジャーな薬にも使われています。
他にも色々あるのです。例えばサリドマイドのお話など。
続きはまた今度に。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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