長田 たくや ブログ

【イスラム教】 ムスリム土葬問題:なぜ“国の責任”なのか。本当に税金でやるべきか?

2025/11/25

兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
大分県杵築(きつき)市の自民党市議団が国に対し、「日本全国で国が責任を持ち、複数の地域に土葬対応可能な墓地を確保・整備すること」などと求める異例の要望書を提出したという報道がありました。
参照:大分の自民市議団が異例要望 岩屋毅氏尽力

なお、杵築市議会のホームページを見ても、どの方が自民党やらがわからぬ”ステルス仕様”です^^;
参照:杵築市議会議員の紹介

まず、宗教的理由であっても埋葬方法まで国家が保証する義務は国際法上ありません。
むしろ日本の法制度では、首長の判断だけで土葬墓地が設置される現状は非常にリスクがあります。
今回の大分県の例から深堀をしていきましょう。


 なんてこったい!
要望書原本はネット上で確認できず、報道によれば以下の4点とされています。

1.国が墓地整備の基本方針を示せ。
2.色んなところで土葬対応可能な墓地を確保・整備しろ。
3.土葬の環境への影響を科学的に検証し、全国共通のガイドラインをつくれ。
4.地域住民への説明を、地方自治体への支援を含めて国がやれ。

火葬が日本でのスタンダードであるのに、なぜムスリムの宗教的理由を背景に、「税金」を使ってまで対応するのでしょうか。
経緯についてみていきましょう。


 発端は日出町
2021年、大分県の別府ムスリム協会は、信仰に基づいて埋葬方法を自由に選択できる「多文化共生公営墓地」の創設を求め、厚生労働省に陳情書を提出しました。

理由は、大分県日出町(ひじまち)での土葬墓地の建設で、計画から約3年を経過しても、地元との協議が膠着状態のままでした。

引用:nippon.com ムスリム協会が確保した日出町の土地

2018年、ムスリム協会は墓不足を見越して、別府市に隣接する日出町の山中、約8,000㎡の土地(100人分の土葬が可能)を購入しました。周辺に住宅や農地がないことから、協会は日出町に墓地設置の許可を求めました。

日出町の場所

当初、日出町は「一般的な墓地の立地条件は満たしている」と設置に前向きであり、協会は、条例の規定に基づいて、予定地の近隣住民向けた説明会を5回も開催したそうです。

一方、水質汚染による農業用水への被害などを理由に、住民による反対運動が起き、町議会はその陳情を採択しました。
参照:ムスリム墓地建設に関し誠意ある対応を求める陳情書

ただし、議事録を確認しますと、陳情書に対して以下の”附帯決議”を設けられてしました。

✓市民100名以上の署名をしっかりと受け止めた
✓でも、国際化も大切だから3つのことを言いたい
①町はムスリムと相互理解してほしい
②外国人差別とならないように注意してほしい
③外国人墓地は、国が主導的にガイドラインを設けるべき。国の不作為!
参照:日出町 令和2年第4回日出町議会定例会議事録

まぁ、ここでも結局「国が責任を持て」という論調になっています。
あとは矛先が議会に向かわないような”工夫”がされていますね。
附帯決議を含めて、議会は当時の町長に要請書を提出しました。
参照:住民へ十分な説明を ムスリム墓地計画で日出町議会が町長に要請書

 決定権は町長にある理由
墓地運営の決定権は、議会ではなく首長にあります。その理由を説明します。

墓地、埋葬等に関する法律の第10条1項には、「納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。」とあります。つまり、本来は知事マターになります。しかし、地方分権が進んで特例が作られました。

地方自治法の第252条17の2項に、「都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる。」とあります。条例を元に、市町村への権限移譲が認められました。そのため、日出町も条例に則り、町長が決定権を持ちます(川西市もあります)。

直近にあった宮崎県知事選挙でも、土葬問題が注目されました。各市町村に権限が委譲されているから、土葬については拒否することができたも言えます。知事の権限が強いままだったら、どうなっていたことやら…。

 土葬反対派の町長が誕生
2024年8月に行われた町長選挙で、土葬墓地建設への反対を訴えた安部徹也氏が、現職候補に3500票以上の差をつけて勝利しました。
結果、計画がストップし、町のホームページにも以下のように説明されています。

やっぱり政治ってすごく大切じゃないですか?町長次第で、土葬を受け入れるか否かが決まるのですから。


 国家の責任
「外国人を積極的に受け入れたのだから、国が責任を持つべきだ」というのは、気持ち的には理解できます。
しかし、批准している国際人権規約(B規約)の18条に宗教に関することが書かれています。

・信じる自由
・礼拝する自由
・行動としての宗教儀礼

これらが保障されている以上、あらゆる宗教を拒めないということです。しかし、埋葬方法までは言及されておらず、国家はその義務も負いません。
また、規約には公共の安全・保健のために制限可能となっているため、それに基づいた法律が上回るとされています。

逆に言えば、「火葬を義務とする法律」をつくれば、この問題はスッキリ解決してしまうというわけです。国際法上の違反とはなりません。今後、増加するであろう外国人対応の1つとして検討すべき余地はあるものと思われます。まさに国民的に議論していく、それが国の責務かなと。

 火葬を条例で義務化するには至らず
日出町の住民の方も勉強されたのだと思います。「埋葬は焼骨」とする条例制定の陳情を提出したそうです。
しかしながら、議会にて不採択という結果となりました。

引用:イスラム土葬墓地「埋葬は焼骨」条例に明記求める住民陳情

ここはやはり国の法律がない以上、なかなか難しいのが現状でしょう。
町長が変わればいつでも「土葬が再開される」リスクを、少しでも減らそうとする住民の意向もよく理解できます。


 日本のムスリムの今
参考資料(ムスリムの土葬墓地受け入れ問題について)によれば、日本の火葬率は全体の99%とのこと。
”日本には約20万人のムスリムが生活しており、そのうち約5万人は日本人。ムスリムの人口は、増加傾向。日本での土葬を希望するムスリムも今後増加すると予想される。一方、日本に存在するムスリム用の土葬が可能な墓地はわずか7か所。キリスト教墓地にて埋葬されているのが現状である。”

墓地を地図化しているサイトがありましたので、ご紹介します。

引用:生きた地で眠る自由 wasegg

確かに、今後大きな問題になることが予想できます。その度に、「多文化共生」という言葉が多用されるわけです。
そして反対する人達を「排他的」とレッテルを貼るのです。コロナ禍ではほとんどの人が「排他的」になっていたにも関わらず…

 


非常に難しい問題だと思います。
火葬を義務化したらいいじゃないと思いますが、そこまで明確な政治判断が下せるのかと言えば難しいでしょう。
少なくとも、国籍で線を引くべきでしょう。短期滞在者まで含めると、土葬のために来日されることも想定せざるを得ません。

ムスリム墓地に国費を使うことはないとは思いますが、そうなればおかしな前例を作ることになります。
ますます多文化共生が歪むことになるでしょう。

政治に参加しましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
ご意見・ご感想はこちらまで↓
takuya_nagata_1026@yahoo.co.jp
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
各種SNSもフォローを宜しくお願いします。
エックス(旧ツイッター)
Facebook
インスタグラム
LINEオープンチャット(ニックネームで参加可能)
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•

この記事をシェアする

著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
選挙区

川西市議会議員選挙

肩書 薬剤師で市議会議員
党派・会派 参政党

長田 たくやさんの最新ブログ

ホーム政党・政治家長田 たくや (ナガタ タクヤ)【イスラム教】 ムスリム土葬問題:なぜ“国の責任”なのか。本当に税金でやるべきか?

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode