山本 たけし ブログ

「金ヶ崎プロジェクト」は一旦リセット

2026/5/29

昨日の「氣比の杜整備基本計画策定委員会」に続き、今日も敦賀の「まちづくり」に関する話題。
 
北陸新幹線敦賀開業から10ヶ月が経過するタイミングで、「新幹線効果」の発揮に向け、鍵を握るひとつとして策定されたのが『敦賀まちづくりアクションプログラム』。
 
これは、令和6年1月に設立された、敦賀商工会議所・敦賀市・福井県の三者による「敦賀まちづくり協議会(以下、協議会)」において、経済界と行政が一体となり、新幹線効果の最大化と持続化を趣旨に、協議を重ね、取りまとめたものであり、以降、このプログラムを基にした取り組みが進められているところ。
 
昨日は、第5回目となる協議会が開催され、傍聴してきた次第です。
 
前述のとおり、協議会のメンバーは座長に敦賀商工会議所の奥井隆会頭、敦賀市からは米澤光治市長、福井県からは武部衞副知事。
 
協議会ではまず、奥井座長より「新幹線開業後、行く先々で敦賀の知名度が上がっていると感じている」「体制を維持し、効果的なまちづくりを進めていきたい」などと挨拶があった後、議題は「北陸新幹線敦賀開業後の状況」と「金ヶ崎プロジェクト」の2点。
 
「1.北陸新幹線敦賀開業後の状況」では、市の担当より、以下の報告あり。
 
<敦賀市所管施設と二次交通の状況>
◉①開業2年目、②開業1年目、③開業前の観光各施設、二次交通の入込・利用客数を比較
◉対開業前比(①/③)の考察は以下のとおり
・来訪者数は全施設で増加→平均値で112%
・ムゼウム(147.33%)、博物館(142,18%)、山車会館(154.38%)が堅調な推移
・クルーズ船の寄港増加も影響
・二次交通も堅調で、開業2年目にコミュニティバスのダイヤ改正した効果か
・シェアサイクルは73%増の伸びとなっている
 
<市内観光施設(民間等)および外国人観光客にかかる新幹線開業前後の各種数値比較>
・気比の松原は年々減少(開業前98,800人→1年目98,200人→2年目92,100人)しており、要因はレジャーの趣向変化や天候の影響か
・気比神宮は開業前比145.8%(129.3万人)で堅調な伸び
・金崎宮は同108.3%、あっとほうむは横ばい(99.8%)、日本海さかな街は減少(85.6%)
・外国人観光客は、博物館(239.5%)、ムゼウム(203.8%)など増加していると実感
 
併せて、敦賀商工会議所からは以下の紹介あり。
 
<商工会議所調査>
・売上動向の四半期ごと調査では、R8.1〜3月と開業前比較で「増加」と答えた割合54.4%
・開業直後のフィーバーを維持している
・コロナ禍前(H31)と直近では49.5%が売上増加→コロナ禍前と比べても遜色ない増加
・駅周辺ビジネスホテル稼働率7〜8割、ピーク時は9割の高いレベルで維持、宿泊者数も増加している
 
これに対し、まず武部副知事からは、
・開業効果を維持していることを嬉しく思う
・二次交通が大きく伸びているが、データを分析しながら次の手をどう打っていくかを考えるとうまくいくのでは
・氣比神宮も伸びており、参道としての改修を生かしていただきたい
・インバウンドも伸びている。クルーズ船の計画はどれくらいあるのか。
・終着駅でもあり、国際港を持つのは敦賀しかないので、県も一緒にやっていきたい。
とのご意見。
 
米澤市長からは、大きく3点あるとし、
①数字は前向きに捉えれば良いと思っている。
①ただ緩んではいけないので、効果としてしっかり維持した上で、開業効果から新幹線効果に生かしていきたい
②来訪者がどういう行動をとっているのか。消費行動など、中身をいかに把握していくのか、調査のやり方も含めて課題になってくる
②市民のメリットにならないといけないので、経済効果としてあるべし。効果に濃淡や広がりに問題があったりもするので、成功事例を抑えながら水平展開していくことが重要。
③クルーズ船が入ってきた時以外でもインバウンドが増えている。日常的にどうおもてなしするかの観点から、クルーズ船はその練習にもなる。
③県と市で役割分担しながら、クルーズ船誘致等については費用面も含めて対応をお願いしたい
との評価の受け止めがありました。
 

【協議会会場の様子(敦賀市役所2階 消防講堂)】
 
次に「2.金ヶ崎プロジェクト」について。
 
既に一昨日の福井新聞等で報道されている、金ヶ崎緑地部分の開発(プロジェクト)について、令和3年5月には、福井県と前田建設工業。アクアイグニスの3者にて「オーベルジュ整備事業に関する開発協定」、令和4年3月には、敦賀市と同2社の3者にて「敦賀市における賑わい施設整備協定」を締結し、これまで金ヶ崎エリア整備構想の基本計画、事業計画案の検討が進められてきたところ。
 
