2026/6/2
先日、昨年実施された令和7年国勢調査の速報値が公表されました。
それに伴い大阪府も2026年5月22日、令和7年10月1日現在で実施された国勢調査について、人口及び世帯数の速報を公表しています。大阪府全体の人口は876万4,578人で、令和2年調査から73,107人、率にして0.83%の減少。880万人を下回るのは、国勢調査では平成7年調査以来30年ぶりとされています。
各メディアでも「近畿2府4県で人口減少」「大阪府人口880万人割れ」などの報道がなされていますが、今回、より詳細に大阪府内の市区町村単位での人口動態を整理し、見える化してみました。

まず、大阪府全体で見ると、令和2年から令和7年にかけて人口は約7.3万人減少しています。
一方で、大阪市は約5.6万人の増加となっています。
大阪府全体では人口が減少しているにもかかわらず、大阪市だけを見ると人口が増えているため、大阪市外では約12.9万人の人口減少となっています。
世帯数については、大阪府全体で約17.2万世帯の増加、大阪市で約11.6万世帯の増加、大阪市外で約5.6万世帯の増加となっています。
つまり、府全体では人口が減っている一方で、世帯数は増えており、特に大阪市において人口・世帯の増加が集中していることが分かります。

地域別に見ると、人口増減率では大阪市が+2.04%となっており、他地域と比べて最も高い増加率となっています。
北大阪地域は+0.21%で、わずかに増加しています。
一方で、東大阪地域は-2.78%、南河内地域は-4.37%、泉州地域は-3.07%となっており、大阪市・北大阪以外の地域では人口減少が見られます。
世帯増減率では、大阪市が+7.91%、北大阪が+3.95%、東大阪が+1.60%、泉州が+1.36%と増加しています。
南河内は-0.12%で、世帯数についても微減となっています。
人口は減っていても世帯数は増えている地域が多く、人口減少と世帯規模の縮小が同時に進んでいることが読み取れます。

市町村別に人口増減率を見ると、増加率の上位は箕面市+2.72%、吹田市+2.32%、島本町+2.23%、大阪市+2.04%となっています。
上位には、北摂地域の自治体と大阪市が並んでいます。
一方で、減少率の下位を見ると、能勢町-13.06%、千早赤阪村-12.96%、岬町-11.37%、豊能町-8.60%などとなっています。
人口減少率が大きい自治体は、府域の北部山間部、南河内、泉州外縁部などに見られます。
ただし、人口増減率は、もともとの人口規模が小さい町村では変動が大きく表れやすい点に注意が必要です。
次に、率ではなく、人口が実際に何人増えたのか、何人減ったのかという「人口増減数」で見ていきます。

人口増減数で見ると、大阪市の増加数が+56,212人で突出しています。
次いで、吹田市+8,936人、箕面市+3,718人、豊中市+2,921人となっています。
増加数で見ても、大阪市の増加幅が非常に大きく、府内の人口増加の中心となっています。
一方で、人口減少数が大きい自治体は、堺市-22,828人、東大阪市-11,322人、枚方市-8,297人、門真市-8,062人、寝屋川市-7,631人、高槻市-7,223人、八尾市-7,042人、河内長野市-6,821人となっており、人口規模の大きい市での減少が目立ちます。
地理的には、大阪市外の東部・南部・北東部に位置する自治体が多く、大阪市周辺の住宅都市・郊外部で人口減少数が大きくなっています。
八尾市についても、令和2年から令和7年にかけて7,042人の人口減少となっています。

大阪市全体では人口が増加していることを確認しましたが、市内24区を個別に見ると、興味深い傾向が見えてきます。
人口増加数の上位は、中央区+15,624人、浪速区+11,905人、北区+10,244人、西区+9,587人、淀川区+6,719人、天王寺区+5,634人、福島区+4,895人、東成区+4,523人となっています。
増加している区は、中央区、浪速区、北区、西区など、大阪市の中心部からその周辺部に集中しています。
一方で、人口減少数の上位は、平野区-9,493人、住之江区-4,785人、此花区-2,928人、鶴見区-2,791人、住吉区-2,597人、大正区-1,958人となっています。
大阪市全体では人口増加となっているものの、その増加は市内全域に広がっているわけではありません。
むしろ、中心部では大きく人口が増える一方で、外縁部では人口が減少している区もあり、大阪市内においても人口の偏在、あるいは二極化が進んでいることが見て取れます。

