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【訂正・補足】私大削減論、西田亮介さんの指摘を受けて

2026/5/3

先日の木下斉さんのポストを引用しながら展開した私の「私大250校削減——財務省の数値目標を評価する」ブログ記事について、社会学者の西田亮介さんが動画で詳細な指摘を展開されました。

重要な指摘をいただいた部分については率直に認め、維持すべき論点は改めて下記の通り整理したいと思います。

①「需要が半減」という表現は誇張・誤りでした

最も重要な指摘です。前回の記事では木下斉さんの分析を引用する形で「需要が半減した産業の供給が1.6倍に膨らんだ」と書きましたが、これは不正確でした。

18歳人口は1992年の205万人から2024年の109万人へ半減した一方、大学進学率は同期間に約26%から約59%へほぼ倍増しています。

実際に大学に進学した人数で見ると、約54万人(1992年)から約62万人(2024年)で微増しており、潜在母数の減少は指摘できるとしても、「需要が半減した」は表現として誇張・誤りでした。

この点は率直に訂正・撤回いたします。

ただし、訂正した上でも問題の本質は残ります。進学者数の増加は約1.15倍であるのに対し、私大数の増加は1.6倍です。需要の伸びに対して供給の伸びが大きく上回っており、定員割れがおよそ半数という現実がそれを裏付けています。

「需要が半減した」という表現は誤りでしたが、「過剰供給の構造がある」という核心的な問題意識は変わりません。

②天下り問題は、供給過剰の要因と無関係とは考えられない

西田さんは「主要私大の理事レベルに文科省OBがバカバカ入っている実態は現在はそれほど多くない」と述べています。

現在の状況に限定すれば一定の正確さはあるかと思いますが、こちらについてはなお論点が残ります。

ほんの10年前の2017年には、文科省が組織ぐるみで私立大学への天下りをあっせんしていたことが発覚し、国家公務員法違反と認定されました。

当時の調査では文科省OBの私大への天下りは114人・102大学に上り、事務局長や理事・参与・顧問ポストへの就任が多数確認されています。

文科省人事課OBを仲介役とし、歴代事務次官も関与した「組織ぐるみ」の構造であったことは、東京私大教連の声明でも認定されています。

規制強化後に表立った天下りが減少したこと自体は事実かもしれません。しかしそれは「問題がなかった」ことを必ずしも意味しません。

私大が長年にわたって天下り先として機能してきた構造があったこと、そしてその構造が私大の量的拡大と無関係でなかったことは、2017年の問題が一定の論拠となりえるのではないでしょうか。

③交付税や地方名士の論点はややすれ違い

西田さんは「基準財政需要額の算定にプラスになるのは公立大学のみで、私立大学は含まれない」と指摘しています。

しかし木下さんの記事で述べていたのは「私立大学の存在自体が算定項目になる」という話ではなく、「学生が住民登録することで自治体の人口カウントが増え、交付税算定にプラスに働く」という話です。

この二つは別の視点であり、ここではややすれ違っているものと思われます。

また地方名士の資産保全・相続対策としての学校法人活用については、西田さんは「法人から個人への財産移転スキームがないため制度上成立しない」と指摘しています。

現行制度上、違法な財産移転ができないという点はその通りです。ただし、この論点のスコープはそもそも「今も財産を抜き出している」という話だけには留まりません。

学校法人への土地・資産の寄付は相続税の課税対象から外れるという税制上の優遇が制度として存在しており、「取り出せなくても課税もされない」状態自体が資産保全の動機として機能してきた可能性はあります。

また改正私立学校法が理事長・親族への特別利益供与を明示的に禁止したこと自体、それ以前にそうした実態が広く存在していたことを示しているともいえ、こちらの問題意識・論点も引き続き維持されるものと考えられます。

以上、ご指摘をいただいた西田教授に感謝をするとともに、数字の裏を確認せず軽率に引用をした点についてお詫び申し上げます。

その上でなお維持される過剰供給やその構造問題については引き続き議論しつつ、財務省・文科省の削減方針に注視していきます。

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著者

おときた 駿

おときた 駿

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