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給付のみへの収斂は早計だ。社会保障国民会議、議論はまだこれから

2026/5/21

社会保障国民会議で、給付付き税額控除の「給付のみ」一本化案については、まだ賛否が割れています。

20日の実務者会議では座長から「おおむね認識が揃ってきた」とのコメントが出ましたが、これはあくまでも現時点での大まかな方向性にすぎず、制度の根幹である「給付付き税額控除」か「給付のみ」かについては、合意が形成されたわけではありません

維新の会が有識者会議への出席を推薦した八代尚宏先生(昭和女子大学)は、5月19日の有識者会議で「給付のみ」への収斂に警鐘を鳴らしました。

八代先生・制度規制改革学会の提言が示す最大のポイントは、「確定申告と年末調整を活用すれば、来年から実現できる」という実務的な突破口です。

「中小企業の事務負担が増える」という反論に対しては、資料で丁寧に反証されています。

年末調整の仕組みは変わらず、会計ソフトが新制度に基づいて更新されれば差額計算は自動で行われ、事業者が追加で行う作業はほぼ生じない。市町村に新たな負担を求める必要もない。

むしろ「給付のみ」にした場合こそ、事業者の年末調整に加えて別途の給付フローが二重に走ることになる…というのが提言の核心です。

「給付付き税額控除」と「給付のみ」は、似て非なる制度です。大きな違いの一つは、所得控除の抜本見直しと連動できるかどうかです。

「給付のみ」の方向に進んでしまうと、基礎控除・給与所得控除などの既存の所得控除の整理統合が先送りになる、あるいは議題にすら上らなくなる恐れがあります。

そもそも「給付付き税額控除」とは、減税(税額控除)と給付の組み合わせによって、働く所得者を税制の仕組みの中で継続的に支える制度です。「給付のみ」になった時点で、その名称は残っても制度としての本質は大きく変わります。

所得が高い人に恩恵が大きい「所得控除」の構造を変えず、低所得者への小規模な現金給付だけを上乗せするなら、これまで繰り返されてきた給付と本質的に変わりません。

高市首相が公約に掲げた「給付付き税額控除」の意義は、まさにこの「所得控除から税額控除へ」という税制の歴史的転換にあります。そこを諦めてしまうのは、制度の本丸を手放すことになりかねません。

「簡易版(給付+税額控除)」の早期実現という選択肢が技術的に十分可能である以上、「難しいから給付のみ」と結論を急ぐ必要はないという指摘は重たいものです。

むろん国民会議での議論は継続中であり、中間取りまとめに向けてこれからが正念場です。

将来的には、年金や生活保護の生活支援部分を税・給付制度に統合していくような、社会保障制度全体の抜本改革を見据えた「入口」として位置づけることも重要です。

制度改革の意義や根幹をしっかり守りながら、実現可能な「簡易版」の早期導入を目指す議論を、引き続き後押ししていきたいと思います。

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おときた 駿

おときた 駿

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