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芦屋にMaaSは必要か? 土浦市の視察から考える「まちの交通」

2025/10/21

21日、22日の二日間、建設公営企業常任委員会の行政視察で茨城県を訪れています。初日の今日は土浦市にて「つちうら MaaS やコミュニティ交通の取組について」を視察しました。

「サイクリングのまち」として知られている土浦は、地形的に高低差が少なく、平地中心のまちです。JR土浦駅に直結した複合施設「ウララ」に庁舎を移転しており、駅前と一体となったコンパクトな行政機能が特徴です。「土浦市役所」と書かれた看板の横に、民間の飲食店の看板が出ているのが印象的でした。

MaaSとの親和性

土浦市は観光資源を有しており、まち全体を面的につないでいく「回遊型都市」としての表情があると思います。観光地や商業施設、湖岸のサイクリングルートなどをつなぐことで、まちの活力をつくり出そうという考え方だと思います。その意味では、MaaS(Mobility as a Service)と親和性が高い都市だと感じました。

今回の説明の中で印象的だったのは、今後は自転車、特にシェアサイクルもMaaSの枠組みに取り入れていきたいという話でした。単に「公共交通の連携」ではなく、「自転車のような個人移動手段」までモビリティとして再定義しようとしている点が興味深いと思いました。

つまり、MaaSの本質はアプリ化ではなく、移動の概念を広げることにあります。自転車も歩行も、目的地に向かう手段であることに変わりません。その一つひとつをデータとして捉え、どう快適に・効率的に接続していくか。そういう発想がMaaSの面白さであり、可能性だと感じました。

一方で、芦屋市は少し事情が違います。芦屋は南北に阪急・JR・阪神の3路線が通っており、市域も非常にコンパクトです。日常の移動は「用事があるところに行く」で完結しており、市内を回遊するという行動はあまり見られません。

平地であれば徒歩や自転車で十分に移動できる距離ですし、傾斜地であってもバスや自家用車で完結しています。つまり、独自にMaaSを構築するほどの必然性も規模もない。独自でやるのは「Too Much」かと思います。

確かに、公共交通機関が通っていないエリアがあります。ですが公共交通圏域(鉄道800m、バス停300m)という基準で見ても、芦屋市の交通空白地はごく一部です。たとえば三条町や山芦屋町は坂道こそ多いものの、「歩くのはしんどいけど、歩いて駅まで行くのは到底無理」というエリアではありません。

現在の芦屋市の対応

現在、芦屋市では乗り合いタクシーの実証実験が行われています。現時点では年間おおむね500万円ほどの予算規模を推移しており、規模としては非常にコンパクト。制度的には国の明確な枠組みがあるわけではなく、市独自判断の「地域交通支援」に近い形です。ただ、この水準で空白を埋めることができ、また「継続する」ことができるのであれば、費用対効果としては悪くないと感じます。

局所的なエリアが対象の事業ですから、採算性はありません。採算性があるなら、民間の公共交通機関が動いています。企業努力でどうこうできるレベルではありません。なので、大事なのは「市民の納得感」であって、採算性ではありません。他エリアの市民から見ても納得できる範囲であれば、継続には十分な意味があります。

ただ、そこにはやはり公平性の課題があります。対象エリアの住民は熱心でも、「なぜあの地域だけ?」と感じる市民もいるかもしれない。事業を支える財源が全市民の税金である以上、特定地域の便益として理解されてしまうと、全市的な支持は得づらい。制度的根拠よりも、市民感覚での納得が何より大切だと思います。そのためにも、実際の利用データや移動実態を可視化し、納得を得られる説明が必要です。

対象エリアの市民も、もし自家用車に乗れるなら、そちらのほうが利便性は圧倒的に高い。実際の需要は「駅までのアクセス動線」に集中しています。なので、自家用車の運転が難しい場合(そもそも乗れない、駐車場不足、渋滞回避など)が中心です。つまり、芦屋の公共交通はMaaSなどで目指す「市内全域の移動支援」よりも、「自家用車では不便な部分をどう補うか」に焦点を当てた方が現実的だろうと考えます。

将来的な不安

そしてもう一つ。阪急以北の傾斜地を見ていると、今は問題なくても「高齢になったらどうするのだろう」と感じることがあります。現状は「しんどいけど歩ける」、「自家用車を運転するから問題ない」だったとしても、年齢を重ねると歩けなくなるし免許返納で運転ができなくなる。

移動支援だけでなく、まちの新陳代謝をどう維持していくかも問われているのだろうと思います。不便な地域ほど、人口循環が自然に起こるマンション中心の住宅構成であることが望ましいと考えています。定住の固定化と高齢化が重なると、地域が静かに衰えていくからです。

移動手段の欠如よりも都市構造の問題

いわゆる「オールドニュータウン問題」と同じ構造です。ただ、芦屋の特徴は少し違っていて、高級住宅地の居住者は高齢になれば平地の便利な場所に速やかに転居できるだけの財力を持っておられます。

困窮によって動けなくなるのではなく、出ていける人が出ていく。出ていく際に、現在の住居を残したまま転居のケースも少なくないため、阪急以北の傾斜地に空き家が多くみられるのも特徴です。ただ、オーナーが売却や収益物件化を考えていないことも多いため、他市で言う「空き家の利活用」にも繋がりにくいという特徴も併せ持っています。

つまり芦屋の交通課題は、「移動手段の欠如」ではなく、「誰がどこに住み続けるのか」という都市構造の問題に近いと考えています。だからこそ、MaaSのような技術的な新制度よりも、既存の交通をどう維持し、どう住み替えや世代交代を支えるか?というところに焦点を置くべきだと思います。

まとめ

土浦市を見て、改めて感じたのは、「まちの構造が違えば、交通の答えも違う」ということ。芦屋には芦屋の地形と生活リズムがあり、「Too MuchなMaaS」よりも「現実的な足回り」のほうがずっと大事です。交通を考えることは、まちの形を考えることであり、そこに住む人たちの「暮らし方」をどう支えるかという問いだと思います。

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