2026/7/30
新宿区基本構想審議会・活動報告
第2回基本構想審議会へ、こんな意見を出そうと考えています。
新宿区議会議員・基本構想審議会委員の川村のりあきです。
2026年(令和8年)7月27日、第2回新宿区基本構想審議会が開かれ、区から「新たな基本政策の体系案」(資料3)が示されました。私はいま、審議会委員として、この体系案の修正・補強を求める意見(ご意見カード)をまとめているところです。
ただ、出す前にどうしても、その中身を区民の皆さまに読んでいただきたいと思いました。基本構想は、新宿区の将来像を示し、区政のあらゆる計画の土台となる最上位の指針です。2028年度(令和10年度)から始まる新しい基本構想・総合計画を、区民の暮らしの実感に根ざしたものにするために、いま何を書き込むべきか。議員一人の判断で決めてよいものではないと考えています。
以下が、現時点でまとめている6つのテーマの案です。「この点が抜けている」「ここはもっと強く言ってほしい」「その理解は違う」――どんなご意見でも構いません。いただいた声を反映したうえで、正式に提出したいと考えています。
意見の出発点は、現場で伺った声です
今回の意見の土台としたのは、「区長と話そう~しんじゅくトーク~」全8会場で伺った区民の皆さまの声、「しんじゅく若者会議」で小・中学生が語った生活実感、町会・自治会へのアンケート、そして7月22日の新宿区都市計画審議会での議論です。
会議室の中だけで考えた提案ではありません。地域を歩き、一人ひとりから直接伺った声を、計画の言葉へとつなげる。その思いで意見をまとめています。だからこそ、提出の前にもう一度、皆さまに確かめていただきたいのです。
① 「区民自治」と「人権尊重」を、計画全体の背骨に
現行の基本構想には、「区民が主役の自治を創ります」「一人ひとりを人として大切にする社会を築きます」という普遍的な理念が掲げられています。政策体系を簡素化するなかで、こうした理念が分散し、見えにくくなってはなりません。6つの政策体系すべてを貫く最上位の理念として明確に位置づけるよう、求めたいと考えています。
また、「誰もが」という包摂的な表現だけでは、ジェンダー平等、男女共同参画、性的マイノリティ(LGBTQ+)の権利擁護など、個別に取り組むべき重要課題が見えにくくなるおそれがあります。抽象的な表現にとどめず、具体的な推進目標や成果指標を設けるべきだと指摘するつもりです。
さらに、1986年(昭和61年)3月15日に行われた「新宿区平和都市宣言」の精神を継承する平和事業についても、他の政策に埋没して縮小・風化することがないよう、全庁的な推進体制の維持・強化を明記するよう求めたいと考えています。
② アンケート回収で終わらせず、「住民討論」の場を保障する
区は、オンラインアンケートや無作為抽出などを活用した意見聴取を進めています。こうした手法には利点がある一方、意見を一方的に集めるだけでは、住民が単なる「回答者」になりかねません。
町会・自治会へのアンケートでも、「一般の区民には回答しづらい」「出張所ごとに、町会の意見を出し合う会合を開いてほしかった」との声が寄せられています。そこで、計画策定の段階だけでなく、個別事業を実施する段階でも、住民同士が課題を出し合い、行政と双方向で対話できる「住民討論の機会」を、出張所単位などで制度的に保障するよう求めたいと考えています。
あわせて、清風園問題の教訓を踏まえ、住民説明会や合意形成の場では、音声や議事録を適切に保存し、原則として公開する仕組みを計画に位置づけるよう提案するつもりです。行政が「記録する」と説明したにもかかわらず、後に検証できる記録が残らない――そのようなことを、二度と繰り返してはなりません。
③ バリアフリーを明確な柱に――外国人住民も「地域をともにつくる主体」に
現行の政策体系にある「誰もが豊かに暮らせるまちづくり」という柱が見えにくくなることで、多様性への配慮が一部の施策に限定されるのではないか。この懸念は、7月22日の都市計画審議会でも示されました。
新宿区の障害者生活実態調査では、道路や建物のバリアフリー化、都営大江戸線などの駅における乗換えの改善を求める声が多く寄せられています。また、知的障害のある方を支える家族の高齢化も深刻です。
バリアフリーの推進、障害者支援、特別支援学級の介助員・スタッフ不足の解消、働きながら介護を担う家族へのレスパイトケアの充実を、「新宿で住み続けるための基盤」として明確に位置づけるよう求めたいと考えています。
外国籍住民は、現在、区人口のおよそ14%を占めています。外国籍住民を観光や労働力の側面だけで捉えるのではなく、地域で暮らす「生活者」であり、「地域をともにつくる主体」として位置づけることが重要です。
若者会議では、学校で互いの文化やルーツを学び合う授業が提案されました。町会・自治会からも、外国籍住民に地域活動の担い手として参加してもらいたいとの声が寄せられています。「やさしい日本語」の普及とともに、人権尊重の視点から、すべての政策に横断的に位置づけるよう求めるつもりです。
④ 空家・民泊・住宅費――日常の「安全・安心」を政策の柱に
新しい体系案では、住みやすさに関する政策のなかで「安全・安心」という言葉が見えにくくなっています。しかし、区民の暮らしを取り巻く現実を見れば、その重要性はむしろ増しています。
