2025/3/2
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
ところで皆さん、男性にも「更年期障害」があるってご存じですか?……正直イヤですよね、ガッデム!ですよね。
男性は女性ほど月単位のホルモン変動を経験しない一方で、加齢に伴う男性ホルモン(アンドロゲン)の低下に気づきにくいと言われます。ちょうど社会や家庭で責任が増える年代と重なり、ストレスによる不調なのか、ホルモンの問題なのか分かりづらくなるのも特徴です。

せっかくなので男性ホルモンに関わる病気や、なぜホルモン補充は慎重すべきかについて少し詳しくなってみていきましょう。
医学的には男性更年期障害を「Late-Onset Hypogonadism:LOH症候群(加齢性腺機能低下症)」 と言います。症候群=多様の症状を意味し、勃起障害、うつ、骨粗しょう症、メタボなどが発現するとされています。
もし詳しく知りたい方は、LOHのガイドラインをご覧ください(リンク)
■ テストステロン
男性ホルモンを、”アンドロゲン”と言います。テストステロンは、アンドロゲンの1種です。脳みその下垂体から、FSHやLHと呼ばれるホルモンが出てきます。それらが血流に乗って精巣まで達すると、精子や男性ホルモンが生成されます。

男性ホルモンの減少が原因でも、一般的にイメージしにくい症状が以下のとおりです。
・うつ(テストステロンが少ない人程多くなる)
・骨粗しょう症(骨代謝が減って弱くなる)
・メタボ(内臓脂肪蓄積を抑えられなくなる)
■ テストステロンの合成
性ホルモンの多くはコレステロールから作られます。だからコレステロールはとても大切なのです。
さらに脂肪細胞にあるアロマターゼという酵素は、テストステロンをエストラジオール(女性ホルモン)に変換します。なんと、男性にとっても女性ホルモンは全体のホルモン量を調整したり、骨の成長にも関わる重要な働きをするのです。
テストステロンとエストラジオールは、構造的に非常によく似ていますよね。

■ 前立腺肥大
前立腺に存在するテストステロンは、5αリダクダーゼ(還元酵素)によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。DHTは、テストステロンの約5倍の強さを持ちます。結果として、前立腺の細胞が異常に増殖し、前立腺肥大(BPH)という病気を引き起こすのです。

肥大化すると尿管が圧迫されスムーズに排尿できず、頻尿や尿漏れ、すっきりしないなどの症状が出ます。罹患率が高く、80歳代で8割の方が罹患しており…汚い話ですが、便器周りがべちゃべちゃ汚れる理由がこれ><

【前立腺肥大の治療戦略は3つ】
・尿管を広げる
・膀胱の収縮力を高める
★肥大を抑える
肥大を抑えるなら、酵素5αリダクターゼを邪魔してしまえば良いのです。その医薬品がアボルブ®(デュタステリド)です。

テストステロンによく似た構造をしています。5αリダクターゼが間違ってこいつを捉えてしまうという戦略。先発品は飲みにくいデカいカプセルですが、ジェネリック医薬品だと錠剤も出ていて飲みやすくなりました。
1つだけ注意点があります。この薬を服用していると、前立腺がんのマーカーであるPSAが下がることがあります。そのせいで前立腺がんの発見が遅れることリスクがあります。服用している場合は、医師にしっかり伝えておきましょう。
■ 男性型脱毛症:AGA
下半身だと前立腺肥大となりますが、頭皮で起こるとどうなるか。それが男性型脱毛症、要はハゲることです。さて、男性ホルモンが多いとハゲるって聞いたことあるかも知れませんが、これは前立腺肥大で出てきたのと同じジヒドロテストステロンが発毛を抑制するのが原因です。

特に、髪の毛の場合は5αリダクターゼのタイプ2が発現します。
そこでターゲットをタイプ2に特化した医薬品が登場します。それがプロペシア®(フィナステリド)です。

フィナステリド(プロペシア®)は2005年に登場。”AGAは病気じゃない”とされ保険適応外となっています。つまり全額自費です。しかし、処方箋が必要なお薬のため市販はされていません。
デュタステリド(アボルブ®)は2009年に登場しました。実はこちらの方が後輩になります。前立腺肥大に効果があるとして保険適応となりました。
フィナステリドは5αリダクターゼのタイプ2に特化していますが、デュタステリドはタイプ1も2もどちらも邪魔します。ということで、前立腺肥大の治療中に毛が生えてきた!ってことも報告されるようになります。しかも、タイプ1も2も邪魔するので、こっちの方が強いんじゃね?となりました。
2015年、デュタステリド(ザガーロ®)がAGA治療薬として発売!?下の画像をご覧ください。

