長田 たくや ブログ

【先輩議員の一般質問】 香りで体調不良?化学物質過敏症(CS)への市の対応 【12月定例議会】

2025/12/11

こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
さくっと先輩議員の一般質問紹介です。立憲民主党の岡議員の一般質問より抜粋。

「柔軟剤の香りで頭が痛い」「人工的な香りが苦手」——こうした声は珍しいものではありません。化学物質過敏症(CS)や“香害”と呼ばれる問題は、まだ科学的に確立しない一方で、実際に困っている方がいます。市議会ではこの問題が取り上げられ、川西市としての対応が議論されました。


前置き

香害とは?
近年では、大気汚染などのいわゆる“公害”に加えて、柔軟剤や香水などの人工香料による“香害が新たな問題として注目されています。

ただし、概念としては古くからあり、1987年に米国研究者のCullenが、非常に微量の化学物質により発現する不快な臨床症状を、多種化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity:MCS)と提唱していました。

診断基準などの統一が試みられてきましたが、各研究班により基準が異なり、なかなか定まっていません。また、病態の捉え方も様々で、心因性の側面を重視する学説もありました。

国際化学物質安全性計画会議では、化学物質との因果関係が不明確との立場から、この病態を「本態性環境非寛容症(本態性とは原因がわからないという意味)と呼ぶことが提唱され(リンク)、欧米では研究が進められています。

一方、日本では一般的に化学物質過敏症(CS)」と呼ばれていますが、その診断基準を含め、不確定な部分が多いのが実態です。1999年頃より研究が始まり、シックハウス症候群の6割の方がCSであったという報告から、関連疾患という捉え方もされています。2019年10月より保険病名「化学物質過敏症」が登録され、保険診療にて治療を受けられるようになりました。

 一体何人くらいいる?
診断基準が統一されておらず、診療ガイドラインすらありません。有病率は報告によって違いがあり、0.5~10%まで、また国別でも有病率が異なります。

参考にした論文の結論では、
✓ 日本は海外に比べて化学物質過敏症の認知度が低い
一般医師も十分に認知されていない
✓ 科学的なエビデンスが乏しいことや明確に病態が説明できない
✓ そのため、存在自体を疑う研究者も少なくない
✓ 一定数の患者が存在することは事実
✓ 今後も啓発活動と研究にとりくみたい
とありました。
参照論文:化学物質過敏症 ―歴史,疫学と機序—

症状も個人差があまりにも強く、それゆえに病態として捉えるのが非常に難しいということでしょう。
2025年の厚労省研究班によるパンフレットでも、非常にざっくりとした解説に留まっていますね。
参照:化学物質過敏症(厚労省2025年)


議会

前置きが少し長くなりましたが、ここからは一般質問での内容です。
化学物質過敏症(CS)で苦しむ人を守るための取り組みがまとめられました。

市の対応と理解促進
職員研修:
 行政職員をはじめとする関係者のCSへの理解を深めるため、職員間の掲示板等で周知を図っており、今後も繰り返し周知啓発が必要との認識が示された。

医療・介護現場:
 市立総合医療センターでは、無香料の芳香剤や石鹸、ノンアルコールの除菌シートを使用。職員には香水等の使用を控えるよう指導している。

相談窓口:
 まずはサービス提供事業者に直接申し出ることが基本。解決しない場合は、市の福祉担当部署などが相談に応じる。利用者・事業者双方にとって明確な相談窓口の明示が望ましいとの意見が出された。

■ 学校園における対策
保健健康調査票:
現状は自由記述欄で個別の事情を記入できるよう周知し、養護教諭や担任に相談できる体制を整備している。
調査票にCSの記入欄を追加することについては、保護者の気づきにつながる可能性も指摘され、定期的な見直しの中で検討される。

保護者へのアンケート調査:
市民団体による調査では、小中学生の約1割が人工的な香りで体調不良を経験したとの結果がある。市内ではCS症状のある児童が1名確認されている。調査目的や活用方法の検討課題があるため、他市の状況も参考にしつつ、必要に応じて調査を行う方向で検討を進める。

引用:小中10%、「香害」で体調不良 消費者団体などが対策要望

なお、あくまでアンケート結果であり、CSの基準に則ったわけではないことは注意すべき。

■ 避難所における対策
運営マニュアル:
 地域防災計画や運営マニュアルでは、CSも障害の一つとして個別に配慮する方針であることが確認された。

具体的な対応:
 プライバシー配慮のためパーテーションテントを確保。他の避難者との同室が困難な人には別室対応も検討する。一般の避難所での対応が困難な場合、受け入れに余裕があれば福祉避難所での受け入れも検討の余地がある。
➡現実的にどこまで対応できるのか、どのレベルまで許容できるのかなどの把握が重要かと。

■ 投票権の確保
課題:
投票所に充満する柔軟剤などの香りが原因で、CS患者が投票所に行けない問題が提起された。現行制度では郵便投票や代理投票が認められていない。
➡小金井市議の田頭祐子氏がブログにて報告(リンク)。CSとして治療中の方なのか、他に基礎疾患はなかったかなどやや注意は必要な情報。

市の対応:
投票権は民主主義の根幹をなす権利であり、国に対して郵便投票等の条件見直しを要請するなど、今後の動向を注視し、必要な取り組みを検討すべきである。

■ 障害者差別解消法との関連
事業者への合理的配慮の周知:
事業者への合理的配慮の義務化について、市の広報誌や人権啓発紙で周知活動を実施済み。事業者にとって重要な情報が確実に届く仕組みの必要性が指摘された。

障害福祉ガイドブックへの記載:
化学物質過敏症を障害福祉ガイドブック(リンク)に記載することについて、誤解を招く懸念もあるため、表現方法などを慎重に検討するとの回答があった。


CSは、除草剤、香水や柔軟剤など身近な物質も対象となることから非常に難しい問題です。加えて、精神症状や感覚過敏を伴う他疾患との鑑別が難しいケースもあるため、適切な診断基準の構築が求められています。

そもそも、香りは生理反応を起こすものです。
人間は危険性を察知するため、食べられるものか否かをまず嗅いで判別し、そこから様々な情報を得ようとします。そのため刺激が強すぎる香りは、人工物でなくとも生理的反応を起こすのです。例えば、ワキガ、銀杏、栗の花など、強い臭気刺激であれば人工・自然に関わらず、吐き気や頭痛などの身体反応を引き起こしてしまいます。

体調にも左右されますよ。脂っこい香りが食欲をそそる時と、気持ち悪く感じるとき。このような条件付きな生理現象も相まっていることから、余計に判別が難しいのが現実なのでしょう。だからこそ、まず除外診断が重要になると思われます。

なお、mRNAワクチン接種者からも独特の臭いを感じ、身体症状を訴える報告がありましたね。実際にそのような話を聞いたことがありますが、それらはあまり言及されていないのは残念なところ。併せて研究してほしいものです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
党派・会派 参政党

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