2026/2/23
令和6年元日に発生した能登半島地震から、2年1か月。
被災地・珠洲市は、静かに、しかし確実に次の段階へ進みつつあります。
2月3日の珠洲市議会臨時会で示された現状報告を手がかりに、「いま何が進み、何が課題なのか」を整理してみます。
震災および豪雨災害による犠牲者は195名。
今回、新たに災害関連死が3名認定されました。
石川県としては、輪島市の2人と志賀町の1人、能登町の2人の合わせて5人を新たに災害関連死に認定されました。

災害関連死は、直接の圧死や津波被害とは異なり、避難生活の長期化、医療体制の不安定化、ストレスや持病悪化といった二次的影響の積み重ねによって生じます。
つまり、災害は「地震が起きた瞬間」だけで終わらない。
復旧が遅れれば遅れるほど、社会的・心理的ダメージが広がるのです。
市長報告によれば、公費解体はほぼ完了。

これは大きな転換点です。
物理的ながれきは撤去され、道路や空間は確保されました。
しかし同時に、空き地の増加、かつての商店街の空洞化、集落の密度低下という人口減少が可視化された風景も現れています。
街並みが整うことと、コミュニティが再生することは、必ずしも同義ではありません。
住まいの移行調査では高い回答率が示されました。
これは市民が「今後どう生きるか」を本気で考え始めた証拠です。
選択肢は主に三つです。
●自力再建
●復興公営住宅
●移住・転出
2年1か月という時間は、「仮の生活」から「決断の時期」へと移行する期間だったと言えるでしょう。
物価高騰対策が今回の補正予算の柱になったことも象徴的です。
震災被害に加え、エネルギー価格高騰、食料品値上げ、物流コスト増が地方都市を直撃しています。
復興とは、単なるインフラ復旧ではなく、「家計の持続可能性」を確保する政策でもあります。
病院事業への補助も盛り込まれました。
高齢化率の高い珠洲では、医療の維持は生命線です。
災害後に人口が減ると、医療従事者の確保、経営収支の安定、設備更新が難しくなります。
復興政策は、住宅整備だけでなく、医療・福祉の再設計と一体でなければ成立しません。
2年1か月という時間は、がれき撤去、仮設住宅生活、生活基盤の最低限確保という「復旧フェーズ」をほぼ終えた期間です。
これからは、
●どんな街をつくるのか
●人口減少を前提にどう設計するか
●産業をどう再構築するか
という設計思想の問題に入ります。
「構造」「地盤」「防災設計」という視点から見ると、今回の震災は、
●断層活動による地殻変動
●地盤沈下や液状化
●海岸線変化
といった地球科学的変動を伴いました。
つまり復興は、「元の地形」に戻すことは不可能です。
新しい地形条件・新しいリスク分布の上に、新しい都市構造を設計する必要があります。
震災から2年1か月。
✔ 物理的復旧は進んだ
✔ 住宅整備が本格化
✔ 生活支援策が動いている
しかし本質的な問いは、
「珠洲はどんな未来都市になるのか」
という点にあります。
人口減少時代の地方復興は、
“元通り”ではなく、
“持続可能な規模への再設計”が鍵です。
災害は破壊だけでなく、社会構造を見直す契機でもあります。
2年1か月という時間は、悲しみを抱えながらも、未来設計に踏み出す段階に入った証。
珠洲の復興は、これからが本番です。
そしてその過程は、日本全体の地方再生モデルを左右する重要なケーススタディになるでしょう。


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