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千葉 伸行 ブログ

盛岡市の自治体経営改善について

2025/11/27

岩手日報の『123ショック』(2025年11月17日から全5回シリーズ)という見出しが、市民の皆様が感じた衝撃の大きさを物語っており、初回が一面トップ記事として掲載されたことは、県民の皆様の関心の高さを示すもので、自治体経営改善の取り組みに対する理解が深まる情報発信と納得性を高めながら取り組むことの重要性を改めて実感いたしました。

123事業の見直しがなぜ検討され、今後どのように進んでいくのか、これまでの経緯を振り返りながら、私なりに整理してみたいと思います。

●中期財政見通しについて

前回の市長選挙・市議会議員選挙(令和5年8月13日投票)直後の令和5年9月に、盛岡市の財政状況を示す「盛岡市中期財政見通し(R6~R10)」が示され、その概略は下表のとおりです。

ここで注目していただきたいのは、「収支A(歳入計)-B(歳出計)=C」(下から3段目)と、「財政調整基金残高」(最下段)です。単年度収支の赤字が継続し財政調整基金が減少傾向にあることが見て取れると思います。財政調整基金は年度間の財源変動に備えたり、災害などの緊急的に必要な事業の支出に充てることができる基金で、ご家庭の貯金と同じように流動性の高い資産です。盛岡市では一般財源の財政規模から財政調整基金の適正残高の目安を60億円としていますが、令和10年度の47億7千万円はこの目安を下回っており、単年度収支の赤字継続による財政調整基金が減少傾向にることは厳しい財政状況を表しているものです。

こうした財政状況の厳しさを踏まえて、収入を増やし支出を減らす努力は以前にも増して取り組んではいるものの、高齢化によって増加する高齢者福祉に関する支出などの扶助費の増加に加え、物価・資機材の高騰や人件費の上昇などの影響により支出を削減することが難しい現状で構造的なものです。

翌年、令和6年8月に示された「盛岡市中期財政見通し(R7~R11)」の概略は下表のとおりです。

二つの表を比較すると、収支や財政調整基金残高から、より財政的に厳しさが増していることが見て取れると思います。令和12年度末の財政調整基金残高12億9千2百万円は適正残高の目安としている60億円と比較しても、令和11年度の収支マイナス18億2千2百万円を見ても非常に厳しい水準と言えます。また、扶助費増加の主な特徴に「障害福祉、子ども子育て施策の充実により社会保障関係費が増加傾向」とあるのも、前年度の「高齢化の進行」としていた点と合わせ様々な要素が扶助費を押し上げる要因となっていると言えます。

●自治体経営改善の取り組みについて

令和6年8月に示された「盛岡市中期財政見通し(R7~R11)」を踏まえ、財政の見える化に取り組むとともに、令和7年度予算の策定作業では全部局一律8%の削減目標を設定するなど、令和7年以降の財政基盤の安定化に向けた検討を進め、さらに全庁的に推進する調整機関として「自治体経営改善事務局」を令和7年4月1日に設置し方針や計画を策定のうえ具体的に取り組むこととして「自治体経営改善」の取り組みをスタートしました。(自治体経営改善事務局の設置目的:盛岡市総合計画基本構想に掲げる「共に目指す将来像」の実現を目指し、急激な人口減少が進 む中で、全庁を挙げて人口対策に取り組むために、社会情勢の変化に柔軟に対応する簡素で効率 的な組織体制と安定的な財政基盤を確立する必要がある。 このため、これらの自治体経営の改善に係る総合調整を行う組織として、当分の間、市長公室 に自治体経営改善事務局を設置するものである。 )

令和7年5月に示された自治体経営改善方針及び実施計画(案)の概要については次の通りです。

※策定された「盛岡市自治体経営改善方針及び実施計画 令和7年度~11年度」についてはこちら

実施計画の「4取組項目」として5本の柱として示されている通り「(1)事務事業の精査と見直し(2)受益者負担の見直し(3)積極的な歳入確保(4)大規模事業の実施時期等の見直し(5)組織・定数の見直し」に取り組むこととし、「5スケジュール」に示されているとおり事務事業の精査と見直しから着手することとしております。

