2025/12/15
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
東京都で検討されている「女性活躍推進条例」が話題になっていますね。
とりわけ「男性管理職の生理痛体験会」が注目を集めていますが、これは条例本文には書かれていません。条例に基づく「指針」づくりの過程で、例示として副知事が取り上げたものにすぎないのです。が…

しかし!“例示だから問題ない”という話ではありません。
条例策定の思想そのものが………アレなんです。
今回は、この条例の背景、非正規雇用との関連、理系女子議論の誤解などを、データを踏まえて整理します。
■ 生理痛体験
話題となっている「男性管理職の生理痛の体験会」は、条例本文には記載されていません。
この条例を達成するための「指針」として、具体的な政策目標などを決めようとしており、その1つに松本明子副知事が例としてあげたものです。
感想を一言にまとめると、指針にすること自体が「気持ち悪い」。
企業が独自にやる分には何とも思いませんが、そもそも生理は”痛み”だけではないはずです。
不快感やイライラ感、熱感など、人によって様々ですし、貧血状態からくる身体・精神的な症状もあるでしょう。
そして女性同士こそ生理の重さの違いで、「そんなしんどいふりして…」という偏見もあると聞きます。
”痛み”だけを取り上げ、男性に体験させることを”行政が決めること”自体が愚策なのです。

■ 背景
本条例の目的は、「女性が働きやすい環境づくり」を主旨としています。(条例案の全文)
資料「女性の活躍に関する条例(仮称)の基本的な考え方」によりますと、策定の背景は次の通り。
背景は大切ですね。これがしっかりしていないと作る意味もわからなくなります。
【条例策定の背景】
✅ 都は、社会のあらゆる分野の活動に男性も女性も参画できるよう、様々な施策を展開してきた。
✅ 女性の就業者数は増加。一方で、その半数以上は非正規雇用であり、管理職に占める割合も低い水準。
✅ 企業が持続的に発展するためには、人口の半分を占める女性の発想や想像力を主体的に取り入れることが不可欠。
✅ さらには、女性の進学や職業選択等に影響を及ぼしている「性別による無意識の思い込み」の解消に、社会全体で取り組んで行くことも必要です。
✅ 雇用・就業分野において、女性が個性や能力を発揮して活躍できる環境整備を一層推進するための新たな条例。
✅ それを原動力として、誰もが生き生きと暮らす社会の実現を目指す。
これが背景らしいです^^;
■ 非正規雇用について
男女共同参画で様々な施策をした結果、”女性就業者が増えた”かのような書きっぷりですが、本当でしょうか。
日本労働組合総連合会が、女性の非正規雇用について調査していました。
そのうち4割が「希望した」なのです。”複数回答あり”なので、選びやすくなる選択肢ではあるので注意は必要です。その一方で、「正社員として働けるところがなかったから」は11.4%程度に留まっています。
冷静に考えてほしい。この条例と非正規雇用を結び付ける因果関係はどこまであるのだろうか。

これは連合の調査ですが、国の調査(男女含む)によると次のような結果でした(リンク)。
1位:「自分の都合のよい時間に働けるから」40.1%
2位:「家庭の事情と両立しやすいから」26.4%
3位:「家計の補助、学費等を得たいから」24.9%
つまり時間や物理的な背景を除けば、「経済的」な理由であることが明確ですね。女性の社会進出という結果は、男女共同参画などの意識の推進だけではなく、経済的情勢や科学技術の進化など、様々なものが影響していると考えられます。むしろ、アンケート結果から純粋に分析する限り、やはり「経済」ではないでしょうか。
つまり、条例が「女性が個性や能力を発揮して活躍できる環境整備を一層推進する」と思い込んで、非正規雇用者の割合を”引き合い”に出してくること自体がズレているのです。
■ 企業の成長のため?
本条例では、やたらと「企業が成長するために女性がぁ!」ということをうたっていますが、経営を重視する企業が、女性であれ男性であれ、必要であれば関係なく活用したいと思うのは当たり前ではないでしょうか。都から言われて、「はい、そうですね」っていう企業経営者が伸びていくとは思えないのですか…。
平成20年ですが、以下のようなデータがあります。男女別の仕事上の悩みのうち、女性で特化しているのが人間関係です。セクハラ・パワハラと書かれているため、男性➡女性というイメージが専攻しそうですが、この詳細分析については見当たらないのです。

