かいでん 和弘 ブログ

目黒区民センターは、本当に“区民センター”か?

2025/7/23

 

こんにちは。31歳の目黒区議会議員、かいでん和弘です。

 

前回のブログでは、目黒区民センターの建て替え計画が、いったん中止となったこと、その背景に目黒区の厳しい財政予測があることを書きました。

 

今回はタイトルの通り、改めて、区民センターについて根本から問い直していきます。

 
 

区民センターは誰のための施設?

 

そもそも区民センターのターゲットは誰なのでしょうか。

 

“目黒区民センター”と名乗っているので、目黒区民“全員”のための施設のはず……ですが、ではお読みいただいている皆さんは、区民センターをどのくらい利用されていますか?

 

今の目黒区民センターには次のような施設があります。

 

 

このうち主なものを抜粋すると、以下の通り。

 

・会議室
・スポーツ施設(体育館、トレーニング室、屋内外プール、テニスコートなど)
・図書館
・文化施設(美術館、ホール)
・児童館・学童

 

東部地区など近隣にお住まいの皆さんにとっては、便利な機能が集まった、大切な拠点となっているかもしれません。

 

しかしこのラインナップを南部地区に住んでいる私が見ると、「別にわざわざ区民センターまで行かなくても、別のところで済むな」と思ってしまうんです。

 

ご存じの通り区民センターは区のセンター(中心)にはありません。

 

わざわざ区民センターに行く?

 

例えば会議室は、区内24か所に住区会議室が点在していますから、わざわざ区民センターに行く必要はなく、近場で事足ります。

 

『施設データ集(令和5年度版)』P61より

 

体育館も、観客席を備えた中央体育館は別の場所にあり、区民センター体育館はあくまで“普通の”体育館でしかありません(そもそも区民センターは、法律の制限によって多くの観客を集める施設が建てられない地域に当たります)。

 

東京五輪でテコンドーの公式練習場にもなった中央体育館。他にも区立体育館は3か所(駒場、碑文谷、八雲)あります。

 

図書館もありますが、蔵書数の豊富な中央図書館は別にあり、あくまで区内に8つある図書館の一つに過ぎません。

 

八雲中央図書館は、区民センター図書館に比べて面積は2倍、蔵書数は4倍あります。

 

一方で、区立の美術館というと区内でもここだけの施設になります。しかしこれも、おそらく一般の区民の皆さんにとっては、「美術館が区立であるかどうか」なんて関係ありません。展示内容が良いかどうかが全てです。

 

目黒区美術館

 

目黒区美術館でもキラリと光る企画は多く行われていますが、目黒区は交通利便性が高く、区外の美術館へも容易に行ける土地柄。一部の美術好きの方“以外の”多くの方にとっては、区外の大きくて資金力もある美術館が競合相手に映ります。

 

上野や六本木などの美術館を差し置いてでも「目黒区美術館に行きたい」と思ってもらえるような魅力的な展示をしなければ、大多数の区民から支持される施設にはなり得ず、果たしてそれができているかと言うと、なかなか道のりは険しいと思っています。

 

目黒区美術館で2021年に行われた「前田家の近代美術コレクション展」で購入した《シロクマ》の置物は、区議会の私のデスクに飾ってあります。

 

こう考えていくと、今の目黒区民センターって、“区民センター”という名前ではあるものの、近隣にお住まいではない多くの区民にとって、「わざわざ行きたくなる」機能が揃っているとは言えないのではないかと思うのです。

 

この辺では珍しかった50mの屋外プールと幼児用屋外プール(写真は5月なので清掃前)も、毎年夏には大盛況でしたが、当初の計画では、無くなる予定でした。

 

実際、議員の私でさえ、区民センターに行くのは、年に2、3回ほど。目黒区民まつりや平和祈念のつどいなどのイベントに出席する時くらいのものです。

 

区民センターが一年で一番盛り上がる目黒区民まつり(目黒のさんま祭)。逆にイベントが開かれていない350日以上は、行く理由が見当たりません。

 

新しい区民センターはどうなる予定だった?

 

では、新しくなる(予定だった)区民センターは、どんなコンセプトで、どんな施設が整備されるはずだったのでしょうか。

 

区の立てた「新たな目黒区民センターの基本計画」のなかに、新たな区民センターのコンセプトが記載されています。それをみると、

 

新たな区民センターは、(…中略…)子どもから大人まであらゆる世代の方々が持つ個性が広がり花開くような、空間全体の中で文化を感じられる区民活動の拠点を目指していきます。

 

とのこと。“ターゲット”という形では特に明言されていませんが、あらゆる世代を対象とした区民“全体”のための拠点施設を目指すように読み取れます。

 

“機能の融合”が大きなコンセプトの一つになっていました。「新たな目黒区民センターの基本計画」より

 

しかし一方で、具体的にどんな施設を盛り込むのかというと、

 

・会議室(大小合わせて10室)
・スポーツ施設(体育館、トレーニング室、屋内プール、テニスコートなど)
・図書館
・美術館
・多目的空間(350人規模のスペース)
・児童館・学童

 

屋外プールが無くなることや、ホールの代わりに多用途に使えるスペースが設けられることなどの変更点はありますが、機能自体は今現在の区民センターから大きく変わらない方針であったことが分かります。

 

だとすると、新しくなった区民センターは果たして、掲げていた“区民活動の拠点”というコンセプトをかなえられる施設になっていたのでしょうか。今の区民センターと同様、東部地区の区民にとっての拠点でしかなく、全域の区民にとっての魅力を欠く施設に留まる結果となったのではないでしょうか。

 

