2022/8/28
◇テーマ『公共施設の再編と都市計画・まちづくり』
(森裕之 立命館大学政治学教授)
講義1 公共施設・地域再編と国の動向
人口減少、施設の老朽化、財政の逼迫。国民一人当たり医療費は年間2200万円。その半分は75歳以上が使っている。地方が高齢者を誘引して欲しいというのが大都市のホンネ。それによって地方に介護や看護の仕事が増える。
「コンパクトシティ+ネットワーク」
この言葉にある嘘に気がついた方がいい。コンパクトシティ政策に、国は金を出すが、ネットワーク政策には出さない。地方は自力で「ネットワーク」の部分を解決する必要がある。
「骨太の方針2018」
・人口減少克服と地方創生を実現するために、同一自治体内で行う施策には限界がある。そこで地方自治体間の連携を深め、広域的な経済圏を念頭に置いた政策を推進することが不可欠。
・地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と歩調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度地方財政計画の水準を下回らないように、同水準を確保する。
↓
高齢化に伴い、福祉は増やさなければならない。にも関わらず「下回らない」「同水準」ということは、実質的には削減ということに注意が必要。
講義2 公共施設の統廃合と自治体の取り組み例~先行事例から学ぶ~
秦野市、相模原市:公共施設マネジメントの策定を優先(統廃合)
立派な計画だが、実効性に疑問が残る例。
浜松市:各論が先行。施設カルテに従い削減を進め、生き残り・勝ち残りを賭ける。
計画を立てて、その方針通りに進めている例。
堺市:地域防災計画との関連で、公共施設の統廃合は行わず、長寿命化を選択。
財源は行財政改革というところが問題。
(所感)
地方自治体議員が本当に恵まれていると感じるのは、こうした先生方に出会った時だ。高い授業料を払って大学へ通わなくとも、その世界のトップランナーたちが教えているそのエッセンスを「つまみ食い」することが出来る。
立命館の森先生。こちらは政治学の分野から「国は今後、地方をどうしたいのか」という問題に切り込んでいただいた。エビデンスに基づき、人口減少、施設の老朽化、財政の逼迫という将来に備えよと警鐘を鳴らす。先生のドラスティックな提言に目が行きがちだが、実は「どうやって国から『交付措置』を引き出すか」というテクニカルな部分に注目したい。
地方都市は、国の推進する「連携中枢都市圏構想」に従わざるを得ない、という現実を突きつけられた。骨太方針2018に書かれているのは、増大する高齢者福祉負担と先細りする地方交付税という問題だ。コンパクトシティには金を出すが、その先のネットワークについては「地方が知恵を出してくれ」という丸投げ。合併によるガラガラポンではなく、今度は「地方都市間の連携」が最大のテーマになる。どうやって、国からお金を引き出すか、今回は本当に良いヒントをいただいたと思う。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>鈴木 こうじ (スズキ コウジ)>公共施設の再編と都市計画・まちづくり