これらの結果を、感覚的に理解しやすいよう、大阪府内の市区町村別人口増減数をヒートマップにしてみました。
青色が濃い地域ほど人口増加数が大きく、赤色が濃い地域ほど人口減少数が大きいことを示しています。
地図で見ると、人口増加地域は大阪市中心部や北摂の一部に集中しています。
一方で、人口減少地域は府内の広い範囲に分布しており、特に大阪府東部、南河内、泉州方面では人口減少が面的に広がっています。
大阪府内にお住まいの方であれば、ご自身の暮らす地域の肌感覚と重なる部分もあるのではないでしょうか。
少なくとも、八尾市民である私自身としては、この人口増減の分布には大いに実感を伴うものがあります。

大阪府全体のヒートマップと大阪市24区の拡大図を並べて見ると、人口増加の集中エリアがより分かりやすくなります。
大阪市内では、中央区、浪速区、北区、西区など、概ねJR環状線の内側からその周辺にかけて人口増加が見られます。
また、大阪市の北側から北摂方面にかけても人口増加地域が確認できます。
一方で、大阪市内でも平野区、住之江区、大正区などでは人口減少が見られます。
大阪府全体で見ると、人口増加は大阪市中心部と北摂の一部に限られ、府内の多くの地域では人口減少傾向が広がっています。
大阪府全体では人口減少が進む一方で、人口増加は限られたエリアに集中し、大阪全体で2極化が急速に進行していることが確認できました。

大阪府全体では人口が減少する一方で、大阪市中心部や北摂の一部では人口が増加しています。
一方、大阪市外の周辺市や府域の東部・南部・泉州方面では、人口減少が広がっています。
この状況は、単に「人口が増えている地域は良い」「人口が減っている地域は悪い」という単純な話ではありません。
人口が流入しているエリアでは、特定区や鉄道沿線への集中、過密化、地価・家賃の上昇、若い世代が住みにくくなる可能性、保育・医療・交通などの行政サービス需要の増加といった課題が生じます。
また、中心部への依存が強まれば、災害時や都市機能停止時のリスクも特定エリアに集中します。特に大阪では南海トラフ巨大地震を想定した津波浸水想定も公表されており、大阪市内でも湾岸部や低地部を中心に浸水リスクが想定されています。加えて、大阪都心部付近には上町断層帯が存在し、地震調査研究推進本部は、断層帯全体が活動した場合にマグニチュード7.5程度の地震が発生すると推定しています。
このような災害リスクを踏まえても、人口や都市機能が特定の中心部に過度に集中することは、都市圏全体のレジリエンス、すなわち災害時の持続性や回復力という観点からも課題となります。
一方で、人口が流出しているエリアでは、人口減少や若年層流出、担い手不足、空き家・空き店舗の増加、地域消費の縮小、財源不足、行政サービス水準の維持困難、公共施設の維持負担などが課題となります。
さらに、周辺拠点が育たなければ、都市圏全体としての成長機会も細っていきます。
大阪都市圏における一極集中は、「市外だけが損をする話」ではありません。
周辺部の衰退だけでなく、流入エリア側の過負荷も同時に生じる可能性があります。
人口増加が限られた地域に集中し、人口減少が広い範囲に広がっているという今回の速報値は、大阪都市圏全体の持続可能性を考えるうえで、重要な客観的材料の一つになると考えます。
次回以降は、この客観的な現状を起点として、広域自治体である大阪府がこの間どのような動きをしてきたのか、府内各地域の成長戦略や都市機能の配置という観点から考えていきたいと思います。
6月16日(火)、八尾市議会本会議において一般質問を行います。
今回の記事で整理した大阪の人口動態の考察も交えながら、八尾市の成長戦略について議論させていただく予定です。
開始時刻は14時前後の見込みです。
ただし、議事の都合により前後・変更となる可能性があります。
傍聴はどなたでも可能です。
ご都合が合いましたら、ぜひお越しください。
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