コロナ禍の2020年に行われたワークショップの参加者を見ても、近隣にお住まいの方が半数以上を占めました。遠い地区の区民の関心は集められていません。

 

もちろん、開館当初はピカピカの施設を見に、今よりも多くの方が訪れることと思います。しかし、やがてはそれも落ち着き、「他の地区の目黒区民が、わざわざ近所の体育館や図書館、会議室を差し置いてまで訪れる」、そんな目黒区民センターであり続けることは、やはり難しかったものと思います。

 

2つの方向性

 

私は、この機に改めて、新たな区民センターのターゲットを定めるべきと考えています。

 

あくまで東部地区の住民の方にとっての憩いの場を目指すのか、それとも、目黒区のランドマークとなるような文字通りの“区民センター”を目指すのか。大きく分けて2つの考え方があります。

 

前者ならば、現在と同じく、他の地区にもありふれた普通の図書館や体育館、会議室を整備すればいいでしょう。私は決してこの方向性を否定しません。スケールダウンすることで支出抑制ができますし、建物を減らして公園を広げられれば、それはそれで人気が出そうです。(2020年に行われた小学生アイディア募集でも、広い公園や広場を望む意見が多く寄せられました。)

 

そういう一地区のための施設に数百億円費やすことに対して区民の皆さんはどう思うのだろうかということや、“目黒区民センター”という施設名に名前負けすることは気になるところですが、この方向性もハナから否定されるべきとは思いません。

 

ただ、もし後者、文字通り区内全域の区民にとっての“目黒区民センター”を目指すのであれば、盛り込む施設の抜本的な再検討が必要です。

 

私はどちらかというと、こちらを支持します。もっとも、「28万人の区民全員が行きたいと思える施設を目指そう」なんて妄想を語りたいのではありません。ここでの“区内全域の区民にとっての”というのは、せめて区内の他の施設に無いトガった特徴を一つでも多く持たせて、「○○な人たちは、区内のどこに住んでいても区民センターを訪れる」という状況を作りたいんです。

 

例えば「目黒区の高校生は、全員常連になる」みたいな趣旨です。これは2020年に行われた中高生アイディア募集の中で同様の意見が上がっていました。

 

 

区民センターにどんな施設を入れるかを決める際には決して、「今の区民センターから何を踏襲し、何を踏襲しないか」という発想をするべきではありません。そうではなく、ターゲットを定めたうえで(近隣の方々なのか、区民全体なのか、あるいは別か)、それぞれのターゲットがわざわざ訪問したくなるような機能を選定することが求められます。

 

幸か不幸か一度立ち止まることになった今こそ、「新たな目黒区民センターのターゲットの明確化と、それを踏まえた施設構成の再選定が必要です」と、6月の議会で問題提起したのでした。

 

前職時代に教わった「オールターゲットは、ノーターゲットと同じ」という言葉を思い出します。

 

今後どうなる?

 

7月に入り、区民センターについて新たな報告がありました。

 

まずは、私が問題提起していた部分も含め、区民センター整備の考え方が、根本からもう一度、見直されることになります。

 

区議会の特別委員会で配布された資料より

 

今回は資金不足による事業中止だったので、“機能融合の深度化”など、基本的に施設規模を小さくする方向での検討にはなりそうです。ただそのなかでも、ぜひ独自色を出していってほしいなと思います。

 

この作業は、“令和8年度(来年)に一定の考え方を整理したうえで、令和9年度(再来年)以降の具体化を目指して取組を進めていく”とのこと。再来年というと区長選&区議選後になりますから、区民センター問題は、(前回の区長選に続きもう一度)選挙の争点になるかもしれません。

 

また、築51年が経つ区民センターは、1998年に1度、耐震診断を行っているのですが、その時すでに社会教育館・勤労福祉会館棟5階と、ホール棟3階の2か所で基準値を下回る結果(耐震性が弱い)が出ていました。

 

さらにそこから30年近く経過したので、再度の耐震診断を実施します。こちらは、来年の6月までに結果が出る見込みで、その結果次第では、建て替えの前に、既存施設の補強や、場合によっては建物の除却もあり得るかもしれません。

 

あわせて、区民センター周辺道路の無電柱化と、一部の幅員拡幅も早めに進めていくことが示されました。もっとも、最初は用地買収からスタートするので、実際に無電柱化したり道路が広くなったりするのは再来年以降になりそうです。

 

区議会の特別委員会で配布された資料より

 

おわりに

 

区役所の中にいると、区民センターの問題が事あるごとに話題に出てきて、まさに「区政最大の懸案事項」となっている感があります。しかし、私の住む南部地区において住民の皆さんとお話ししていると、区民センターのことが話題に出ることはありません。完全に、「自分たちとは関係のない施設」という雰囲気です。

 

この他人事感の背景の一つには、広報の問題もあると思っていて、私も委員会で、「“めぐろかがやきプロジェクト”という事業の愛称が伝わりにくい。区報のコーナーもこのタイトルだが、区民センターの件だと認識する前に読み飛ばされてしまうのではないか。」と指摘したりしました。

 

めぐろ区報2025年2月1日号より抜粋。区民公募の末に決まった名称なので、役所の答弁はかなり後ろ向きでした。

 

ただもちろん事業名は些末なことでしか無くて、やはり区民の皆さんの関心が広まらないのは結局、今の目黒区民センターが“目黒区民センター”になっていないからなのだと思っています。

 

果たして区民センターはどうあるべきなのか。私も区役所と一緒に考えていきたいと思います。

 

《区政の最新情報はこちらから!》

 

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著者

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肩書 区議会企画総務委員長
党派・会派 無所属

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