2026/6/20
自民と維新で草案を作成した副首都法を巡り、「憲法違反」との主張が一部にみられるため、先日、衆議院法制局と検証しました。
以下、それを踏まえた認識を書きます。
まず、現在言われている「副首都法は違憲か合憲か」という問題は正確に言うと次のような問いです。
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「特別区設置の住民投票」と「名称変更の住民投票」を一体化し、道府県の住民投票とすることは、憲法92条の定める住民自治に照らして、憲法適合性はあるか。
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このとき、憲法92条、すなわち「地方自治の本旨」とは、次のような条文です。
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第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
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この条文は見ての通り、団体自治、住民自治という憲法上の「原理」を謳っているに過ぎず、地方自治制度の具体的な設計は法律に委任されています。
そのため、これをもって直ちにある法律が違憲であると断定することはできません。
そもそも、憲法の定める規範には「ルール」と「原理」の2つがあります。
前者は法的効果が発生するための明確な要件を定めた規定です。運用にあたってはある事実がその要件に該当するかどうかだけが問題となります。
例えば、第56条には国会の定足数は議員数の3分の1と定められており、これはその数に達するかどうかだけで明確に判断されます。
一方で後者は明確な要件でなく、抽象度の高い一般的基準を定めた規定です。運用にあたっては他の原理との調整が問題になります。
例えば、企業団体献金禁止の議論では、第12条の公共の福祉という原理と、第21条の表現の自由(政治活動の自由)とがぶつかり合い、双方の調整が問題になります。
第92条は憲法の一般的な解釈として、後者の「原理」を示した条文です。 前者の「ルール」を示したものとは異なり、ある事象をそのまま当てはめて合憲か違憲かという断定的な判断を下せる性質のものではありません。
また、第93条・94条・95条も地方自治に関連する条項ですが、これらは第92条の各論的規定と特別の規定であり、一まとめのものとして、同様のことが言えます。
そもそも、内容からしても、副首都法の附則は住民投票そのものを廃止するものではなく、府民全体の意思確認と市議会の承認を求めるものであり、地方自治の本旨に反すると評価すべき根拠は見当たりません。
副首都法の附則にあるのは、副首都になろうとする道府県が「特別区を設置して都となる」という共通の目的の下で、府全体の統治機構の変更について府民全体の意思を確認するため、一度の住民投票を行おうというものです。
前のポストにも書いた通り、副首都に相応しい行政体制を創るための特別区の設置及び名称変更である以上、投票区を府域に拡大する方がより合理的と言えます。
なお、その際、現行の大都市法で特別区設置を単独で行う場合に住民投票が必要とされる市については、住民投票に加えて住民代表機関たる市議会での承認を得ることが必須要件となっており、市の住民意思は二重に反映される建付けになっています。
以上の通り、副首都法附則の是非は、最終的には国会が立法政策として判断すべき問題です。
憲法92条は地方自治の原理を定めた規定であり、本件を直ちに違憲・合憲という単純な図式で判断できるものではありません。
少なくとも、これを明白な憲法違反であるかのように断定することに法的根拠は見当たりません。
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衆・法制局「違憲でない」副首都法案|テレビ朝日系(ANN)
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