区内の空家数は、2016年度(平成28年度)の441棟から2024年度(令和6年度)には685棟へ増加しました。管理が行き届かない空家は、防犯・防災・火災などのリスクにつながります。実態把握と適正管理、改修への支援、主要駅から一歩入った住宅街の防犯灯整備を進めること、さらに耐震化の目標を1981年基準から2000年基準へ引き上げることを求めたいと考えています。
民泊についても、住宅宿泊事業法の施行以降、住宅街に広がり、ごみ出しや騒音などに悩む声が寄せられています。町会・自治会からも、住宅地での営業を抑制する仕組みや、国への法改正要請を求める意見が出ています。届出制から許可制への移行も含めた条例強化の検討と、国への働きかけを区の方針として明記するよう求めるつもりです。
また、地価や住宅価格、家賃が高騰するなか、若者・子育て世帯・高齢者・障害者が新宿区に住み続けられる環境づくりが必要です。手の届く家賃の住宅(アフォーダブル住宅)の確保、家賃・住宅費への支援、生活保護の住宅扶助基準を地域の家賃実態に合わせるよう国へ求めることなどを、あわせて提案したいと考えています。
⑤ 「ゼロカーボンシティ新宿」を推進軸に――子どもが自由に遊べる公園へ
新宿区は「ゼロカーボンシティ新宿」を表明しています。しかし、体系案では脱炭素や気候変動対策が個別施策の一つに見え、区を挙げて推進する姿勢が十分に伝わりません。
記録的な猛暑が続くなか、街路樹の樹冠を守り育てること、歩道や公園に日よけを設けて木陰・日陰を増やすこと、屋上緑化、省エネ・断熱改修、太陽光発電設備への支援など、実効性のある施策を優先課題として位置づけるべきだと考えています。
もう一つ、若者会議で小・中学生から相次いだのが、「公園のルールが一律禁止ばかりで、何もできない」という声でした。事故や苦情を避けるために禁止を重ねるだけでは、子どもの遊びと成長の機会が失われます。
千代田区では、2013年(平成25年)4月に「子どもの遊び場に関する基本条例」を施行し、子どもが可能な限り自由に遊べる環境づくりを進めています。新宿区でもこの考え方を取り入れ、豊島区や中野区の取組も参考に、ネットなどで安全を確保した「ボール遊びができる公園・ゾーン」を各地域に整備することを求めたいと考えています。
あわせて、中高生が友人と話しながら勉強できる学習スペースの確保や、子どもの声を踏まえた児童館のルールの見直しも提案するつもりです。
⑥ 行政手続を速く、分かりやすく――デジタル化でも誰一人取り残さない
区民討議会や地域トークでは、「他の自治体より給付金の支給が遅い」「保育園や学童クラブの申請書が統一されていない」「窓口の待ち時間が分からない」といった声が繰り返し寄せられました。
フロントヤード改革、ペーパーレス化、来庁予約、待ち時間の目安表示、SMSやLINEによる呼出し・手続完了通知などを進め、行政手続を速く、分かりやすくすることを計画に明記すべきだと考えています。
学校の冷水機やエアコンなどが故障したとき、予算手続を理由に修理が遅れることがないよう、教育委員会が速やかに対応できる修理申請の仕組みも求めたいと考えています。
一方、デジタル化によって取り残される人を生んではなりません。スマートフォンやオンライン手続に不慣れな高齢者などに、対面で丁寧に対応する「デジタルサポート窓口」を、区役所や地域センターに常設することを提案するつもりです。榎町会場をはじめ、複数の地域で寄せられた声です。
公共施設についても、「削減ありき」ではなく、必要な行政サービスを提供するための施設は維持・拡充するという原則が必要です。区役所本庁舎の老朽化への対応、地域センターごとに異なる予約システムや申請ルールの統一・簡素化、事務事業の見直しによる職員負担の軽減も、あわせて求めたいと考えています。
提出前に、ご意見をお聞かせください
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。以上が、私がいまの時点でまとめている6つのテーマの案です。
しんじゅくトーク全8会場で伺った声、若者会議で小・中学生が語った生活実感、町会・自治会のアンケートに書き込まれた要望――。これらは、統計の数字だけでは決して見えてきません。だからこそ、私一人の受け止め方で書き上げてしまってよいのだろうか、という思いがあります。
「うちの地域では事情が違う」「この項目より、こちらを優先してほしい」「この書き方では区に伝わらないのでは」。そうしたご指摘こそ、いちばんありがたいご意見です。
◯月◯日ごろまでにいただいたご意見は、今回の提出内容に反映させていただきます。
その後にいただいたご意見も、今後の審議会での発言や議会質問に必ず活かしてまいります。
基本構想は、これからの新宿区の将来像を定める重要な指針です。区民の皆さまの声が単なる「参考意見」で終わらず、計画の文言や具体的な施策に反映されるよう、審議会で粘り強く発言を続けてまいります。審議会での議論の経過も、今後随時ご報告します。
関連資料
第2回新宿区基本構想審議会(新宿区公式サイト)
https://www.city.shinjuku.lg.jp/shingi/index06_00005.html
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