かいでん 和弘 ブログ

避難所トイレに、和式は必要?

2024/7/1

こんにちは。30歳の目黒区議会議員、かいでん和弘です。

 

以前、「避難所のトイレが圧倒的に不足している」というブログを書きましたが、今回はその延長戦。ここの部分にツッコみます。

 

 
 

災害時の主力・マンホールトイレ

 

現在、目黒区の多くの避難所には、下水道直結型トイレ(以下マンホールトイレと言います)が5台整備されています。

 

 

そしてその内訳は、洋式便座が3台、和式便座が1台、そして車いすにも対応できる洋式便座が1台です。

 

 

このマンホールトイレ、同じく避難所に配備されている災害用組立トイレ(工事現場にある写真のような仮設トイレ)と比べて、次のようなメリットがあります。

 

組立トイレ ※画像はイメージ

 
  • 排せつ物を下水道に流せるので臭いが少なく衛生的
  • タンクの容量を気にする必要がない

(組立トイレは排せつ物をタンクに溜めていきます。タンクが満杯になったらタンクだけを取り出して交換できますが、タンクの数も有限ですし、排せつ物の入ったタンクの置き場所も必要です。)

 

国は洋式化すべきとの立場

 

以上のようなメリットから、避難所が断水した場合に主力として活躍するであろうマンホールトイレですが、目黒区では5基のうち1基が和式。これが災害時、ネックになるのではと感じています。

 

いうまでもなく、和式トイレは足腰の弱い高齢者や使い慣れていない子ども、身体障害者等にとって、使用が極度に困難であり、実際に過去の災害時には、やむを得ず、和式便器の上に、座面の一部をくりぬいた椅子を置いて使った例もあるといいます。

 

内閣府『避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン』(平成28年発行)P3より

 

こうしたことから、内閣府が平成28年に示した『避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン』には、“既設トイレを洋式便器化していくことが望ましい。”と明言されています。

 

内閣府『避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン』(平成28年発行)P11より

 

もちろん、「他の人が座った便座に座りたくない」という方もいらっしゃると思いますが、ご安心ください。備蓄倉庫には90台、和式の災害用組立トイレを確保しています。

 

『目黒区地域防災計画(令和5年修正)資料編』P54より 一部かいでん編集

 

だとするならば、マンホールトイレという最も衛生的で、使い勝手が良い“エース”は洋式一本で良いのではないでしょうか。

 

目黒区はどう考えている?

 

こうした理由からマンホールトイレの洋式化を求めたところ、区からは次のような回答がありました。

 

一般的に和式トイレは、排便時に力が入りやすいことや、便座を使用しないため、他の使用者と間接的な接触がないこと、掃除がしやすいことがメリットとして挙げられます。一方で、使用の際に下半身や膝関節等に負担が生じるため、高齢の方や妊婦の方の使用には不向きであると言われています。

区としてはこれらのメリット・デメリットを踏まえ、今後、改修計画のある向原小学校、第九中学校及び第十一中学校について、改修のタイミングですべての下水道直結型マンホールトイレを洋式に変更するよう計画しています。

今後、改修等のタイミングで下水道直結型マンホールトイレの洋式化を進めていく方針ですが、即時対応するべきか否かについては、経費面の課題もあるため、避難所運営協議会等の意見も参考にしながら検討していきます。

 

上記の通り、区では学校(=避難所)を建て替えるタイミングに、すべてのマンホールトイレを洋式に変えていく方針とのこと。学校建て替えの順番は大まかに次のようになっています(各地域、上から順番に建て替え)。

 

目黒区『目黒区学校施設更新計画(概要版)』より

 

また、区の回答でも“第九中学校”と言及のあった目黒南中学校(七中+九中の統合新校)の設計図面(素案)では、下のような感じでマンホールトイレが並んでいます。洋式5台(うち1台は車いす対応)を想定しているようです。

 

目黒区「目黒区立目黒南中学校新校舎基本設計素案」より

 

余談ながら、目黒南中の新校舎では、断水した時に3階のプールから1階のトイレまで水を引っ張ってきて流す構造にすることも検討しているそうです。停電時や下水道が使えないとき、さらに校舎が被害を受けたときは使えない方式ですが、マンホールトイレ以外にも様々な方法で災害時トイレの確保を進めています。

 

目黒区「目黒区立目黒南中学校新校舎基本設計素案」より1階のトイレ

 

意外と大変な洋式化

 

一方、しばらく建て替えの予定がない学校に備わっているマンホールトイレを洋式するかについては、“検討していく”とのこと。

 

「そんなのすぐやってしまえばいいのでは?」と一瞬思いますが、実はマンホールトイレを洋式化するには、ただ単に上に装着する便座を変えれば良い訳ではなく、そもそもマンホールの形状を和式タイプから洋式タイプに変える必要があるのだそうで、地中を掘っての工事も必要になるのです。

 

 

和式のマンホールトイレが残っているうちに大地震が来ることも十分想定されます。洋式だけに利用が集中しないよう、「和式でもいいよ」という方はできる限り和式をご利用ください。

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著者

かいでん 和弘

かいでん 和弘

肩書 めぐろの未来をつくる会(7人の第二会派)幹事長
党派・会派 無所属

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