令和7年8月に示された進捗や今後のスケジュールについては次の通りです。

事務事業の精査と見直しの作業が進められている中、敬老バス事業の見直しについて、老人クラブの皆様に説明をした際、盛岡市の担当課や各議員に対して、「事業継続の必要性」「進め方が拙速」「説明が不十分」など沢山のご意見やご要望をいただきました。私にもご意見をいただきましたが、市からの説明は事業見直しに至る経緯や意見を伺う段階にあることなど、十分な説明がなされていないと感じましたし、敬老バスに限らず事業見直しを進めるうえでの情報発信の在り方や納得いただきながら進めることの難しさを感じる出来事となりました。この出来事をきっかけに各議員からも事務事業の精査と見直しの検討に当たっては、情報発信や意見を伺うプロセスなど、これまで以上に丁寧に取り組むよう市に対して求めてきた経緯にあります。

また、上記の進捗状況と同時に示された「盛岡市中期財政見通し(令和8年度~12年度)」の概略は下表のとおりです。

令和6年8月に示された見通しと比較すると、令和11年度末の財政調整基金残高は21億5千2百万円と若干改善してはいるものの、令和12年度末の財政調整基金残高はマイナス3億7千4百万円と表現されております。財政調整基金はマイナスになることはありませんので、基金が枯渇してもなお3億7千4百万円の資金が不足していることを示しているものです。市が財源確保のために市債を発行(借金)することはできますが、対象事業が限定されており、財源不足を補うことを根拠に市債を発行することはできませんので、収支の改善に取り組み財政調整基金の枯渇を避ける道しかなく、前述のとおり財政調整基金の適正残高60億円の確保を目指している中で、これが枯渇する状況にあることは非常に厳しい財政状況にあるということがご理解いただけると思います。

・事務事業の精査と見直しについて

事務事業の精査と見直しの具体的内容について説明を求める声の高まりもあり、令和7年10月に示された事務事業の精査と見直しの具体的内容については次の通りです。(123事業の詳細についてはこちら

ここで公表された123の見直し対象事業のインパクトの大きさから岩手日報の特集記事となり、事務事業の精査と見直しの取り組みについて広く皆様に認知いただいたものと思います。123事業見直しの削減効果として約7億6千万円を見込んでいますが、あくまでも検討段階にあるもので、関係団体等からの意見聴取や調整をふまえ、各年度の予算案に取りまとめられ議会に対して議題として提案され審議される性質のものです。

先日示された自治体経営改善の取り組み全体の進捗状況については以下のとおりです。(個別事業の進捗や検討経過等についてはこちら

5本柱のうち「(2)受益者負担の見直し」については条例改正を伴うことから、令和8年度からの使用料改正に向けて、まもなく召集される12月定例会に議案として提案され審議することとしており、その他の取り組みについても令和8年度予算に関連することから令和8年3月定例会で審議することになります。

市としても見直し対象事業とした123事業については相当の検討を踏まえて示されたものと受け止めておりますが、関係個所との調整や議会での議論を踏まえて決定されるものですから、あたかも決定事項として取り扱うことは尚早と言えます。

11月21日の全員協議会は多くの議員から多岐にわたる意見が出されましたし、社会的関心の高まりから、市民の皆様の傍聴も多く、テレビニュースに取り上げられネットニュースとしても広く報道されるなど、大きな反響を呼ぶこととなりました。


★私の考え★

市の自治体経営改善の取り組みは、「中期財政見通し」をもとに「盛岡市自治体経営改善方針及び実施計画」を策定するとともに、調整・推進の専門集団「自治体経営事務局」を設置し、全庁的課題として取り組んできており、概ね計画通りに進められきたものと思います。ここで、問題となっているものは市民の皆様や団体・事業者の方に対する情報発信や意見聴取の進め方に対して「情報が唐突」「議論が拙速」などのご意見をいただいていることだと思います。これまでの経緯でも触れておりますが、市は随時の情報発信に努めてきたと思いますし、課題を受け止める都度議会への説明などにも対応しており、報道等でも取り上げられてきたものです。ただし、そのことが市民の皆様には十分に伝わっているとはいえず、「123ショック」につながったものと思います。

