2026/5/1
2025年、いわゆる「トラック新法(改正貨物自動車運送事業法)」が施行され、2026年4月からは白ナンバー規制や多重下請け是正など、より強い制度が順次始まりました。
背景にあるのは「物流の2024年問題」です。トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限され、輸送能力の低下や人手不足が懸念されてきました。
この問題に対処するため、国は「トラック新法」によって
・多重下請け構造の是正
・白トラ(無許可運送)の排除
・適正運賃の確保
など、業界の“歪み”にメスを入れました。
方向性としては、極めて正しいと思います。
しかし、施行から一定期間が経ち、現場では別の問題が見え始めています。
①「運べない」のではなく「運ばなくなっている」
当初は「物流が止まる」と言われていましたが、実態は少し違います。
実際には、物量そのものが減少し、結果的に輸送逼迫が表面化していないという分析もあります。
これは何を意味するのか。
つまり、
「需要減少で帳尻が合っているだけ」
であり、構造問題は何も解決していないということです。
むしろ怖いのは、景気が回復した瞬間に一気に物流が詰まる可能性です。
②中小運送業者の“静かな淘汰”
トラック新法では、多重下請けは原則2次までとされ、実運送体制の可視化が求められます。
これにより何が起きるか。
・3次、4次で仕事を回していた事業者が排除される
・元請企業への集中
・小規模事業者の仕事減少
つまり、「健全化」と引き換えに
中小の退出圧力が一気に高まっているという現実です。
特に房総半島のような配達効率の悪い地域の物流を支えているのは小規模事業者です。物流は社会インフラです。
単純な“市場淘汰”に任せていい分野ではありません。
③荷主への規制強化が“コスト転嫁”を生む
今回の制度は、運送会社だけでなく荷主企業にも責任を課しています。
・長時間の荷待ちの是正
・適正運賃の支払い
・物流効率化の努力義務
これは一見正しい。
しかし現場では
「結局コストが上がるだけではないか」
という声が強い。
実際、物流コストの上昇は避けられず、最終的には
価格転嫁 → 物価上昇
という形で消費者に跳ね返る構造です。
トラック新法は構造是正の法律ですが、根本原因はシンプルにドライバーが足りないことです。
労働時間規制によって、1人あたりの輸送量は確実に減少しています。
結果として、
・長距離輸送の分断
・中継輸送の増加
・リードタイムの長期化
が現実に起き始めています。これは地方ほど深刻です。
※私が懸念していること
私は、この政策の方向性自体は評価しています。しかし、強く懸念しているのは次の3点です。
① 規制先行で現場が疲弊するリスク
② 中小事業者の急激な淘汰
③ 地方物流の崩壊
特に地方では、「1社消えたら地域が回らなくなる」というケースが現実にあります。
物流は社会インフラです。
電気や水道と同じレベルで考えるべき時代に入っていると思います。

この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>すなが 和良 (スナガ カズヨシ)>トラック新法の“副作用”が始まっている——物流現場で起きている異変とは