まなべ 陽子 ブログ

これまでの20年を振り返って(真鍋の視点 好きを学びに活かすまち)

2026/6/22

もうすぐ娘が20歳になります。

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娘は生まれてすぐから、たくさんの課題や重い困難と向き合わなければならない子でした。1歳になるころにはすでに将来への不安を告げられたり、厳しい言葉を受けたりしたこともたくさんありました。当時独自に取り組んでいたことも「あなただからできているだけ」と先生方から言われ、何度も途方に暮れました。

そうした長い年月の中で、学童期における支援を求め、当時笠岡市には全く無かった小学3年から高校3年が通う放課後等デイサービス(放デイ)に通わせることを決意、毎日のように市外へ送り迎えをしていました。

そしてこれでは放デイに通わせることができる親子はごく少数、制度があるのに使えない親子が多すぎる、市内への誘致が必要だ、と市内、そして市外のたくさんの療育施設に訴え、SNSでも発信する中で、ようやく1つ市内にできることが決まった時は、「これで子どもを放デイに通わせることができる保護者が増える!」「保護者は子育てが少しは楽になり、子ども自身は居場所が増える!」と、本当に嬉しくてたまりませんでした。

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娘に広い世界を見てほしい。たくさんの人に出会ってほしい。

20年間その願いを胸に、学校や療育に任せるだけではなく、家族でもさまざまな場所へ出かけてきました。

重い困難さや過敏さがある娘にとって、新しい場所へ行くことは決して簡単なことではありません。

それでもとにかくやろうと、家族旅行にもたくさん行きました。夫が単身赴任となってからは、娘と何度も関東圏へと足を運びました。

国内のさまざまな場所へ出かけ、一度は海外も経験してほしいと、台湾に行ったこともあります。

旅先では予想外の出来事もたくさんありました。
それでも、新しい景色に出会い、新しい人と出会い、娘の世界は少しずつ広がっていきました。


昨日、この6月末で閉館となる福山駅前シネマモードで、映画『崖の上のポニョ』を観ました。

私は福山市で生まれ育ったこともあり、鞆の浦が舞台であるこの作品は公開当時に一度観たくらいで、どこか照れくささもあり、これまで真剣に観れていませんでした。

けれど改めて驚きました。映画館で観るべき迫力のある映像美に支えられながら

【大人が考える「こうあるべき」という価値観が、時に子どもの気持ちや可能性を押し込めてしまうこと】

【子どもたちは子どもたちなりに考え、支え合う力を持っていること】

そんなメッセージが込められている…と感じました。公開当時の私は、この映画の中にある奥深さを十分には理解できていなかったことを思い知らされました。

でも、20年間娘に伴走してきた今なら、その世界観はよく分かります。

娘は、興味のないことにはなかなか向き合いません。いえ、抱える困難の重さゆえに、向き合えないのです。

「好きなことしかしない」と見られることもありました。

けれど私は、娘の20年に寄り添ってきているからこそ知っています。

娘は、好きなことのためなら人一倍努力する子です。

会いたい人に会うために。
行きたい場所へ行くために。
好きな活動を続けるために。

そのために必要な準備や練習、苦手なことには、驚くほど挑戦してきました。だから私は、娘の「好き」を大切にしてきました。

好きなことを入口に世界を広げ、人と出会い、経験を重ねることで、娘は少しずつ成長してきたのだと思います。
重い困難さを抱えている子でさえ、「好き」のためなら自ら努力する。それは、この20年の中で見つけたリアルと言えるものです。

娘は、本当に多くの方々に支えられてきました。

医療や福祉、教育に携わる皆さま。
地域で関わってくださる皆さま。
趣味や活動を通じて出会った皆さま。

そして何より、娘を一人の人として、友達として接してくださった皆さま。

先日、支援者の方から、
「娘さんの周りには、たくさんの人がいてくれるんですね」
と言われました。

その言葉を聞いて、改めて実感しました。
娘の人生は、たくさんの「良い出会い」に支えられてきたのだと。

親にできることには限界があります。
だからこそ、出会ってくださったすべての方々への感謝の気持ちでいっぱいです。

人生で初めて乗った乗り物は救急車。
産後すぐから通い続けたNICU。
先の見えない不安の中で過ごした日々。
制度の壁や心ない言葉に傷つき、血の通っていない世界のように感じて絶望…そして少しでも改善したいと活動をし続けてきた日々。