財政課題については、私も、令和7年3月定例会の代表質問でも取り上げておりますし、4月に発行した市政通信に記載したり市政報告会で取り上げるなど、発信に取り組んできましたが、もっとSNS等を通じて発信する必要があったと反省しており、今後はタイムリーな情報発信に取り組んでまいりたいと思いますし、市に対しても、より丁寧でわかりやすく情報発信するように要請してまいりたいと思います。

また、5本柱の中には市役所の組織や職員定数の見直しなど、身を切る改革も含まれて検討が進められており、令和8年1月に検討内容が示される予定ですが、情報発信の手順としては、初めに身を切る改革をお示しした後に、事務事業の精査見直しをお示ししたほうが全体像の理解につながりやすかったのではないかとも考えます。また、集中と選択の視点からも、重点を置いて取り組む事業は何で我慢していただく事業は何かという、事業の全体像も示されておらず、我慢をしていただくことが先行して発信されていることで、納得性が損なわれているところもあると思います。123の各事業に対する私なりの思いもありますが、今後示される事業の全体像も確認しながら、集中と選択の視点で、何を守り何を変えていくのか、総論と各論を一致させながら取り組んでまいります。限られた期間の中で5本柱それぞれの見直し作業が進められており、求められている情報がタイミングよくお示しすることは難しいところもあると思いますが、理解や納得の得られやすい発信の在り方を模索して行く必要があると思います。

💡政治の役割

少子高齢化や人口減少などの構造的な課題を抱える中で、目まぐるしく変化する社会環境に沿って市の政策や事業を見直していくことが求められており、そのことは、政治本来の役割で、これまでも連綿と受け継がれてきたものと思います。ただし、昨今の特に財政を取り巻く環境変化は、様々な要素が複合的に影響していて、経験則では測りきれない状況にあるように感じており、集中と選択の視点で事業や組織の見直しなどの取り組みを加速させ、精度を上げて行く必要に迫られていると感じます。

💡財政を取り巻く環境変化
支出の面では、物価や資機材、エネルギー価格や人件費など経費の上昇によって事業単価が上昇していることで、想定を上回る支出となっている。一方で収入の伸びは経費の上昇に追いついておらず、財政を圧迫している状況にある。これは、全国的に言えることで地方交付税制度が十分に機能していないことが大きな要因と考えます。盛岡市固有の課題としては給食センターやごみ処理施設、物流拠点の整備などの大規模な投資が予定されていることも影響しています。

💡地方交付税の仕組み
地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのもので概略は以下のとおりです。

普通交付税の額の決定方法
・各団体ごとの普通交付税額 = ( 基準財政需要額-基準財政収入額)=財源不足額
・基準財政需要額 = 単位費用(法定)× 測定単位(国調人口等)× 補正係数(寒冷補正等)
・基準財政収入額 = 標準的な地方税収入見込額 × 原則として75%

上記の基準財政需要額と基準財政収入額は、実際の支出実績や税収額を根拠とするものではなく、標準的な水準に基づいて算出されます。これは、団体ごとの個別事情や独自の判断による要素を排除し、全国的な公平性を高めるための仕組みですが、現状を見ると、物価や人件費など経費の上昇が十分に反映されていないと感じます。
上記によれば、留保財源として自主的な事業に対する財源が確保されているように見えますが、盛岡市の財政の現状をみると思惑とは乖離していると感じます。

★まとめ★

今回は盛岡市の自治体経営改善を中心に、私なりの思いを含め整理させていただきました。国の制度に物申したい部分もありますが、まずは市が主体的にできる行財政改革を行っていく姿勢が大切だと思います。今回取り上げた課題の他にも、公共施設の維持や更新のあり方なども市の財政に大きく影響する課題と受け止めております。
財政的な持続可能性を堅持しつつ、環境変化に即したまちづくりを行っていくことは、私たち世代の責務であり、今後も中長期的視点を大切に取り組んでまいります。

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著者

千葉 伸行

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