色変えただけやないか~い!
私も初めて入荷したものを見た時に笑いました。ザガーロって薬価が決まっていないので、各薬局や医院さんで値段を決めるんですよね。アボルブは1カプセル70円くらいの薬価ですが、ザガーロはだいたい相場300円くらいで売られています。ちなみに中身は同じもんデス^^;
薬の値段ってなんなんだろうって感じしますよね。
最近はジェネリックも出ているので、支払いが少しは楽になると思います。
■ ニキビ
テストステロンは毛穴を閉じ、皮脂腺を活発にして「ニキビ」を作ります。だから血気盛んな中学・高校で増加するのです。
通常は塗り薬や抗菌薬で対処しますが、男性ホルモンによるアプローチで治療する専用の医薬品は存在しません。ただし、テストステロンの合成抑制作用を持つ利尿剤スピロノラクトンが、応用的に使用されることがあります。

・アルダクトン®(スピロノラクトン)
主作用は利尿剤ですが、体内で女性ホルモンのような動きもします。結果的に男性ホルモンが弱まるのです。この薬には、女性化乳房と言う、男性の胸がちょっと膨らみ、違和感や痛みを感じる副作用があります。飲むのをやめれば元に戻ります。
不思議ですが、実際に体験された患者さんもいました。
■ 前立腺がん
実はテストステロンがすごくかかわっているのは、前立腺がんです。
こちらを治療する場合は、テストステロンや活性が強いジヒドロテストステロンが、前立腺に反応しないようにする抗アンドロゲン受容体拮抗薬(邪魔する薬)が選択されます。
第1世代
男性ホルモンが受容体にくっついて反応するのを邪魔する薬
・カソデックス®錠(ビカルタミド)¥180.7/錠
・オダイン®錠(フルタミド)¥115/錠
新世代
新しい機序(男性ホルモンの合成酵素CYP17をブロック)
・ザイティガ®錠(アビラテロン)¥3,759.3/錠
第2世代
男性ホルモンがくっつくのをめちゃくちゃ邪魔する薬
・イクスタンジ®(エンザルタミド)¥2,116/錠
・アーリーダ®(アパルタミド)¥2,036/錠
・ニュベクオ®(ダロルタミド)¥2,053.9/錠
これらは前立腺肥大にも使えるんじゃない?って考えることもできます。実際効果もあるとは思いますが、性機能低下などの副作用のリスクを考えると使いにくいそうですね。あと値段に注目。第1世代で効果が出るならば、そっち使ってくれって感じしませんか?
高すぎる抗がん剤市場が、いかにバグっているかがよくわかります。
■ ホルモン補充療法の難しさ
男性更年期障害は、保険病名「男子性腺機能不全」としてホルモン補充治療を受けることができます。
ここまで読んでいただいた方はそれが難しい理屈であることがよくわかったと思います。つまり過剰なテストステロン(男性ホルモン)は、前立腺肥大/がんに影響を及ぼすのです。これらの患者さんにはホルモン補充を選択できません。
・エナルモンデポー®(テストステロン)注射
筋肉注射で投与する男性ホルモン剤です。肝臓で血栓に関わる物質を増加させてしまうリスクが怖いのですが、男性ホルモン剤は女性ホルモンに比較的リスクは小さいとのこと。
■ 同僚議員の質疑
公明党の山﨑議員が、一般質問にて男性更年期障害を取り上げていました。
調査では約9割の男性が病院受診を考えたことがないと回答しています。市は、ホームページでの啓発や周知もしておらず、他市事例をみて検討しますと締められました。
男性ホルモンの嫌な作用ばかりを取り上げましたが、筋肉をつくる、心臓を強くする、血をつくるなど、生命維持や活力に必要なホルモンとなっており、女性にも必要なホルモンです。今日は西洋薬を中心に紹介しましたが、漢方薬ならば八味地黄丸(下半身に効果)や補中益気湯(疲れ)、半夏厚朴湯(うつな感じ)の系統が良いとされています。
ほんと他人事じゃないからなぁ、嫌だな~
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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