2025/10/29
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
学校給食の無償化──。概念としては「無償化」よりも「税金化」と言ったほうが正確でしょう。
文部科学省の資料「給食無償化に関する課題の整理について」から、あらためて考えていきます。
【記事要約】
学校給食は教育の一環であり、これまで「設置者と保護者が費用を分担する」という考え方が取られてきた。現在、無償化を実施している自治体は約40%で、財政力よりも人口流出対策などの要因が大きい。給食費総額は全国で約4,800億円、兵庫県に換算すると約200億円規模。財源確保には他分野の見直しも必要。
文科省の資料からあらためて考えていきましょう。
参照:「給食無償化」に関する課題の整理について
■ 給食の歴史

【学校給食の元祖:山形県鶴岡市】
常念寺の住職である佐藤霊山が貧しい家庭の子ども達も学校に通い、勉強ができるよう本堂の一部に「忠愛小学校」をつくりました。貧しい家庭の子ども達は、学校に弁当を持ってくることができませんでした。
住職たちは何とかしようと休まず、托鉢(お経を唱えて町を歩き、お金や食べ物をいただくこと)を行い、弁当を持ってこられない子ども達に昼食を作りました。これが日本の「学校給食」のはじまりとされています。昔の給食の写真がありますが、普通に美味しそうなんだけど…。

【学校給食法の改正】
学校給食法は、改正されて「食育」の概念が加わりました。また、法律に「目標」があるのは、本法と教育基本法です。しかし、この目標達成のための結果の収集や確認・検証が、非常に弱いと私は考えています。
(学校給食の目標):要約
学校給食は、子どもたちの健やかな成長と教育の一環として次のことを目指す。
- 栄養のバランスを整え、健康を増進すること。
- 正しい食の理解を深め、望ましい食習慣と判断力を養うこと。
- 給食を通じて社交性や協調性を育むこと。
- 自然の恵みや生命への感謝、環境を大切にする心を育てること。
- 食を支える人々の働きを理解し、勤労を尊ぶ心を養うこと。
- 日本や地域の伝統的な食文化を理解すること。
- 食料の生産から消費までの流れを正しく理解すること。
■ 学校給食費に関するこれまでの考え方
経費負担の在り方について、過去には以下のように整理されています。
義務教育諸学校等における学校給食の改善充実方策より
学校給食は、学校設置者(自治体など)と保護者が協力して目的を達成すべきものであり、経費の分担もその協力関係の上に成り立つとされている。
公費負担が妥当なもの:施設・設備費、職員の人件費
保護者負担が妥当なもの:食材料費
ただし、生活困窮者には特別な助成措置を講ずる必要がある。また、児童手当のような社会政策との関係も考慮すれば、将来的に学校給食費の公費負担を議論する余地はあるが、給食の改善という観点だけで扱う問題ではなく、より広い社会政策課題として検討すべきと整理されている。
■ 給食無償化の現状
令和5年9月1日時点で自治体独自の無償化を実施していた自治体は、722/1,794自治体(約40%)。
うち、547自治体(約30%)において、給食を実施するすべての小中学校の児童生徒を対象に無償化を実施。
財源別:
・自己財源(722自治体中475)
・地方創生臨時交付金(同233)
・ふるさと納税(同74)
・都道府県からの補助(同52)
財源別を見ますと、地方創生臨時交付金の自治体は、交付金が終了するまでの期間限定かもしれませんね。
■ 課題:公平性
給食無償化は、食べていない家庭との格差が生まれるととされています。
➡このような不公平性は、どこでもあるように感じます(高額療養費制度など)。
食材費が各都道府県で、1.4倍程度の開きがあるとのこと。
➡これは知らなかったですね。物価の問題なのか、それとも高品質の食材を使っているのか、詳細の分析がほしいところ。

■ 財政の問題ではない!?
財政が裕福な自治体ほど、給食無償化をやっていそうに思えますが、実際はそうではないようです。
資料でも触れられていましたが、学校給食が「教育・食育」のためではなく、都市間競争や少子化対策のためという位置づけの分析は正しいと思います。財政力指数※が高い市ほど、勝手に人口は安定しており、無償化せずとも流入人口が多い。一方で、周辺都市に人口流出している市は、それを食い止めようと「無償化」という施策を打ちだしている可能性があります。

【※財政力指数とは】
基準財政需要額(A):
地方自治体に理論上の必要な資金。標準的な行政サービス(教育、福祉、ごみ処理、消防など)を行うのに必要な一般財源の額。総務省が毎年7月頃に算定し、公表しています。
基準財政収入額(B):
地方自治体に理論上の収入。標準的な徴収が見込まれる税収入。住民税・固定資産税などの法定税収が主で、住民の数に依存します。
財政力指数は、収入額(B)÷需要額(A) で計算します。収入<需要であれば、1.0より小さくなります。逆に、収入>需要であれば、1.0以上となります。つまり1.0以上は、収入が多くて裕福な自治体ということです。
■必要なコスト
公立に限っても、義務教育諸学校及び特別支援学校(幼稚部・高等部)の給食費の合計額は、約4,832億円(推計)。無償化となれば、その程度の財源が必要ということです。
外来における調剤薬局での薬剤費だけで6兆円ですからね。5,000億円程度ならば、過剰医療や過剰診断を控えたら生み出せそうですが。
兵庫県で考えてみましょう。
全国の中で兵庫県の人口割合は:
530万人÷1億2,400万人=約0.0427(=約4.27%)
したがって、兵庫県分を人口比で推計すると:
4,832億円×0.0427≒206億円
ちなみに、兵庫県で外国人学校振興費補助に年間2億6,000万円を使用しています。私はこれも無駄な予算だと考えていますが、この100倍が必要となると抜本的な改革が必要ですね。男女共同参画の福祉分野を除けば約5兆円の予算(リンク)。不要なものを削減すれば財源となりそうです。
加えて、健康診断や予防接種、がん検診への補助金なども削減すれば可能ではないでしょうか。
学校給食の成り立ちや目的をしっかり踏まえたうえで、各地で無償化の検討が進められています。しかし、多くの国民の実感としては「タダになった!うれし~!」という感覚が正直なところでしょう。私自身も、学校給食に“教育の理念”や“壮大な目的”を感じたことはほとんどなく、それはある意味で無理もないことだと思います。
ただ、無償化が進む一方で、給食の質の低下が懸念されます。本来の「食育」という視点から考えれば、地産地消を進め、地域の農家を支えること、そして、海外依存の高い化学肥料に頼らない、有機農法などの持続可能な農業と連携することこそが重要です。そうした取り組みを学校給食に積極的に取り入れ、地域全体の食と農の循環を盛り上げてほしいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
ご意見・ご感想はこちらまで↓
takuya_nagata_1026@yahoo.co.jp
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
各種SNSもフォローを宜しくお願いします。
エックス(旧ツイッター)
Facebook
インスタグラム
LINEオープンチャット(ニックネームで参加可能)
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>長田 たくや (ナガタ タクヤ)>給食無償化=税金化 兵庫県で試算して見える現実