前田建設工業においては、昨今の建築資材高騰や労務費の上昇が続く中において、建築工事費や運営経費縮減などの実施により、収支採算が取れる、継続的なプロジェクトとすべく検討を進めてきたものの、本年3月に取りまとめた事業性検討において、このプロジェクトの前提条件である「民設民営」スキームでは、持続可能な事業性の見込めるプロジェクトとすることは「困難」。
 
運営面の行政支援なしで民間事業として収支採算性を確保して事業を実施するためには、少なくとも施設整備費用に対する「全額の行政支援が必要」となることから、前田建設工業としては「凍結」したい旨の報告があったと、市より説明がありました。
 
これに対する、3者の受け止めは次のとおり。
◉米澤市長
・凍結もやむを得ない。前提条件だとこのプロジェクトを進めるのは不可能だった。スキームを変えるつもりもない。
・事業者には熱心に取り組んでいただいていただけに残念だが、採算が取れる状況にないので、あらためて敦賀市としては凍結はやむを得ないと考えている
・(プロジェクトの立案から)3年くらい経過をし、そろそろ結論をとの声も議会などからもあり判断したい。事業者に対しては感謝している。
 
◉武部副知事
・全額の支援は困難。県としてもその判断をやむを得ないと考えている。
 
◉奥井座長
・規模の大きさに配慮が足りなかった。民営でやるにはこれだけの規模は厳しかったのか。
・県市とも協議をしてきた経過もあり、次につなげていく方策を。
・金ヶ崎は、最後のドル箱、ウォーターフロントであり、憩う港。旧港は町なかにも近いので、今回のことをたたき台にして引き続きやっていきたい。
 
座長からの、
・持続可能な運営は難しい、一度リセットすることで合意。
・これで敦賀のまちづくりは終わったなどと思わず、今後も応援していただきたい。
との言葉をもって、本プロジェクトに区切りをつけることとなりました。
 
なお、米澤市長からは、今後の同エリア開発に関し、
・公園(仮称:敦賀みなと公園)と駐車場整備は市が進めていく
・金ヶ崎の整備は、今後もこの協議会で進めていけば良いかと思っている。
・リソースも含めて、県とやっていければありがたい。
・県の長期構想は、川崎・松栄辺りを「人が賑わう場所に」としている。思いをひとつにしてやっていきたい。
・オーベルジュ自体あきらめるわけではない。敦賀の観光ポテンシャルを否定することはあり得ない。
・オーベルジュもあった方が良いとは思っていて、他の事業形態を検討して、他社さんでもあれば、事業者へのインセンティブ(地域振興プロジェクト支援金)もあるので歓迎したい。
 
呼応する形で、武部副知事からは、
・まず、終着駅である敦賀をしっかり整備していく。広域行政を担う県としてはそこから周辺自治体にも広げていきたい。
・港湾緑地(金ヶ崎緑地)については、市民の皆さんがどうしていきたいのか聞いていただき、敦賀市としてどうしていきたいのかを踏まえ、こうした場で膝を突き合わせて議論し、良い方向にもっていきたい。
 
このような議論を経て協議会は閉じられましたが、自身の受け止めとしては「致し方ない」としか言いようのないもの。
 
加えて言えば、最後の武部副知事の言葉にあるよう、一部の声や考えではなく、敢えて「市民の皆さんがどうしていきたいのか」と仰った点に強く共感したところであります。
 
新幹線開業から2年と2ヶ月を経て、一旦仕切り直しとなるわけですが、そもそもの『敦賀まちづくりアクションプログラム』の目的は、①敦賀の鉄道や港、歴史・文化、食などポテンシャルが高いコンテンツを充実、連携させ、国内外から人を惹きつける場所をつくる、②まちなかに持続的な賑わいを生み出すとともに、その効果を市内全域あるいは嶺南地域全体に波及させること。
 
将来像は「世界と未来に開かれた 選ばれるまち敦賀 〜つるがファンの獲得へ〜」。
 
歴史を思えば、受け入れたユダヤ難民が「heaven(天国)」と称したのが敦賀港であり、まさに金ヶ崎の地。
 
世界を視野に掲げた、素晴らしい将来像を目指し、「オンリーワンの何か」を見つけ出していく。
 
そういったチャンスが来たと、もう一度市民の皆さんと考え、真に期待され、後世につなぐシンボリックな場所にしていくことに大きな価値があるのだと、講堂を後に思った次第です。
 

【昨日の氣比神宮の歴史と同様、お金で買えないのはこの景色(2022年10月撮影)。「heaven」と称された雰囲気とはまさに、この写真に表れるのではと。】

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山本 たけし

山本 たけし

肩書 敦賀市議会議員
党派・会派 国民民主党

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