2025/12/24
兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
「お金がある人ほど長生き」「人とのつながりが大切」…
なんとなく正しそうな話ですが、本当にそうなのかな。

高齢者の健康寿命に関わる社会的要素について、研究論文を読みながら、自分なりに考えてみました。
主要な参照論文:大規模縦断研究に基づく高齢者の健康長寿の関連要因に関する主要な知見
クリスマス・イブに考えることじゃねーだろ…と我ながら思っています
■ 社会経済学的地位の差
裕福な人と貧乏な人を比べると、前者の方が長生きというイメージは付きやすいですよね。
2012年の研究で報告されています。
参照:高齢者における所得・教育年数別の死亡・要介護認定率とその性差

男性では所得が低く、また教育年数が短いほど、要介護・死亡のリスクが有意に高いことがわかりました。
一方、女性は傾向があるものの統計的な有意性は認められませんでした。
また別の研究では「経済格差」に注目。周りに比べて収入・経済力が劣るとされた場合、男性での心血管疾患による死亡(心筋梗塞や心不全など)が1.5倍になるという結果がありました。なお、こちらも女性では明確な差異がありませんでした。
ここに明確な性差がある点が興味深いところです。だからジェンダーはしっかり分けて考える必要があるのですよ。
参照:Relative deprivation in income and mortality by leading causes among older Japanese men and women: AGES
世界中でも研究されていて、例えばアメリカでは平均所得が高いのに、死亡率はキューバ並みという報告もあり、つまりは「格差」が大きいほど健康に害するというのが結論でした。
【幼少期の経済状況】
高齢者だけではなく、幼少期から経済状況が悪いと、うつ傾向やADLの減退、死亡率などが高くなるとの研究もあります。教育格差という問題もあるかもしれませんが、インターネットの普及で知識と言う点ではカバーできる可能性が高いですね。
■ 社会参加との関連性
社会とのつながりはある方が良い と言われますが、その根拠もあるようです。
参照:孤独・孤立への対策の意義と方法(京都大学)

この系統の論文は非常に多く、何かしらの社会参加をしている人は健康寿命が長いとされています。
「社会的孤立を防ごう」というのは、介護予防・うつ病予防などの観点からも妥当なのですが…注意点もあります!
これらの研究は、いわゆるコホート研究と呼ばれる観察研究です。
研究者が意図的に「地域活動に参加させる・させない」を決めてから比較していません。そのため、もともと健康状態が良く、外出や人付き合いが好きな人ほど地域活動に参加しやすく、その結果として健康状態も良好に保たれている、という可能性を完全に否定することはできないのです。

このデータをみてどう感じましたか?
男性で所得格差による死亡率の上昇、それが女性では差異がなかったという結果の答えなのではないかと私は感じました。つまり、低所得や格差があっても地域とのつながりを積極的に持てていたのが女性だった のではないでしょうか。
その結果、介護認定率や死亡率といったアウトカムがマスクされてしまい、男性との差異が生じたのではないかと考えました。
■ 地域の状況
地域特性という面も研究されています。
特に「周りで信用できる人が少ない」と答える住民が多い地域ほど、約1.68倍、要介護認定を受けやすいといった研究があります。これは女性に顕著であり、地域社会の影響を受けやすいとも考えられます。
男性にとっては所得格差の是正、女性にとっては地域を明るくするといった施策が効果的なのかもしれませんね。

■ これからの時代
地域活動に参加する!それが生きがい!と言う方は、相対的に”元気”だし、データからも良い影響を与えてくれます。
一方、地域活動が苦手な人にとって、社会参加を押し付けることは、逆にストレスになる場合もあります。
研究では「地域活動」と限定してはいますが、私はこれが SNSでのつながり でも同様の効果が得られないだろうかと考えます。研究対象がSNSと馴染みのない世代ですが、これがSNSが当たり前となった世代となった場合、どのような”つながり”が大切かという結果が出るかもしれません。
よってSNSは否定されるべきではなく、むしろSNSで距離を近づけた上でリアルで交流することが良いかもしれません。思想や考え方が似るため、視野が狭くなる可能性も十分予見できますが、健康といった側面を見た限り、それも許容の範囲なのかなと思いますね。

人は霊長類。集団生活をする進化の過程で、”序列”を瞬時に感じ取り、意識する動物となりました。
意識するのはステータス、つまり能力値。
現代では”経済力”がそれにあたるため、人間が(特に男性が)どうしても意識してしまう根源なのだと思います。それが心理的ストレスにつながり、最後に健康へと影響するのでしょう。
その比較対象が、せいぜい自分のまわり100人程度から、SNSを通じることで「無限大」となったわけです。情報過多の時代に脳が対応するため、勝ち組・負け組、陽キャ・陰キャなどのラベリングをするようになったのかもしれませんね。
(参考資料)
健康格差社会と社会政策
高齢者における所得の相対的剥奪と死亡リスク
大学院生のうつ病に対するソーシャルネットワーキングサイト利用の影響
地域在住高齢者の社会参加と認知機能低下
所得格差、死亡率、自己評価による健康:多段階研究のメタ分析
社会参加と認知症発症リスク
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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