2026/7/22

新宿区議会議員の川村のりあきです。
前回の記事では、7月14日に開催された「西武新宿線開かずの踏切対策報告会」で寄せられた住民の皆様の声と、「今すぐできる対策」についてお伝えしました。
その報告会では、区から、
「区が記録し、後日ホームページで公開するため、参加者による録音・録画・撮影はご遠慮ください」
との説明がありました。
私はその言葉を聞いたとき、中落合にあった高齢者福祉施設**「清風園」**をめぐる問題を思い出しました。
清風園の説明会でも、区は音声を記録すると説明していました。
しかし、その後、詳細な議事録は残されず、音声データも消去されていたことが分かりました。
なぜ私が、今回の踏切対策報告会でも「記録と説明責任」を重視しているのか。
その理由をお伝えするため、清風園をめぐる経過を3回に分けて振り返ります。※写真は廃止反対の署名活動(オンライン署名 · 新宿の高齢者いこいの家「清風園」を残して下さい! - 日本 · Change.org)より
第1回は、突然の廃止提案から、関連費用が約6億9,000万円まで膨らんだ経過についてです。
清風園は、中落合にあった、60歳以上の方が無料で利用できる地域施設でした。
年間の利用者は約2万6,000人から2万7,000人にのぼり、多くの高齢者にとって、入浴や交流を楽しむ日常的な居場所となっていました。
ところが2019年12月、新宿区は総務区民委員会で、清風園を廃止する方針を突然示しました。
区が挙げた主な理由は、
でした。
しかし、利用者減少の背景には、土日に利用できないという施設運営上の制約がありました。
また、清風園が無料で利用できたのに対し、区が代替施設の一つとして挙げた公衆浴場は、当時470円の利用料が必要でした。
そのため、区の説明だけで廃止を合理化できるのか、多くの疑問が残りました。
廃止方針が示されたことを受け、私たちは2019年12月23日から、清風園前でアンケート活動を始めました。
87名の方から回答が寄せられました。
その中には、
「ここで話し相手ができた」
「清風園がなくなったら、家に閉じこもって認知症になってしまう」
「障害者グループホームも必要だが、清風園と共存できないのか」
という切実な声がありました。
清風園は、単に入浴するためだけの施設ではありませんでした。
高齢者が外出し、人と会い、会話を交わし、地域とのつながりを保つ大切な居場所だったのです。
2020年1月18日と19日に開催された区主催の説明会には、延べ220名を超える住民の皆様が参加しました。
予定時間を大幅に超えるほど、多くの意見が出されました。
跡地に計画されていた障害者グループホームの必要性に理解を示しながらも、
「清風園とグループホームを共存させる方法はないのか」
「高齢者の居場所を一方的になくさないでほしい」
という再検討を求める声が数多く寄せられました。
私は説明会で、清風園は廃止条例が議会で可決されない限り廃止できないことを説明するとともに、東京オリンピック・パラリンピック後に利用予定が定まっていなかった都有地の活用など、別の場所にグループホームを整備する代替案も示しました。
「清風園か、障害者グループホームか」という二者択一ではなく、双方を実現する方法を最後まで検討すべきだと求めました。
その後、私は2020年の代表質問などで問題を取り上げました。
しかし2021年、新宿区は清風園の廃止条例と、解体・擁壁改修に関する補正予算を提案しました。
この過程で明らかになったのが、費用の大幅な膨張です。
当初、解体・擁壁改修費は、
約1億9,000万円
設計費を含めても、
約2億2,000万円
と説明されていました。
ところが、第2回定例会で示された補正予算では、
約5億4,000万円
設計費を含めると、
約5億7,000万円
に増えていました。
さらに、エレベーターと渡り橋の整備費約1億2,000万円を加えると、関連費用の総額は、
に達することが明らかになりました。
当初説明された約1億9,000万円と比べると、3倍を超える規模です。
清風園の跡地は高低差が大きく、擁壁の改修やエレベーター、渡り橋などに多額の費用が必要となりました。
平坦な土地に障害者グループホームを整備していれば、こうした費用の多くは必要なかった可能性があります。
約6億9,000万円は、障害者グループホームをもう一つ整備できるほどの規模です。
私は議会で、
なぜ、この場所でなければならなかったのか。
ほかの土地を活用する可能性を、十分に検討したのか。
当初の説明から、なぜ費用がここまで膨らんだのか。
と厳しく追及しました。
多くの住民の皆様が再検討を求め、費用面にも重大な疑問が示されました。
それでも新宿区は、2021年9月30日に清風園を廃止しました。
しかし、私がこの問題で最も深刻だと感じたのは、費用の膨張だけではありません。
説明会の冒頭で、区は「音声を記録します」と説明していました。
ところが後になって、詳細な議事録は作成されず、音声データも残されていなかったことが分かりました。
住民の皆様がどのような意見を述べ、区がどのように答えたのか。
その経過を後から検証することが困難になっていたのです。
次回は、清風園説明会で起きた**「記録がない」問題**について詳しくお伝えします。
https://go2senkyo.com/seijika/15271/posts/1439604
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