2026/7/25
副首都法・附則7条という「抜け道」ーー参院参考人質疑で見えたもの
2026年7月24日、参議院本会議で副首都法(正式名称:国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律)が可決・成立しました。
投票総数244のうち賛成123、反対121。わずか2票差の決着で、国民民主党は反対しました。
採決の前日の23日、参院沖縄北方・地方特別委員会で参考人質疑が行われました。
参考人質疑と連合審査はいずれも衆院では開かれず、参院で野党が審議入りの条件として求めて実現したものです。
参考人は、火山学の藤井敏嗣・東京大学名誉教授(山梨県富士山科学研究所所長)と、地方自治が専門の小原隆治・早稲田大学政治経済学術院教授のお二人。国民民主党からは足立康史議員が質疑に立ちました。その質疑応答から、3つの論点をご紹介します。
論点1 「東京が危ない」は副首都の理由になるか
足立議員はまず藤井参考人に、リスクの受け止め方そのものを問いました。
資料を見れば「東京は怖い」となる。
しかしそこから「だから副首都を」へ直結させてよいのか、と。
藤井参考人の答えは慎重でした。
日本列島のように4つのプレートがひしめき合う場所では、どこにでも地学的なリスクがある。
どこで何が起こるかについて明確な理論はなく、放射性廃棄物の処分に困っているのも日本列島そのものが安定した場所ではないからだ。
そのうえで「リスクという点では『どの場所が良い』と考えるのは非常に難しい」と述べています。
災害リスクは「東京から他所へ」という論法を支える根拠にはなりにくい。
であるにもかかわらず本法は、災害リスクそのものを副首都の指定要件に置いていません。
論点2 附則7条--制度上は不要な規定が、なぜ置かれたのか
本法の附則には、特別区を設置した副首都が「道府県」から「都」へ名称変更できる規定が置かれています。
現状これに該当し得るのは大阪府のみです。
なぜ問題なのか。手続を順に追います。
・都道府県の名称変更は、地方自治法3条2項により法律で定めることとされている
・特定の自治体のみに適用される法律は地方自治特別法であり、憲法95条により住民投票で過半数の同意が必要となる
・ところが附則7条は、この手続によらずに名称変更を可能とする特例を設けている
足立議員は、この規定の不整合を突きました。
福岡県には太宰府などの歴史を背景に「福岡府」への変更を求める声があり、県議会も要望している。
それなのに県から「府」への規定は置かれていない。
なぜ「都」だけが特別なのか。
提出者である維新側の答弁は「地方自治法に『都』の制度があるから」という趣旨のものでした。
小原参考人は、これを明確に否定します。
地方自治法281条は「都の区は、これを特別区という」と定めるが、2012年の大都市地域特別区設置法により、この制度はどこにでも適用できるようになった。
大阪府に適用すれば、大阪市はなくなり、大阪府は特別区を包括する広域自治体になる。名称は「大阪府」のままで。
特別区には市に関する規定が適用されるため、世田谷区が「世田谷市」になる必要がないのと同じことだ、と。
結論は「制度と名称変更は全く関係なくて、もし名称変更したいならそれは別の手続きとしてすればいいけれど、制度とは関係ない話です」ということでした。
小原参考人は、名称変更は地方自治法3条2項で対応できるとしたうえで、本法が「都」への名称変更規定を設けていることについて「立法上のバランスが悪すぎる」と指摘しています。
制度上は必要ない。にもかかわらず附則7条が置かれ、しかも憲法95条の手続を省く形になっている。ここに疑いの目が向くのは当然ではないでしょうか。
足立議員は、大都市制度と「都・道・府・県」の名称は法体系上切り離されているにもかかわらず提出者が「関係ある」と答弁したのは明らかな誤りだとして、その取扱いを理事会で協議するよう求めました。
論点3 逆算された政治日程
足立議員が示したのは、より具体的なタイムスケジュールでした。
来春の住民投票から逆算すると、7月に法案成立、3か月後に副首都指定、年内に大都市地域特別区設置法に基づく法定協議会で可決・決定、府議会・市議会に送付、総務省の審査を経て、4月の住民投票にぎりぎり間に合う。
このような具体的なスケジュールが念頭にあるからこそ、基本方針を策定する前に指定だけを先行させる仕組みになっている。
足立議員は「災害の名を借りて」進められた「大変ひどいやり方」だと批判しました。
さらに足立議員は、制度は国家・地域の「100年の計」である一方、そこで選ばれる政治家の任期は最長4年にすぎないとして、「4年と100年を一緒にやることが本当に適当なのか」と問いました。
これに対し小原参考人は、住民投票で問われる争点が世論・国論を二分するような大きな問題である場合には、選挙とはできるだけ離した方がよいという立法政策には十分な合理性がある、と応じています。
国民民主党の対応
国民民主党は公明党とともに、地方選挙と住民投票の同日実施を禁止する議員立法を提出しました。足立議員は質疑の中で、速やかに採決し可決していきたいとの





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