女性同士のトラブルという可能性も十分考えられますし、クイーンビー症候群という言葉がありますね。
また、若年層においては、関係性攻撃(うわさ、仲間外れなど)が男性に比べて優位に高いと研究論文でも報告されています。一方、男性は暴力的な攻撃多い。
このように人間関係でも、攻撃性の違いに性差が認められており、「女性の敵は女性」という言葉の素地にもなっていると考えられます。
参照:Sex Differences in Aggression in Real-World Settings: A Meta-Analytic Review
私が思うに、このようなトラブルの内情を研究せずに、概念的なジェンダー問題に内包させるから社会が混乱するのだと思います。
■ 性別による無意識の思い込みの解消
本条例の検討部会の資料(リンク)が、傲慢すぎます。
しかし、この条例を制定させるために事務局側が用意した資料は、ゴリ押しながらなかなかのものでした。例えば、性別による無意識の思い込み、いわゆる「アンコンシャス・バイアス」の項では、”理系女子が少ない”ことの原因と捉えています(真剣に)。

この検討会の資料には「理系女子が増えない理由の一つには、無意識のうちに軌道修正させられている女性が存在する」とあります。国の方でも、真剣に女子がなぜ理系を選ばないのだろうか…と検討しています。

いや、単純にキラキラしたキャンパスライフを送れないからじゃないのかな…。
➡こう考えたのですが、やはり裏付けもありました
日本では、女子が理系を選ばない理由に、ジェンダー教育やアンコンシャス・バイアスなどと結びつけようとする論評が多いです。一方、PISA※によれば、男性・女性で理系を選ぶための理由に大きな違いがあることが明確となりました。
※OECD(経済協力開発機構)が世界で3年に1回実施している国際学力調査

理系に進む女子のほとんどが「医薬分野」に偏重しています。逆にICT専門家などはほぼ皆無。
報告書の分析では、成績は理系の成績は男女とも同程度。女子が数理が苦手だから選ばないという理由ではなく、将来のキャリア像が理系で描けないという風に分析されています。
要は、「キラキラした自分になれない」と判断しているのであって、それとアンコンシャス・バイアスを結び付けるのはあまりに乱暴でしょう。個人的にはドラマの影響も大きいように思えますけどね。
そもそも医療系ってそこまで理系じゃなくてもいけます。私、めっちゃ物理苦手でしたし、暗記系の方が得意でした。
■ 飛躍した結論
この条例をもって目指す姿が、「誰もが生き生きと暮らす社会の実現」らしいです。
飛躍しすぎやて(笑)。
今は女性が生き生きと暮らすのが難しい社会だそうですが、自殺者数は明らかに男性の方が多いのです。ジャンダーうんぬんの話になったとき、この話題だけは「マタイデトール」か「シラナイフーリ」が発動するんですよね。

都民のパブコメにも、「女性だけに限定する必要はない」と指摘がなされていましたが、「雇用・就業分野では、いまだに様々な場面で、女性が個性や能力を十分に発揮できていない状況にあります。 」と都は対応しています。
雇用・就業分野こそ、市場原理にまかせてやればよいのにと思います。
そして明らかなハラスメントや差別があれば、徹底的に都民を守る(例えば裁判費用を出すとか)をやる方が実効性があるんじゃないかな。そこに男女差をつける必要もないし、脅迫・恫喝・暴力などから本当に守るべき人を守る体制の方が求められていると思います。
このレベルの話は、東京都だけに限らずどの自治体でも”流行り病”のように蔓延しています。
生物学的な違いを認め、明らかなハラスメントや差別から市民を守ることが大切なのに。
実際に、コロナ禍のときに多くの差別がありましたが、行政がそれらを問題視して実際に動いていたでしょうか。甲賀市の消防署なんて、ワクチン未接種者を隔離させて仕事させる非人道的行為を組織的に行っていたわけです。コロナ禍なんて、アンコンシャス・バイアスの塊、人間の持つ醜悪さが露呈した事象だったことをぜひ思い出してほしいですね。
それを正すのは”情報”なのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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