2026/4/20
働いて一定の収入がある高齢者の老齢厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」が4月から見直された。年金が減額される基準額(賃金と老齢厚生年金の合計額)が月額51万円から65万円に引き上げられた【図表参照】。働く意欲のある高齢者の活躍を後押しするのが狙いだ。制度の仕組みと見直しのポイントを解説する。

在職老齢年金は、直近1年間のボーナスを12等分した金額を含む月ごとの賃金と老齢厚生年金の月額の合計が一定の基準を超えた場合、その超過分の半額に相当する老齢厚生年金の支給が停止される仕組みだ。調整の対象となるのは報酬や加入期間に応じて年金額が決まる老齢厚生年金で、老齢基礎年金は減額されない。一定額以上の報酬がある人は年金制度を支える側に回ってもらうという考え方に基づく制度だ。
今年3月まで年金が減らされる基準額は月額51万円だったが、4月から65万円に引き上げられた。これにより、これまで年金を減らされていた人が減額されなくなったり、賃金が増えたとしても年金が減額されにくくなったりする。
例えば、1カ月の賃金が46万円、老齢厚生年金が10万円の計56万円である場合、3月までは基準額(51万円)を5万円超えていたため、その半額に当たる2万5000円が老齢厚生年金から支給停止となり、受け取れる老齢厚生年金は7万5000円だった。
4月からは基準額が65万円に引き上げられたため、このケースでは老齢厚生年金10万円が全額受給できる。年間で見ると支給額は2万5000円×12カ月で計30万円増える計算だ。
さらに賃金が9万円増えても年金は減額されない。基準額の引き上げは、「もっと働きたい」と考える人を後押しする見直しといえる。
見直しを巡っては、平均寿命や健康寿命が延びる中で働き続けることを希望する高齢者が増えていることや、企業側でも人材確保や技能継承の観点から高齢者雇用のニーズが高まっていることが背景にある。2023年度に内閣府が実施した調査では、60代の約5割が66歳以降も働き続けることを望んでいた。
一方で、60代後半の3割以上が「年金額が減らないよう時間を調整し会社などで働く」と答えており、働き控えが生じている現状がうかがえる。基準額の引き上げは、こうした状況に対応する意義がある。
■満額受給の対象者が20万人増加
22年度末時点で65歳以上の働く年金受給権者は約308万人おり、このうち約50万人が支給停止の対象となっていた。今回の見直しによって新たに約20万人が満額の老齢厚生年金を受け取れるようになる見通しで、支給停止の対象となる人は約30万人まで減少する。
公明党は高齢者の就業促進に向け、同制度の見直しを一貫して推進してきた。24年9月の党全国大会で重点政策に盛り込み、同12月には厚生労働相への提言で見直しを求めていた。今回の見直しは、こうした取り組みが具体化したものといえる。
物価高を反映、6月支給分から
在職老齢年金の見直しとは別に、年金額そのものも改定されている。
2026年度の公的年金の支給額は、全国民が対象となる基礎年金が前年度比1.9%、会社員らが加入する厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられ、4年連続の増額となった。年金額は、物価や賃金の変動に応じて毎年度改定される仕組みで、今回はその上昇が反映された。6月に支給される分から反映される。
一方、少子高齢化が進行する中、年金財政を安定させるため給付を抑える仕組みである「マクロ経済スライド」も4年連続で発動した。これにより26年度は、基礎年金でマイナス0.2%、厚生年金でマイナス0.1%分、伸びを抑えている。
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セ ノブヒロ/53歳/男
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