2026/4/17
福島県郡山市で、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパンによる「AI相続ミツローくん」が本格導入されるというニュースが発表されました。作業時間を83%削減し、相続業務を効率化する――一見すると、いかにも「時代に合った改革」のように見えます。

しかし、この話は本当に手放しで評価してよいものなのでしょうか。
まず注目すべきは、このシステムが民間企業主導であり、「特許技術」を強調している点です。
つまり、一度導入すれば簡単には他社へ乗り換えられない構造、囲い込みが起きる可能性があります。自治体が特定企業の技術に依存することは、長期的にはコスト増や自由度の低下につながりかねません。
次に、「83%削減」という数字です。
これはあくまで実証事業における条件下での結果であり、実際の現場で同様の効果が継続的に得られる保証はありません。行政の現場は個別性が高く、例外処理の連続です。AIが導き出した結果を人間が再確認する手間が増えれば、むしろ見えない負担が増す可能性もあります。
さらに重要なのは、「属人化の解消」という言葉の裏側です。
確かに、業務の標準化は一見合理的です。しかし、相続というのは本来、家族関係や地域の実情に深く関わる極めて繊細な問題です。

それを機械的に処理することで、本当に住民に寄り添った行政サービスと言えるのでしょうか。
そして最大の問題は、「なぜ郡山市がこれを導入するのか」という本質です。
本来、自治体の役割は地域の実情に即した仕組みを自ら構築することです。しかし今回のように、外部企業のパッケージに依存する形では、地域独自のノウハウは蓄積されません。結果として、中央や大企業への依存体質が強化されるだけです。
![郡山市と株式会社サムポローニアがAI-OCRを活用した「相続人調査」の実証実験を開始![福島県郡山市役所] | 郡山市のプレスリリース](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/117635/113/117635-113-71f2e1cec4507d7f07c8e06e4f5c70a2-2304x1728.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
これは、私がこれまで訴えてきた「中央依存からの脱却」とは真逆の方向です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は手段であって目的ではありません。
本来問われるべきは、「誰のための改革なのか」「地域にどのような価値を残すのか」という点です。
効率化の名のもとに、地域の主体性が失われていないか。
便利さの裏で、自治体の独立性が削られていないか。
郡山市の今回の判断は、その重要な問いを私たちに突きつけています。
テクノロジーを否定する必要はありません。しかし、それを誰がコントロールするのか”を見失った瞬間、地域はただの「実験場」になってしまいます。
今こそ、冷静に立ち止まり、この導入の本質を見極めるべきではないでしょうか。
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