2026/3/29
予算特別委員会総務分科会では、電子投票についての議論がありました。
市としては、検討はしたが次期の市長選挙と市議会議員選挙においての電子投票は見送ると判断したとのことです。理由としては、機器のレンタル料として約3,500万円を見込んでいるという金銭的課題に加え、トラブルやミスなく適正に執行できるのかという運用面での課題があるとのことです。
現時点では妥当な判断なのではないかと感じています。
議論を聞く限り、無効票対策として電子投票を実施するべきだとの意見がありました。
実際、高齢者や手が不自由な方など、意思はあるのにうまく書けないことで無効票となるケースがあることは開票立ち合いをした経験から、承知しています。この点については、できる限り救済されるべきです。
一方で、無効票の中には、意図を持って意識的に無効票を投じているケースも一定数存在します。僕自身、白票を投じたこともあります。そのため、制度として無効票をゼロにすることは難しいです。
利便性向上や無効票対策という目的は理解しますが、そのために電子投票を導入するのかと言われると、疑問が残ります。
コストや運用面の課題に加え、そもそものシステムの信頼性といった課題があります。このために高額な予算を投じてまで電子化する必要があるのかという点は、慎重に考えるべきではないでしょうか。
実際に電子投票を導入した自治体においても、コストがかかる一方で、開票時間の短縮といった効果は限定的であるとされており、評価が定まっているとは言い難い状況です。
また、海外に目を向けても、電子投票が広く普及しているとは言い難い状況です。技術的には実現可能であっても、選挙に求められる信頼性や透明性の面で、従来のアナログな仕組みを上回ることが難しいという事情があるのではないでしょうか。
むしろ考えるべきは、投票所の環境そのものを見直すことではないかと思います。
例えば、代理投票や点字投票といった制度は既に用意されていますが、投票所において十分に周知されているとは言い難く、「困ったときに頼れる仕組み」が見えにくいように感じます。
入口や記載台において「書くのが難しい方はお申し出ください」といった案内を、誰が見ても分かるように目立つ形で掲示するなどの工夫が必要ではないでしょうか。
また、担当者による声かけなど、運用面で改善できる工夫もあると考えます。
無効票の中には、候補者名のほかに「がんばれ」などの応援メッセージを書いてしまい、結果として無効となるケースもあります。
こうした点についても、「候補者名のみを書いてください」「それ以外の記載は無効となります」といった注意書きを分かりやすく掲示することで、防ぐことができるのではないでしょうか。
このように、投票所での案内や運用の工夫によって減らせる無効票も一定程度あると考えます。
また、市長選挙や市議会議員補欠選挙においては、候補者名の横に記号を付ける方式も有効です。
実際に西宮市や神戸市では、立候補者数が少ない選挙において候補者に〇をつける方式が採用されています。特別な機器やシステムの導入コストなしで書き間違いや判読不能といった問題を大きく減らすことができます。
ただ、市議会議員選挙のように多数の候補者が立候補する選挙では適していないため、選挙の種類に応じた使い分けが必要です。
僕自身、以前は利便性向上の観点から電子投票が有効ではないかと考えていました。
しかし、コストや運用、信頼性といった様々な課題を踏まえると、必ずしも最適な手段とは言い切れないと考え方が変わっています。
選挙権は、日本国憲法に基づいて保障されている基本的な権利です。なので、利便性の向上も重要ではありますが、それ以上に制度としての信頼性や確実性が重んじられるべきだと感じています。
多額のコストがかかる電子化を無理に推し進めるのではなく、まずは投票所のユニバーサルデザインや運用改善といったアナログな対応でできることを徹底することが重要だと考えます。
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