そしてその先で出会った人たちの優しさや支えのおかげで、少しずつ光を見つけながら歩いてくることができました。

今、娘だけでなく私自身も、多くの方々に見守られながら生きてきたのだと実感する中で、20年前には想像もできなかった感謝の気持ちが心の中に満ちています。

娘は未だ、様々な困難さ、多くの重たい課題を抱えています。
不安がないわけではありません。
けれど、娘の周りにはたくさんの人がいてくださる。
そのことを今まで以上に感じています。

これからも娘らしく、一歩ずつ歩んでいけますように。

そして、これまで出会い支えてくださったすべての皆さまに、心から感謝いたします。

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私が「好きから始まる学び」「好きを核とした学び」に確信を持っているのは、娘との20年の歩みだけが理由ではありません。
 
その原点には、私自身の子ども時代の体験があります。
私は小学生の頃から漫画が大好き。そして決して勉強熱心な子どもではありませんでした。
小学生の時。親に地元で有名な進学塾に入れられた時には、「眠いだけ。時間とお金の無駄。」と訴え、早々に自分の意思でやめました。そこには、決して裕福ではない自営業の娘としての気遣いもありました。
 
中学生、高校生になっても、勉強は学校で与えられたものが中心。中間テストや期末テストのために家で勉強することもほとんどないどころか、テスト期間中も出版社に投稿するための漫画原稿を描いているような子でした。
そのため、学校の成績は決して良いとは言えませんでした。
 
ところが、模試になると毎回それなりの成績が出るのです。
特に国語は偏差値60台が普通。
調子の良い時には70台。
そして高校3年生の秋に受けた模試
ー全ての受験生が年明けにある共通一次に向けて
自分の学力をMAXにしようと仕上げに入って来ている模試ー
では、国語の偏差値が80台になりました。
 
私は1971年生まれの第二次ベビーブーム世代。「受験戦争」という言葉が当たり前に語られていた時代に育ちました。
その中で、塾にも通わず、家庭学習もほとんどしなかった私の国語の偏差値が、なぜ伸び続けたのか?
 
その問いは、今も私の教育観の原点になっています。
振り返ってみても、学校以外の特別な勉強をした記憶は全くありません。
けれど、漫画だけは誰に言われるでもなく夢中になって読みあさり、自ら学び、試行錯誤しながら描き続けていました。
 

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人は好きだからこそ続けられる。
 
続けるからこそ量が積み重なる。
そして、その積み重ねが力になる。
 
私自身の経験は、その一例だったのかもしれません。
ですが娘との20年は、その考えをさらに深める時間になりました。
 
娘には非常に重い困難さがあり、一般的な学習のレールに乗ることは、専門家からも「難しい」と言われ続けてきました。
 
だからこそ私は、「できないことを繰り返し練習させる」ことだけではなく、「本人が何に興味を持つのか」「何に心を動かされるのか」「どうすれば理解し、できるようになるのか」を大切にしながら娘と向き合ってきました。
 
娘が好きなことに向かう時の集中力や意欲は、誰かに強制された時とはまったく違います。そして、その姿は私自身の子ども時代とも重なって見えました。
 
学びとは単に知識を詰め込むことではなく、自分の興味や関心と出会い、それを深めていく過程なのではないか。
私はそう考えるようになりました。
 
「好きから始まる学び」という考え方は、娘との20年だけから生まれたものではありません。漫画に取り組み続けた私自身の子ども時代の経験と、娘との20年の歩み。その両方を通して、45年以上かけてたどり着いた実感です。
そして今、その実感は教育研究が示している方向とも重なっています。
 
近年の研究では、「興味・関心を入り口にした学び」が、長期的な学習意欲や読解力の発達を支えることが数多く報告されています。教育心理学者ハイディらの「興味の4段階発達モデル」、デシとライアンの「自己決定理論」、ガスリーらの読書研究は、その代表的な例です。
 
これからも、一人ひとりの「好き」を大切にできる教育や社会について考え、発信し続けていきます。
 
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著者

まなべ 陽子

まなべ 陽子

肩書 笠岡市議会議員 コラムニスト
党派・会派 無所属

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