2025/5/5
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
日経DIにて新規のアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬治療薬の話題が出ていました。
化学成分名をタピナロフ。商品名をブイタマー®クリームと言います。
ほぅほぅ、どんな薬~?って調べてみると、全然知らない酵素の名前が・・・。AhR調整薬?なんじゃこりゃ?というお話です。
アトピーの塗り薬といえば、やはりステロイド。近年ではステロイド以外の薬剤が新規開発されています。
(外用薬一覧)
・ステロイド薬(いっぱい種類がある)
・タクロリムス:プロトピック®(免疫抑制)1999年
・デルゴシチニブ:コレクチム®(JAK阻害薬)2020年
・ジファミラスト:モイゼルト®(PDEⅣ阻害薬)2022年
・タピナロフ:ブイタマー®(AhR調整薬)2024年
年代を見てわかるように、コレクチムが出た時は「おぉ~っ!」と思いました。これまでと全く異なるメカニズムだからです。タピナロフまでは、炎症に関係するような反応を邪魔する薬です(阻害薬)。しかし、AhR調整薬は少し毛色が違うようです。
大学でも習っていないため新しく発見されたのかなぁと調べてみると、なんと1970年代に発見されており、わりと昔から存在が判明しているものでした。AhR(Aryl Hydrocarbon Receptor):芳香族炭化水素受容体と言います。細胞質、つまり細胞の中に存在します。皮膚だけではなく全身の細胞にあるようです。

芳香族というのは、ベンゼン環を含む化学物質のことで、ダイオキシン(TCDD)の研究から詳細が判明していったそうです。発がん性などに関連しているとされています。
ん?新しい薬は、AhR調整薬ですよね。この経路を止めなくていいのか?と思いませんか。
タピナロフもダイオキシンも、どちらもAhRを活性化して、細胞に反応を起こします。
ただ、両者に違いがあります。それは生体内での分解のしやすさです。
・タピナロフ:分解しやすい→作用が短時間
・ダイオキシン類:分解しにくい→作用が長期間
この違いが大きいそうです。
AhRを欠損したマウスでは、インターロイキンなどの炎症の促進物質が多く発現しています。AhRは体に必要不可欠だとわかります。そして、短時間的にAhRを活性化することで、炎症性の物質の発生を抑えると言うのです。つまり、ダイオキシンでもおそらく炎症性物質は抑制されます。しかし、ずっと核内に残って反応し続けることで、免疫低下に起因するがん化や、ホルモン不良などの負の効果が起こるわけです。
タピナロフは、スイッチをパッと入れて、良い感じに消すって感じで、ダイオキシン類は、スイッチを入れ続けてしまい壊れちゃうって感じなのでしょう。この時間的線引きは、まだよくわかっていないようです。
AhRをちょろっと活性化することで・・・
✓皮膚バリア機能の強化:フィラグリンやロリクリンなどのバリア構成タンパク質の発現を促進。
✓抗菌ペプチドの産生促進:自然免疫にかかわるβディフェンシンなどの抗菌因子の発現を増加。
✓炎症の抑制:IL-4やIL-13などの炎症性サイトカインの産生を抑制し
アトピー性皮膚炎では、皮膚表面の黄色ブドウ球菌(炎症を起こす)が増加しています。これらの作用により、皮膚の常在菌バランスが整うとされています。また、タピナロフ自体にも抗菌作用を持つとされています。
✓グラム陽性菌への抗菌活性:黄色ブドウ球菌やバチルス属など
✓真菌への抗菌活性:カンジダやアスペルギルス
公式資料を読みますと、炎症を抑制するよりも、”調整する”という表現を使用しています。抑制だけにとどまらないと言う事だと思います。やはりこれまでの治療薬とは違いますね。
線虫っていう小さなウネウネした虫がいます。その体内に共生している細菌がおり、なんとタピナロフは、その細菌の分泌成分から発見されました。

細菌も生き残るために、抗菌効果や抗炎症作用などの調整機能を線虫にもたらしているのかもしれないですね。排除されず共生しているため、なんらかの役割を持っていると思われます。
それにしても、なんだか可愛らしい構造式ですね。
あらためて調べてみますと、外部の刺激により適度にAhRに刺激を与えることが大切なようです。つまり、あまりにクリーンすぎる環境は、皮膚をはじめ体にとって良くないということではないでしょうか。AhRの刺激は、常在菌のバランスを整える効果も持ち、腸管フローラにも影響していると考えられます。
野生下で生き延びるために作られたシステムが、自然界ではありえないクリーンすぎる環境に対応できていないのではないかと感じました。それがアトピーや乾癬などの免疫系の疾患につながっているのかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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